【レポート】

風車とソーラーで南極へ走る「ZEVEX」の冒険

1 衝撃の「SJ2001」誕生

 
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原油高によるガソリン価格の高騰――ここ数年間、多くのドライバーがこの問題に悩まされてきた。昨年後半からの原油価格下落を受けて、一時期よりはガソリン価格が下がってきてはいるものの、まだまだ予断を許さない状況が続いている。そもそも化石燃料資源の枯渇によって、大量の石油エネルギーを消費する現代の自動車社会には、危機的な状況が迫っているとも伝えられる。自動車排出ガスによる環境汚染、地球温暖化などの問題は、この21世紀に取り組まねばならない世界的な重要課題ともなっている。

とはいえ、もはや自動車なしでは生活が成り立たない世の中になってきているのも事実である。インフラとしての自動車の必要不可欠な役割に加えて、愛車でのドライブは至福の時間……と感じるドライバーも少なくない。

今後いつまでも、地球環境に優しい方法で、大好きな自動車に安心して乗り続ける術はないものか? そんな課題に、南極での冒険を通じて、真正面から取り組むことを目指している人々がいる。4WD電気自動車(EV)による南極点走破へ挑む「ZEVEX」(Zero Emission Vehicle EXpedition)である。

四駆で冒険を愛するが故の環境への優しさ

ZEVEX代表の鈴木一史氏

ボルネオのジャングルを四駆で走破

ZEVEX代表の鈴木一史氏は、かつてマレーシア、ボルネオ、タイ、ラオス、ベトナムなど、世界各地のジャングルを4WD自動車(四駆)で走破した経験を有する。以後、悪路極限走破の技術を競うオフロード競技「IRON BAR CUP」(アイアン・バール・カップ)第1回大会を1993年に主催し、数々の過酷な条件へ四駆でアタックする大会を開催してきた。

数々の過酷な条件に四駆でアタックするIRON BAR CUP

四駆で様々な冒険に挑戦し、四駆をこよなく愛していると語る同氏だが、いつもどこかで、何かやりきれない気持ちとの葛藤があったことも明かしている。例えば、ジャングルを走破する喜びとは裏腹に、四駆で走った後を振り向けば、美しい自然の中にディーゼルエンジンの黒煙を撒き散らし、川には汚れた油が浮かんでいる……。確かに冒険は好きだけど、こんな方法では、いつまでも続けるわけにはいかなくなるだろうなと、ふと感じることが増えていたという。

そんな中で、同氏は電気自動車(EV)の可能性に着目する。もしかすると、EVの四駆でならば、地球環境にも優しい冒険を、今後どのように世の中が変わっていっても継続できるのではなかろうか? そう思い始めた同氏は、密かに黙々とEVの研究を開始する。1990年代半ばから、約3年間をEV四駆の研究に注ぎ込んだものの、周囲の大半の反応は否定的なものだったようだ。同氏は「EVなんてスピードが出ない、充電に時間がかかりすぎる、長距離を走れない、ややこしい……といった意見に始まって、今まで好き勝手に四駆で走り回っておきながら、何を今さら地球環境のことなど持ち出し、独りだけ良い格好をしようとするのかといったものまで、バッシングに近い反応もありました」と、当時を振り返る。

「もう何を机上で述べ立てても意味がない。とにかく作って見せたらいいんだ。EV四駆で、オフロードをパワフルに走ってみせるのが先決だ!」との決意を固めた同氏は、アイアン・バール・カップ参加者の中で志を同じくする仲間たちと一緒に、EV四駆の製作に着手する。スズキのオフロード用軽自動車「ジムニー」から、駆動部のエンジンを取り外して、バッテリとモーターで駆動するEVへと改造! ついに2000年10月、EV四駆「SJ2001」号が完成した。

EV四駆SJ2001

同年12月、構造変更申請による車検パスに成功したSJ2001は、ナンバーも取得し、公道走行も可能なEV四駆となる。早速、数々のレースに参戦しつつ、アイドリングを必要とするガソリンエンジンとは異なり、低速トルクの高さでパワフルなスタートを切れるEV四駆の優れた性能をアピールし続けたという。クラッチ不要の5速マニュアルミッション車となるSJ2001は、ガソリン車に劣らぬ加速性能もさることながら、優に時速100kmを超える走行スピードも実現するとされている。

数々のレースに参戦しつつ、EV四駆の優れた性能アピールが続けられた

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インデックス

目次
(1) 衝撃の「SJ2001」誕生
(2) 究極の自然エネルギー走行へ
(3) 間宮海峡横断に挑む!
(4) 次世代PHEVで準備万端

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