【レポート】

海外オタク事情最前線 - 韓国のコスプレ・同人誌即売会・ガンプラショップに密着取材

5 韓国のガンプラ聖地

    佐々木朋美  [2007/01/01]

    韓国のガンプラ聖地「ガンダムベース」

    韓国版"秋葉原"ともいえる電気街・龍山に「ガンダムベース」がある。ここはバンダイコリアの直営店で、約680種にも及ぶ「機動戦士ガンダム」のプラモデル、いわゆる「ガンプラ」が販売されている。

    ガンダムベースの店舗

    バンダイコリア玩具事業部 ガンダムチームのク・チャフン氏によると、韓国におけるガンプラの市場規模は数十億ウォン程度と予想されているという――韓国のケーブルテレビでこれまで放映されたガンダムシリーズは、「新機動戦記ガンダムW」と「機動武闘伝Gガンダム」「SDガンダムフォース」「機動戦士ガンダムSEED」の4種類しかない状態であるにも関わらず、だ。

    実はガンダムの認知度を高めているのはテレビよりインターネットの力が大きく、Webサイトを通じて多くのガンダム情報が入り込んできてガンプラファンを作り上げてきたようだ。

    アムロ・レイの声で有名な古谷徹氏が来店した際の直筆サインも。サインされた箱のガンプラは、日本では売っていない海外向け製品だという。ファンは必見だ

    入り口付近の壁にも古谷氏のサインが

    バンダイコリアによるガンプラのおもな販売場所は、ガンダムベースとWebサイトだ。販売チャンネルの展開について、ク氏は「韓国におけるガンプラ販売の場は小売店からインターネットへと移っていますが、バンダイコリアとしては実際に見て触れてほしいという願いがあります。そこで、より多くのお客様に来て欲しいという意味も込め、豊富な品揃えのあるモデル店舗として運営しているのです」と説明している。

    店舗前にはガンプラファンが創作したプラモデルが展示されている

    ガンダムベースの隣には、「Bベース」というガンダム以外のキャラクターショップがあるのだが、これは当初下の階にあったものを10月にガンダムベースの横に移転させたもの。これと、すぐ隣にある映画館との相乗効果もあってか、多くの女性やカップルが訪れるようになった。

    一時、販売されていたガンダムとザグの自転車。現在は展示のみ

    ガンダムベース横にあるBベース。かわいらしいキャラクターが多く、女性や子どもの姿も多い

    「女性から見てもガンダムはかっこいいと思えるもの。ガンダムの認識を高めるのに大変有効です」とク氏は語っている。

    一方オンラインにはガンダムを知り尽くしたマニアが多い。さらに、韓国においてはオンラインの力を無視することはできない。そこでバンダイコリアは、オンラインをオン/オフ双方のイベントの告知やフォトコンテストなどコミュニケーションの場として活用し、より幅広い人の参加を促そうとしている。

    さらに「遊びの中心がインターネットに移っている」(ク氏)ということで、現在「SDガンダム」のオンラインゲームも開発中だ。こうしたオン/オフラインを利用した活動でガンダムの認識を高めていきたい考えだ。

    ガンダムは韓国に定着するのだろうか――ク氏は「ケーブルテレビで放映されている『パワーレンジャー マジックフォース』(日本では『魔法戦隊マジレンジャー』)は今、大人気です。しかし、韓国に定着するには準備期間も含め数年必要になると思います。現時点でテレビ放映されていないガンダムの場合だと、定着にはその2倍程度は必要ではないでしょうか」と語っている。

    現在バンダイコリアが主要ターゲットとしているのは子ども世代だ。子ども時代に見て触れて親しんだものは、大人になっても覚えているもの。今の子どもたちが大人になる数年後、ガンプラ市場がさらに大きくなっていることが期待できる。

    オタク文化は韓国に定着するか

    日本では一時、秋葉原やオタクが流行になったが、そこまでとはいかないまでも、韓国でも着実にこうした文化が広まり、根付いてきていると感じられた。

    他文化そのものに抵抗感がある世代と、「アニメは子どものもの」と考える世代、アニメを年齢に関わらず柔軟に楽しもうとする世代が入り混じった韓国だが、それならば今の若者が大人になれば、アニメやゲームなどの文化に対する認識は大きく変わるのではないかと予想される。

    ただし後々これらの文化が根付くとしても、長い間守られ続けてきた儒教文化を基礎に置く韓国では、オタク文化も独自の発展を遂げる可能性がある。

    実は日本の文化開放も完全に行われたわけではない。例えば、ラジオ番組で日本語の音楽を流してはいけない、といった規制がまだ残っているのだ。今後これらの規制まで解かれれば、もっと多くの人が多様な文化に触れられるようになることは確実。韓国のオタク文化の進化は続くとみて良いだろう。

    そうした意味で、韓国はオタク文化が開花する過渡期にあるともいえる。そんな韓国のオタク文化を、韓国訪問の際に触れてみてはいかがだろうか。

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