【レポート】

進化するHalf-Life 2エンジン(後編)

7 Sourceエンジンの未来、Half-Life 2の将来

    西川善司  [2007/01/01]

    伝説的なHalf-Life 2のグラフィックスも、意外に職人芸的な、工夫と妥協のバランスで出来ていることが分かったと思う。

    さて、3Dゲームグラフィックスとしては最先端というイメージがあるSourceエンジン / Half-Life 2だが、Epic Gamesの「Unreal Engine 3.0」などの他のゲームエンジンに遅れている部分がある。それは影生成についてだ。

    Sourceエンジンの将来の拡張の方向性

    2006年に登場した最新型Half-Life 2: Episode Oneにおいても、影生成については2004年のオリジナルHalf-Life 2から変わらないシルエット投射テクスチャマッピングによる簡易表現によるものなのだ。この技法は地面に影が落ちるのみで、自分の部位の影が自身に落ちるセルフシャドウが実現されず、不自然な影になる。

    これは比較的軽い影生成技法で、プレイステーション2やゲームキューブなど、そういった今やハイスペックとはいえないゲーム機で主流な技術となっている、いわばクラシックな技法なのだ。技術力の高さをアピールするSourceエンジン / Half-Life 2の影生成技法としては、このままではいささかアンバランスだといえよう。

    Episode Oneでは背景の影は焼き込みの事前生成が基本で、動的には生成されない。柱には一切の影が無く、柱にぶら下がるキャラクタの影のみが壁に投射されるので不自然になっている

    「SplinterCell3:Chaos Theory」(UBI SOFT)より。他社はソフトシャドウ+セルフシャドウといった高度な影生成技法を実装しているだけに、この遅れは痛い

    さすがにValve側も重い腰を上げたようで、「影生成について、将来はデプスシャドウ技法系の実装を検討している」(Mitchell氏)と改良していく意向を示すコメントを述べている。

    そして、一部のゲームエンジンでは採用が始まっているソフトパーティクルの実装についても検討しているとした。霧や煙などの表現では、霧やけむり模様のパーティクルを半透明で重ね描きするが、これらがキャラクタや背景のポリゴンと交差すると、その交差線がエッジとして露見してしまう。このエッジを低減するのがソフトパーティクルだ。

    Episode Oneではこのようにパーティクルベースの霧表現で紙を並べたようなエッジが出てしまっている

    「Call of Duty 2」(Activision)はソフトパーティクルに対応している。オフ(左)ではパーティクルの切り取られたエッジが強く出ている。プレイステーション2などのゲームグラフィックスではお馴染みの現象だ。ソフトパーティクル・オン(右)ではそれが消えているのが分かるだろう

    この他、新しい草むらのような群生植物の表現、ノン・フォト・リアリスティック(NPR:Non-Photo Realistic)レンダリングの表現までもが実装される予定だ。なお、NPRレンダリングについては、2007年早々にValveからリリースされる予定のオンライン対戦型FPS「Team Fortress 2」で実用化される予定となっている。

    2007年発売予定の「Team Fortress 2」は漫画チックな画調にHDRレンダリングを組み合わせた特徴的なビジュアルになる

    Half-Life 2: Episode Oneの続編「Episode Two」も2007年早々にリリースされる予定となっているので、そうした改良予定事項が本当に実装されているかみるのが楽しみだ。

    (トライゼット西川善司)

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