【レポート】

「共有」こそがITの未来を切り拓く - スコット・マクネリ氏が語る「参加の時代」

1 情報共有が成功のカギ

    五味明子  [2006/12/08]

    かつての毒舌ぶりはやや、なりをひそめていたものの、満員の聴衆を引きつける話術の巧みさは健在だった。6日に東京ビッグサイトで開催されたNEC「C&C ユーザフォーラム」で、同社代表取締役社長 矢野薫氏に引き続き、基調講演を行ったのは米Sun Microsystems会長のスコット・マクネリ(Scott McNealy)氏。今年の4月、22年間務めたCEO職を辞し、第一線から引いたように思われていたが、好きなゴルフ三昧の引退生活を送るにはまだ早すぎるようだ。

    「(現CEOの)ジョナサン・シュワルツから『スコットにしかできない仕事をやってほしい』と言われている。その中で、日本とのパイプを強くすることは私にとって最も重要な仕事のひとつ」- マクネリ氏はCEO時代からほぼ毎年、来日しており、日本の政財界とも強いつながりをもつ。また、NECとSunは長い期間に渡り、サーバのOEM提供、サポート・保守、ミドルウェア開発などさまざまな分野で友好的な協業関係を築いてきた。昨年4月には、両社によるさらなる提携の拡大を、来日したマクネリ氏が金杉明信・前NEC代表取締役社長(故人)と共に発表している

    本ユーザフォーラムにおけるマクネリ氏の基調講演のテーマは「Competing and Winning in the Participation Age -「参加の時代」における競争と勝ち組」。だが、講演の内容は「競争に勝ち残って、勝ち組になる」よりも、「情報の共有、オープン化こそがすべての人を幸福にする」という、あらゆるテクノロジのオープン化を推進してきた同氏らしい切り口だった。

    デジタルデバイドの解決も「共有」から

    会長職に退いたとはいえ、マクネリ氏は今も変わらず世界中を飛び回っているという。そして、現在、地球上で起こっているさまざまな問題と、ITが抱える問題は密接に関わっていると語る。

    なかでもここ数年、最も憂慮すべき事態として取り上げられている問題が「デジタルデバイド」だ。マクネリ氏は「現在、毎週300万人が新たにインターネットに接続しており、ネット人口の増加に伴って、トランザクション量も確実に増えている」、その一方で「いまだに世界の人口のうち、4人に3人はネットワークにつながることができない」と、深刻な状況を指摘する。

    では、改善のためにどんな方策が考えられるのだろうか。マクネリ氏は「Our Strategy: to Share」、つまりハード・ソフトの両方のリソースを企業が積極的に情報公開し、共有化していくプロセスが重要だと語る。「共有化を進めれば進めるほど、より多くの人々が情報に触れることが可能になり、学ぶ機会が拡がる。そのためにもすべてのリソースをオープン化すべき。Sunは最近、すばらしい発表を行った。Javaをオープンソースにしたのだ。「信じられない、Sunは何を考えているんだ!」と驚く人もいる。だが、オープン化、無償化、そして(その技術を支える)コミュニティの活性化は、さまざまなチャンスを拡げることになる」

    自社の技術を無償で公開すれば、他社にビジネスチャンスを奪われかねない。ついそう考えがちだが、マクネリ氏はYouTubeがGoogleに買収された例を引き合いに出し、「フリーで情報を公開し続けたYouTubeは、たった1年でビリオンダラーの価値をもつ会社になった。Googleがわずかな期間で巨大な企業になったのも、情報の共有化・無償化を進めたからにほかならない」とオープン化の重要性を力説する。

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