【レポート】

Nokia Linuxタブレット技術ユーザに人気博す

1 インターネットをモバイルに

    末岡洋子  [2006/12/04]

    携帯電話で音声はモバイルになった。携帯電話最大手のNokiaでは、インターネットでも同じことを実現するという戦略を持つ。そこで、同社が2005年に発表したのがインターネットタブレットの「Nokia 770」だ。同社にとっては、セルラー網をサポートしていない初めての携帯端末となる。

    11月30日、Nokiaがオランダ・アムステルダムで開催したイベント「Nokia World」で、このインターネットタブレットについて、同社マルチメディア事業部、コンバージェンス・プロダクツ副社長のAri Virtanen氏が同社の狙いや戦略などについて説明した。

    Nokia 770は2つの点でユニークな端末だ。1つ目はGSMやWCDMAといったセルラー網をサポートしていないこと。無線技術は、無線LANとBluetoothを採用している。2つ目は、OSにLinuxを採用した点だ。

    Virtanen氏は、Nokia 770の開発に至った背景として、「インターネットがカジュアルに利用されはじめた」と語る。

    まず、Virtanen氏が示した図は、フィンランドにおける固定電話、ブロードバンド、携帯電話の普及率の推移を示したグラフだ(写真1)。固定電話は減少し、携帯電話は上昇、ブロードバンドの利用者も増加している。「音声に起こったことはインターネットにも起こる。Nokiaはインターネットをモバイルにする」とVirtanen氏。

    写真1

    インターネットがモバイルに拡大するトレンドを後押ししているのが、無線LANだ。現在、固定ブロードバンドの加入者数は世界に2億5000万人おり、米国と欧州では20%の家庭で無線LAN環境が敷かれている。公衆アクセスポイントの数は17万4000。2009年には、ブロードバンド加入者数は3億6500万人、米国・欧州のホーム無線LANユーザーの比率は35%、公衆アクセスポイント数は25万3000と、増加する見込みだ(写真2)。

    写真2

    アプリケーション側では、2009年にはVoIPのユーザー数は2億人に達すると予想されている。電子メール・IMなどコミュニケーションのニーズは相変わらず高い。また、多くYouTubeなどのWeb 2.0アプリケーションの台頭により、コンテンツ、メディア、検索が再定義されようとしている。

    これらのトレンドは当然、コンシューマデバイスに影響を与える。今後、家庭用PCの成長率は低いが、無線LANをサポートした携帯電話、PDA、ゲーム機などが成長すると予想されている(写真3)。

    写真3

    Nokiaではこのようなトレンドを考慮した結果、携帯電話でもPDAでもノートPCでもない、まったく新しい製品カテゴリが必要と判断したという。「PC、スマートフォンやPDAを置き換えるものではない」とVirtanen氏。PC、携帯電話などの端末は、オーバーラップしながらも今後も利用される。その中に新しいカテゴリが加わるという図だ。

    新しいカテゴリの開発にあたって徹底したことは、PCや携帯電話のレガシーを持ち込まないこと。インターネット利用という目的にのみフォーカスした。こうやって誕生したのがNokia 770だ。カテゴリとしては、インターネットタブレットとなる。

    Nokia 770は、14.1×7.9×1.9センチで重さは230グラム。解像度800×480ドット、4.13インチの画面を持ち、画面にタッチするかスタイラスを使っての入力や操作が可能。Web、電子メール、VoIP、メッセージングなどの機能を持つ。

    Nokia 770は2005年秋に欧州、米国で販売を開始した。オンライン販売のほか、小売店チャネルも持つ。価格はオンラインの場合359ユーロから。

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