【レポート】

『新SOS大東京探検隊』『FREEDOM』、シンポジウムで語られた3Dアニメの現在形

    野口智弘  [2006/11/30]

    11月24日、日清カップヌードルとのコラボレーションで話題を呼んでいるオリジナルビデオアニメ『FREEDOM』のDVD第1巻が発売された。これに関連して、去る10月29日に六本木ヒルズ・森タワーにおいてシンポジウム「サンライズ・エモーションスタジオにみる3Dアニメの現在形」が行われた。

    このシンポジウムは、第19回東京国際映画祭に協賛する形で行われたアニメ上映企画「animecs TIFF 2006」の一環として組まれたプログラムで、会場には業界関係者だけでなく、一般からも多くの来場者が足を運んだ。

    「サンライズ・エモーションスタジオ」とは、2004年公開の劇場用アニメ『スチームボーイ』を制作した「スチームボーイスタジオ」を前身とするもので、『スチームボーイ』で培われた情報資産やスタッフをほぼそのまま引き継ぐ形で発足している。シンポジウムではサンライズ・エモーションスタジオが手がけた最初の成果物である『新SOS大東京探検隊』『FREEDOM』という2本のアニメ作品の制作過程を、それぞれの監督がプレゼンテーションする形で進められた。

    壇上には『新SOS大東京探検隊』監督の高木真司氏と『FREEDOM』監督の森田修平氏が登壇。両氏によって制作の苦労話や今後の課題点などが語られたが、興味深いのはアニメ業界でのキャリアが長い高木氏のほうが、3DCGならではの制作手法や映像表現にこだわりを見せたのに対し、3DCG制作を出自とする森田氏は「なるべく手描きのアニメに近い味を」と、むしろどれだけ2Dアニメの味を出せるかに注力しているという点。

    『新SOS大東京探検隊』の高木真司監督。『スチームボーイ』『BLOOD THE LAST VAMPIRE』といった先端性の高いアニメ作品で演出を担当してきている

    初期に大友克洋氏が手がけたキャラクター原案。打ち合わせの際に30分ほどで描き上げたものだという。「大友さんはこのころヒップホップ系のファッションが気になっていたようです」(高木氏 談)

    作画監督の小原秀一氏による線画デザイン。これをもとに3Dモデリングが行われた。小原氏の名前はシンポジウムで頻出。両プロジェクトにとって欠かせない人物であるとのこと

    完成版の3Dキャラクターデザイン。仕上げていく段階で顔のディテールや服装など、キャラクターに関する情報がかなり取捨選択されているのがわかる

    制作途中のサンプル映像から。手描きのレイアウトのなかをキャラクターの簡易モデルが動く様子はさながら「動く絵コンテ」といったところ

    大友克洋監督の『スチームボーイ』にルーツを持つスタジオの作品だけあって、『新SOS大東京探検隊』には原作、『FREEDOM』にはキャラクター&メカニックデザインという形で大友氏が関わっている。今後DVDリリースが行われる『新SOS大東京探検隊』、DVDシリーズがスタートしたばかりの『FREEDOM』。ともに単純に楽しめる娯楽作に仕上がっているが、「大友氏のイメージの映像化にどう挑戦したか?」という双方のアプローチの仕方を見比べながら楽しむのも「通」の鑑賞ポイントと言えそうだ。

    『FREEDOM』の森田修平監督。YAMATOWORKSというユニットで2005年に発表した3DCG作品『カクレンボ』が大きな評判を呼び、『FREEDOM』監督に抜擢されている

    比較用に提示されたレイアウト例から。手描きの絵コンテをかなり忠実に引き写していることが見て取れる

    主人公タケルの表情デザイン。通常のアニメ作品とほぼ同じフォーマットで描かれている。森田監督は発注の際「3Dになることは意識しないでほしい」と強調したという

    完成したタケルの表情パターンから。かなりの分量が作成された模様。いわゆるCG臭さはかなり抑えられており、これだけ見ると手描きの2Dアニメとほとんど区別がつかない

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