【レビュー】

使い勝手を徹底検証! Internet Explorer 7 vs. Firefox 2.0

3 結論 - "トレンドセッター"か"トレンドフォロワー"かの違い

    海上忍  [2006/11/08]

    フィッシング対策 - "数の論理"でIE7が勝るか

    セキュリティ関連機能としてIE7/FF2とも力を入れているのが、フィッシング対策。銀行など信用ある企業のサイトと錯誤させてカードや銀行口座の情報を入力させ、不正に金品を奪い取る、という世界各地で後を絶たないオンライン詐欺を予防するための機能だが、IE7とFF2それぞれで仕組みが異なる。

    IE7から新たに装備された「自動フィッシング詐欺検出機能」は、動的にフィッシングサイトを検出する働きを持つ。アクセスしたサイトが安全であるかどうかは、Microsoftのサーバから定期的にダウンロードされるサイトリストと照合することで確認されるが、リストにないサイトに接続したときにはMicrosoftのデータベースに問い合わせが行われ、フィッシングサイトかどうか判断される。つまり、ローカルにダウンロードした情報と、Microsoftのサーバの情報の二段構えでチェックされる仕組みだ。

    この機能は、IE7を初めて起動したときに有効化するかどうか選択できるほか、有効/無効にかかわらず手動で問い合わせることもできる。偽装ありと判断(または手動でレポートを送信)されたサイトの情報はまもなくMicrosoftのサーバに反映されるため、膨大な数のIE7ユーザで最新の危険情報を共有できる、強力な検出機能だといえる。この事実を踏まえると、偽装の疑いがあるサイト一覧をダウンロードするか、疑わしいサイトをGoogleに問い合わせるかの二者択一となるFF2のフィッシング対策機能は、IE7に比べて"あっさり"している。

    では、IE7とFF2の検出結果に差が生じるのだろうか? ClamAVでフィッシングサイトと確認されたサイトへIE7とFF2でそれぞれアクセス、フィッシングサイトと警告されるかどうかテストを行ったときの結果は表2のとおり。わずか3回のテストではあるが、FF2では報告から間もない偽装サイトの検出に失敗、それより古い偽装サイトの検出は成功している一方、IE7では全テストに成功している。1~2日で消滅してしまうことが多いフィッシングサイトの場合、情報の質/正確性という点を考慮しなければ、情報が集まりやすいぶん、ユーザ数の多いIE7が有利かも、という予測を裏付ける形となった。

    IE7を初めて起動したときに表示される、自動フィッシング詐欺検出機能のオプション

    IE7とFF2(右)で自動検出されたフィッシングサイト

    IE7には、フィッシングサイトかどうか手動で確認するためのメニューが用意されている

    FF2では、偽装サイトの判断基準がダウンロードしたサイトリストかGoogleかの二者択一となる

    表2 フィッシングサイト検出機能の動作テスト(テスト日:10月29日)

    サイト*報告日IE7(自動検出機能ON)FF2(Download)FF2(Google)
    偽サイト110/28××
    偽サイト210/27
    偽サイト310/26


    ClamAVでフィッシングサイトと確認されたサイトにアクセスし、警告が発せられるかどうかをテスト。サイトの性格上、URLは省略している

    まとめ - IE7とFF2は"大人の関係"だった

    Webブラウザの開発競争は、かつてInternet ExplorerとNetscape Navigator/Communicatorとの間で見られたが、Internet Explorerが圧倒的シェアを獲得したことにより終息。その後Operaなど第三勢力も登場したが、タブブラウジングやWebフィードなど新技術トレンドの創出には、Netscapeの後裔たるMozilla系ブラウザが大きな役割を果たしてきた。今回IE7とFF2が同時期にリリースされたことは、過去の経緯を思い出させるが、今後開発競争が再燃することはないだろう。

    その理由のひとつは、IE7が基本的に「トレンドフォロワー」であること。タブや検索バーなど、これまでサードパーティ製アドオンで代替されてきた機能をIE本体でサポートしたことは、明らかに"追随"だ。タブを一覧表示する「クイックタブ」を標準装備していたり、フィッシングサイト検出機能がより効果的な方法で実装されていたり、独自の工夫は見られるが、トレンドを創り出してはいない。

    もうひとつは、時流の変化。かつては有償のNetscapeと無償のIEという貨幣経済的な要素が含まれていたが、いまやWebブラウザは無償がデフォルトだ。市場を寡占し続けるIEのシェアが急低下してWindowsの販売に影響を及ぼさないかぎり、IEがWebブラウザ標準としてのトレンドセッターを目指すことはないはず。IEとFirefoxを二項対立の要素として見ることは、もはや見当違いだ。

    技術動向はオープンソースコミュニティが先導すると仮定したときのIEの存在意義は、「IE Tab」のようなアドオンを見れば説明がつく。圧倒的シェアを持つIEは無視できないが、その存在は尊重するということだ。IEもオープンソース系Webブラウザにあからさまな対抗姿勢を打ち出さず、IE7のように是々非々でトレンドを取り入れれば、開発リソースを節約しつつシェア維持を図れる。今回IE7とFF2を試すうち、そのような"大人の関係"を感じ取ったのだが……どうだろう?

    実装の速さではInternet Explorerの先を行くFirefox。今後はアドオンやテーマの豊富さで差別化を図る?

    「IE Tab」を使い、IE7のレンダリングエンジンで表示したところ。IEとの互換性を維持しつつFFの先進性を利用する賢い方法かも?

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