【インタビュー】
佐伯雅司氏(以下、敬称略)は、学生時代、すでに某大手自動車メーカーに就職が決まっていたのだが、大学の教授の紹介でソニーを受けることになったという。「義理で受けたら、受かっちゃった」という彼は、当時、マーケティングの世界で働ければ、就職するのは自動車メーカーでもソニーでもどちらでもよかった。しかし、ソニーに決めたきっかけが「どちらにしようか悩んでるとき、天井の蛍光灯からエネルギーの最終形は電気なんだと単純に考えた」からだという。
ソニー入社後は、コンピュータ部に配属された。「いわゆる電算課というところで、スーパーコンピュータを使ってSEみたいなことをやっていた。しかもいま思えば笑っちゃうのが、スーパーコンピュータといっても記録媒体がテープマウント(笑)。そんな時代」
その部署も1年で異動することに。「できることと、向き不向きって違うから。そういう意味ではゼロからはじめてプログラムとかも書けるようになったんだけど、結局、好きになれなかったんだね」。そして次に配属された部署は製品の販売統計を取る部署だったという。そこでは市場全体と自社商品の力を分析し、売り上げに関する資料の作成などを行っていた。
そのあと、彼に多大な影響をもたらしたというオーディオアクセサリ営業部に配属される。「小さなオーディオアクセサリのひとつひとつにも"ソニーらしさ"が感じられてね。それらの開発者も、それはもう真剣に製品開発に取り組んでいるわけ。見ていて夢のような技術者集団だったね。そのとき、ちょうどウォークマンが世に出たんだ」
音楽を外に持ち出すという文化を広めた立役者のウォークマンにも強い思い入れがあるという。「ウォークマンはヘッドフォンがイノーベーションだった。当時、プレスマンというステレオテープレコーダーがすでにあってね。音はスピーカーからステレオで出るんだけど、インナーで聴くときはなぜかイヤフォン(笑)。だから技術者たちはヘッドフォンをオープンエアにして徹底的に軽量化を図った。オープンエアのヘッドフォンがなかったらウォークマンという製品はここまで支持されなかったと思う」
「ソニーらしい物作りっていうのを、そういった人たちを見て体感できた」という佐伯氏。しかし、物事のすべてが思い通りに進むわけではない。仕事ではそれぞれの部署のスタンスがあり、信念がある。社内での交渉相手は固い信念を持った技術者たち。「ソニーのプロ向けのマイクはものすごく定評があって、当時、僕たちの世代はテレビの前でC-38Bをやたらと見てるわけ。ビジネス用のマイクロフォンや、初めて平面のマイクロフォンとかを開発したりね」
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