【インタビュー】

携帯の上のOS戦争--「王者」Symbianが語る対Linux、対Windows

    末岡洋子  [2006/11/01]

    携帯電話の普及とともに、標準OSを搭載したスマートフォンの市場が世界的に拡大している。スマートフォン市場で最大のシェアを誇る英Symbianは、これまでのハイエンドからマス市場に向けてフォーカスを広げている。

    Symbian 営業・顧客担当上級バイスプレジデント、Andy Brannan氏

    そのSymbianで営業・顧客担当上級バイスプレジデントを務めるAndy Brannan氏に、Linux、Windowsとの競争、マス市場に向けた課題、今後の機能強化などについて話を聞いた。

    --スマートフォンの普及が進んでいます。Symbianはその中で最大手ですが、競争をどのように見ていますか?

    Brannan氏: 端末メーカーがどこを中心に展開しているかに影響するため、地域により異なります。でも、競争は対Linux、対Windowsというより、いまだに携帯電話の95%を占めるプロプライエタリOSといえます。

    日本市場では、(Linuxとともに)NTTドコモのFOMAに採用されていることもあり順調です。

    Linuxと比較したときのSymbianの強みは、優れたビジネス上の提案ができる点です。端末メーカーはSymbianにライセンス料を払います。この場合、ボリュームが増えれば1台あたりの開発費は下がるという仕組みです。Linuxの場合、自社ですべて開発作業を行うため、コストがかさみます。

    Windowsとの競争ですが、Symbianのライセンシー(端末メーカー)は世界の携帯電話の約80%を出荷しています。Windowsのシェアは少しずつ増えているようですが、われわれはライバルと意識していません。実際、Symbianのシェアは70%のところで安定しており、本当の競争は対プロプライエタリOSです。

    --Linuxを巡っては、メーカーもオペレータも力を入れています。共同で仕様を策定しようという動きがあり、アライアンスも立ち上がっています。

    Brannan氏: Linuxは標準化されていませんし、そのためのアライアンスはあっても、まだ成果は見えていません。

    Symbianはすでに6年間、OSを提供してきた実績があります。また、Symbianは企業であり、ビジネスとしてOSの安定性、互換性のあるAPIの提供に取り組んでいます。そういったSymbian OSの強みから、対応アプリケーションがたくさん開発されており、先日も米GoogleがGoogle MapsをまずSymbianに対応させました。

    Nokia E61上でGoogle Mapsを表示

    エコシステム、バリュープロポジションを提案することは、われわれの事業にとって要です。

    --スマートフォン全体の課題はマス市場への普及といえますが、現在の取り組みについて教えてください。

    Brannan氏: コストとサイズはマス市場向けソリューションのキーです。

    コスト側では、ライセンス体系を変更し、値下げしました。これにより、ボリューム増を狙います。われわれにとっても、トータルでは売上げ増となると見込んでいます。

    サイズでは、OSのハードウェア要件を拡張しないようにしています。Symbianの歴史はモバイルです。WindowsはデスクトップPC、Linuxはサーバー側からモバイルに進出した技術ですが、Symbianは最初からモバイル向けのOSとして生まれ、発達してきた経緯があります。モバイルでは、処理能力、メモリ、バッテリなどの制限が大きく、この環境で最も魅力的な機能を提供することにフォーカスしています。

    --アプリケーションとしては、どのようなトレンドがありますか?

    Brannan氏: これも地域差があります。

    日本は、ゲームなどエンターテイメントや遊びの要素が強いアプリケーションが多いようです。欧州も、日本ほど進んでいませんが同じです。

    私個人のお気に入りとしては、BBCが提供するニュースのダウンロードサービスを利用しています。申し込みをしておくと、その日のニュースダイジェスト(約10分)が毎朝決まった時間に自動的にダウンロードされて、後で閲覧できます。

    今後はモバイルTVも期待されています。

    米国は、PDAが強かったこともありスマートフォン市場がまだ小さく、アプリケーションの数そのものも少ないのですが、どちらかというとエンタープライズ向けのアプリケーションが多いようです。

    --3G、GSMなどのセルラー技術に加え、無線LANなどの新しい無線技術も登場しています。Symbianの立場はどのようなものですか?

    Brannan氏: すべてをサポートする戦略です。最新バージョンの「Symbian 9.3」では、無線LANをネイティブでサポートしました。実際、Symbianではネットワーク分野に大きな投資をしています。

    ライセンシーの端末メーカー、オペレータは、さまざまな無線技術をブレンドするアプローチを好んでいるようです。Symbianとしては、ライセンシーとオペレータが無線技術を自由に選択できるよう支援していく方針です。すでに無線LANをネイティブでサポートしたため、WiMAXも容易にサポートできます。

    今後、FMC(固定と無線の融合)のトレンドも後押しして、同一端末で複数の無線を使いわけることは普通になってくるでしょう。OS側では、シームレスなハンドオーバーを支援できるような技術拡張も課題に入っています。

    --今後、どのような機能強化を考えていますか?

    Brannan氏: HSDPAサービスがはじまることがあり、マルチメディアのサポート強化を考えています。性能の改善と最適化を通して、ストリーミング、ダウンロードを容易かつ効率よくできるようにしていきます。

    また、各種DRM(デジタル著作権管理)技術のサポートもあります。DRM技術は国や地域により異なるので、フレームワークを提供することで、容易に遵守できるようにしていきます。

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