【レポート】

MySQL - "Enterprise"と"Community"の違いとは?

1 キーワードは「安定性」と「ユーザサポート」

    松信嘉範  [2006/10/31]

    オープンソースRDBMS「MySQL」の開発ベンダであるMySQL ABは、10月17日に「MySQL Enterprise」を発表した。すでに多くのWebサイトでアナウンスされている通り、MySQLは今後「MySQL Enterprise Server」(以降、Enterprise Server)と「MySQL Community Server」(以降、Community Server)に分かれることになる。両者がどのように異なるのかを紹介してみたい。

    Community ServerとEnterprise Serverの違い

    Community ServerとEnterprise Serverの違いを表1に簡単にまとめた。特に大きな点をピックアップして解説する。なお、これは現時点でのMySQL ABの方針であり、将来的には変更される可能性もあることをご了承いただきたい。

    表1 「MySQL Community Server」と「MySQL Enterprise Server」の違い

     Communitiy ServerEnterprise Server
    オープンソース
    機能の搭載方針実験的安定志向
    重点的な品質保証テストの実行×
    月ごとのバグフィックスのリリース×
    四半期ごとのサービスパックのリリース×
    緊急時のホットフィックスのリリース×
    顧客の要望に応じたパッチのリリース×
    認定バイナリの提供×
    24時間×7日のプロダクションサポート×
    GUIの支援ツール(インストーラ、監視ツールアドバイザーツール)×
    バージョン更新の自動連絡×
    ナレッジデータベースの利用×

    開発スタンスの違い

    Enterprise Serverは、安定性を最も重視しており、入念な品質保証テストを行った上でリリースされる。また安定版リリース後は、新機能の搭載などは、潜在的なバグを誘発する危険があるため、極力行わない。

    一方Community Serverは、安定性よりも新機能の取り入れを重視しており、安定版のリリース後であっても、ユーザからのパッチなどを積極的に取り入れていく。

    現時点でソースコードはCommunity Server、Enterprise Serverともに同一であるが、両者のスタンスが明らかに異なるため、将来的には分岐していくことになる。ただし、まったくの別物になるわけではない。たとえば、4.1、5.0、5.1といったメジャーバージョンは統一される。このため、5.1のCommunity Serverと5.1のEnterprise Server、といった形でリリースされることになる。同一のメジャーバージョンの中で、Community ServerとEnterprise Serverに若干の機能差異が出るわけである。両方で利用可能な機能に限定して使う場合は、Community ServerからEnterprise Serverへの移行も容易であろう。

    リリースサイクルの違い

    これまでMySQLのリリースサイクルは不定期であったが、今回Enterprise Serverのリリースサイクルが明確に決められた。具体的には、毎月ホットフィックスが提供され、四半期ごとにサービスパックが提供されるようになる。重大なバグが発見された場合には、緊急リリースが行われる。一方、Community Serverのリリースサイクルはこれまで通り不定期である。

    リリース方法の違い

    これまでMySQLは、リリースのたびに、ソースコードだけでなく、さまざまなプラットフォーム向けに最適化コンパイルされたバイナリが提供されていたが、この方針にも見直しが入った。Enterprise Serverは、ソースコードのみがGPLライセンスとして公開され、バイナリについては「MySQL Enterprise」サブスクリプションを購入したユーザにのみ提供されるようになった。一方Community Serverは、これまで通りソースコード(GPLライセンス)、バイナリともに一般ユーザに提供される。

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