【レポート】

アックゼロヨン・セミナー2006 Vol.4に見るWebアクセシビリティの進化

1 特定環境に配慮したコンテンツは必要ない

    棚橋弘季  [2006/10/31]

    「日本のWebサイトをアクセシブルかつクリエイティブにしよう!」をスローガンに活動を行うアックゼロヨンは9月、東京・両国のKFCルームにて「アックゼロヨン・セミナー2006 Vol.4」を開催した。4回目となる今回のセミナーでは、アクセシビリティのスペシャリストであるミツエーリンクスの中村精親氏・辻勝則氏、アックゼロヨン・アワードの審査員も務めるインフォアクシアの植木真氏を迎え、「アクセシビリティの現在とこれから」をテーマに、Webアクセシビリティの専門家でもない筆者にとっても非常にわかりやすく興味の持てるプレゼンテーションが行われた。ここではその中から今後のWebアクセシビリティを考える上でのヒントと思われる点を中心にセミナーの模様を紹介したい。

    「配慮」から「本来あるべき姿へ」

    中村氏と辻氏の2人が行ったプレゼン「ミツエーリンクスのWebアクセシビリティへのアプローチ」では、全盲の辻氏によるスクリーンリーダー「JAWS」や「IBM ホームページ・リーダー」のデモなども交えながら、「配慮」にとどまらないWebアクセシビリティへのアプローチ方法が紹介された。

    スクリーンリーダーのデモを交えながらプレゼンを行うミツエーリンクスの中村精親氏・辻勝則氏

    Webアクセシビリティの一般的な認識といえば、高齢者や障害者がWeb上の情報にアクセスしやすいよう情報提供者側が配慮を行うことであるというものではないかと思う。しかし、中村氏と辻氏によれば、特定環境に「配慮」した特別なコンテンツを用意するは必要ないという。高齢者への「配慮」のために文字サイズを大きく設定してしまえば解像度の低いモニターで見る人が困るし、色覚障害者への「配慮」のために表現のための色を限定してしまうと色覚障害者以外の人が見づらくなることもあるというのがその理由だ。

    そうした配慮はWebコンテンツ側で行うのではなく、JAWSなどのユーザーエージェントや音声ブラウザなどの支援技術側で対応することが望ましく、Webコンテンツ側で行うべきは環境に依存しないコンテンツを作成することだ、というのが中村氏と辻氏が示したWebアクセシビリティの「本来あるべき姿」だ。具体的には、見出しなどの文書構造がきちんとしたコンテンツを作成し、かつ文書構造と表現が分離されていれば、音声ブラウザでも使いやすいと辻氏は言う。あとは、誰をターゲットにし、何を伝えたいかという、アクセシビリティに限らず、コンテンツには必ず求められる条件を満たしていることのほうが重要だということだ。

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