【レポート】

NTT Communications Forum 2006 - ICTソリューションパートナーとしてビジネスモデル変革の扉を開く

    又江原恭彦  [2006/10/28]

    NTT Communications Forum 2006が26日に開催され、和才博美氏・NTTコミュニケーションズ代表取締役社長の基調講演(モデレータ: 福島敦子氏)が行われた。かつて「IT」といえば、企業向けのソリューションを中心としたサービス技術の展開であったが、インターネット・モバイル・ブロードバンドの普及により、各企業のサービスは個人である「消費者」へと急接近し、消費者を視野に入れた事業展開が求められる時代へと変わってきている。

    ICTソリューションパートナーへの変革

    基調講演では従来のITソリューションと「C(Communication)」が一体化した「ICT」が社会全体に大きなインパクトを与え、そのインパクトに耐えうるビジネスモデルの変革を推進することをベースとしたNTTコミュニケーションズの新たな事業モデルが説明された。

    今までのNTTコミュニケーションズのビジネスは通信サービスを中心にした企業向けソリューションだったが、NTTグループの中期経営戦略の一環としてISP事業を行うぷららネットワークスやポータルサイト「goo」を運営するNTTレゾナントが同社の子会社となり、通信インフラからネットビジネス展開が可能な上位レイヤーのサービスまで一環して揃えられた形となる。

    法人向けサービスと消費者向けサービスの2本柱となる事業展開でありつつも、強調されていたのは、その2社間の「コミュニケーションインフラ」をNTTコミュニケーションズが提供することであった。

    10年以上前までさかのぼってしまえば、消費者が「可処分時間」、つまり余暇として自由に使える時間の多くはテレビを中心とした一方通行のサービスに使われていた。その時代では広告を展開したり、商品・サービスの説明やアピールを行っても、「おそらくはこれくらいの効果があったであろう。○○人くらいの消費者には伝わったであろう」という、結果が曖昧なコミュニケーション手段しか取ることができなかった。しかし、今ではインターネット利用者は国民の8割にもおよび、ブロードバンドの普及率も40%を突破した。さらには携帯電話は1人1台の時代となり、その携帯電話すらもインターネットにつながるのが「常識」の時代へと急速に変化している。

    その中で各企業は、消費者とダイレクトにつながる、消費者を分析できるサービスや事業の展開を進めつつも、二つの大きな課題に直面した。

    企業が消費者に追い越される時代に

    ひとつは企業が提供するサービスや事業の内容に対して、消費者のほうが「完全優位」にたったことである。あるサービスに対する消費者の「見る目」は飛躍的に向上し、そのサービスに対する評価や情報を入手しようとすれば、誰もが一定レベルの情報を入手できるようになったことで、企業が消費者に完全に追い越される現象が出てきている。

    もうひとつは「可処分時間」の奪い合いである。テレビで言えば視聴率競争に近いのかも知れない。例えばテレビでの民間放送は数チャンネルの選択肢が中心とっているが、唯一無二のサービスはほとんどない。消費者は探せば類似のサービスを見つけ出すことができ、また、そのサービスの提供を受けることができる今の時代では、自分が余暇として使える「可処分時間」の使い道をネットに求めることもできる。そしてネットには、消費者にとって無限の選択肢が待ち受ける場ともいえる。さらに現在は、消費者自身がサービスの提供者になるという選択肢もある。

    このような状況は、既存のサービスを提供している企業にしてみれば、目に見えない無数の競争相手と熾烈な消費者獲得競争の真っ只中に突入した状態ともいえる。

    企業間、企業と消費者間の純粋な「通信インフラソリューション」を提供するモデルから、完全に消費者が優位な状態になり、提供者側の数が無限に増えた中で、その間を結び、的確な情報と分析を成立させる「コミュニケーションインフラソリューション」を提供するビジネスモデルへの変革。これはNTTコミュニケーションズにとっても大きなチャレンジであるが、そのチャレンジを確実に遂行する決意がアピールされていた。

    モデレータ福島敦子氏のインタビューの中で和才社長は次のように答えている。

    「消費者と企業を結び、的確な情報を抽出・分析することはできますし、遅からずその時代はやってくるでしょう。しかし、そこで『人間の感性』までも捉えることはできません。逆行するような話かもしれませんが、その『感性』にも上手につながるサービス内容・ビジネスモデルも模索していく必要があると考えています。」

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