【レポート】
そのソフトバンクは9月28日に、13機種の新製品を一挙にお披露目した。孫正義社長は発表会見の冒頭で「リングに上がる前のボクサーのような、充実した気持ち」と話した。そして、これまでNTTドコモもKDDIも一度にこれだけ多くの機種を世に出してことはないことを指摘、先行する2社に挑戦状をたたきつけた。
500万画素カメラ搭載機、カールツァイス製レンズ採用カメラを備えた製品、「Windows Mobile 5.0」を採用、QWERTYキーボードを備え、下り最大1.8Mbpsの高速インターネット通信が可能な機種などをならべてみせた。極めつけは、折りたたみタイプで最薄の約12.3mm、スライド式携帯電話機として世界最薄の約12.9mmという端末。しかも、いずれの機種にも「Yahoo! JAPAN」のさまざまなサービスやコンテンツを携帯電話で利用できる、「Yahoo!ケータイ」への直通の入り口となる「Y!」ボタンを設けている。
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ソフトバンクの孫正義社長(左)とヤフーの井上雅博社長 |
ソフトバンクは、多彩な機種をこれでもかとばかり取り揃え、競合に比べ見劣りしていた端末の陣容をいっぺんに充実させた。その多様性に富んだ製品群は多くの人々を瞠目させることに成功した。ただ同社の基本戦略は、何といっても、携帯電話をパソコンに近づけることにある。パソコンでインターネットを縦横無尽に利用できるのと同じ水準の環境を、携帯電話にももたせることだ。
携帯電話でのインターネット活用は、NTTドコモがiモードで先鞭をつけ、KDDIもEZwebを擁しており、さまざまなコンテンツがそろえられている。しかし、これらは通信事業者自体が定めた枠組みの下にある公式サイトを中心としている。そしてソフトバンクは、その「閉鎖性」を衝いてきた。孫社長は公式サイトの弱点に言及、インターネットの世界には無数のコンテンツがあると強調してきた。「Yahoo! JAPAN」を足がかりに、ケータイインターネットで一気に主導権を握ろうという腹だ。
iモードを見つめるヤフー - ソフトバンクの携帯戦略
待ち受け画面からデスクトップへ - iモードを見つめたソフトバンクの答え
実は、NTTドコモとKDDIも「iモード型」の限界に気づき始めている。NTTドコモがヤフー、Googleをはじめ、あわせて13種もの検索エンジンと連携できるようにしたり、KDDIがGoogleと提携したのは、単に対ソフトバンクモバイルという意味から発したものではない。
これまで、ソフトバンクは本当に強い競合を追撃していけるのかとの疑問が、通信業界内には滞留していた。いうなれば、あの脆弱だったボーダフォンとして、同社は見られていたのだといえる。しかし、この13機種の壮観は、同社をみる目を一変させた。こんな芸当はボーダフォンにはできなかった。ともあれ、ソフトバンクの多機種攻勢は、いわばボーダフォンがソフトバンクモバイルに変容したことを強く印象づけたのだ。
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