【レポート】
中でも、コンバージェンスとソフトアライアンスは出井氏の事業執行における柱となった。コンバージェンスのため、ソニーは家電事業だけでなく、音楽や映画にも事業を拡大し、PCやモバイルにもそのテリトリを広げた。
これを支えた戦略がソフトアライアンスだ。出井氏は、携帯電話のソニー・エリクソン、韓国のSamsungと結んだLCD画面でのアライアンス、トヨタとのアライアンスの3つを挙げる。
たとえば、ソニー・エリクソンについては「日本の携帯電話システムは海外では利用できない。インターナショナルで競争するためにジョイントベンチャーを立ち上げた」と語る。現在、5年目を迎えるソニー・エリクソンは、世界携帯電話市場4位に付け、成功を収めている。
また、Samsungとの提携については、「政府から、どうして韓国企業と組むのかと批判を受けた」と明かす。だが、「韓国企業は製造工程での投資において、日本企業より優れている」と述べる。文化の差はあるものの、事業は拡大していると言う。
「自社で全部はできない」。技術の進化は速く、それなりの投資も必要だ。スピーディに市場に出るには、部分的に提携するソフトアライアンスは有効な手段と見たようだ。
出井氏は今後10年間について、テレコム業界に大きな変化が起こり、業界が垂直型から水平になること予想する。これまで、TV、PCと中心が変化し、携帯電話は最大のパーソナルメディアとなった。コンテンツでは今後、自社コンテンツをTV、携帯電話とさまざまなメディアに提供できることが大切になる。業界やビジネスの境はさらにあいまいになり、競合も複雑になる。コンテンツ業界はもちろん、メーカーにとっても大きなチャンスとなり、「次世代デバイスをどのように設計するのか、おもしろい時代になった」と出井氏。
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出井氏は後半、司会者や会場からの質問に答えた。たとえば、「日本の家電業界は死んだのか?」という質問に対し、「死にかけている」と出井氏。1990年以降の変化にいまだついていけない日本の家電メーカーがいくつか存在すると示唆した。1998年、アジア通貨危機の後に競争のランドスケープは変わり、グローバルレベルになった。韓国企業の台頭もこの後だ。
「家電というコンセプトそのものが古い。企業は、ITをベースにPC、携帯機器などのオペレーションを統合できるよう、自社を変革しなければならない」。これは、銀行、鉄鋼などの業種でも起こったことだという。
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