【レポート】

ETRE 06 - Skype CEO「eBayによる買収は想定外」 - 重視するのは迅速なイノベーション

1 オンラインコミュニケーションの潜在性

    末岡洋子  [2006/10/12]

    Skype Technologiesは、巨大企業のeBay傘下となった後もフォーカスを失っていないようだ。スウェーデンとデンマークで2003年に立ち上がった小さなベンチャー企業は、バズワードのVoIPではなく、創業時からコミュニケーション企業を目指してきた。

    資金繰りに苦労した時代もあった、と明かすZennstrom氏。この日は欧州ベンチャー、およびVCに辛口のアドバイスも行った

    スペイン・バルセロナで開催中の年次欧州ITイベント「ETRE 06」で、Skypeを立ち上げたNiklas Zennstrom氏(共同創業者兼CEO)が、Skypeの戦略、eBayとの統合などをテーマにスピーチを行った。

    Skypeのフォーカスは、安い通話サービスではない。Skypeが目指すのは、世界レベルでのコミュニケーションを実現すること。音声通話はその1つに過ぎず、IM、ビデオ、SMS、自己表現などの機能すべてがそれを支える。それを、あらゆるプラットフォームで実現しようというのが、SkypeのビジョンだとZennstrom氏は言う。

    Skypeは成長を続けている。登録ユーザーが増えているだけではなく(図1)、利用も増えている。直近の数字では、2006年第2四半期、Skypeを利用した通話は71億分(図2)。現在、国際通話の7%がSkypeという。

    図1

    図2

    Zennstrom氏は、Skypeを後押しする4つのトレンドを挙げた。まずは、コミュニケーション。オンラインで費やす時間の44%は電子メール、IM、VoIPなどのコミュニケーションサービスで、Skypeは他のコミュニケーションサービスと統合することで、コミュニケーション市場のパイを獲得する、とZennstrom氏は言う。

    2つ目がブロードバンドだ。急速に進むブロードバンド普及もSkypeの後押しとなる。ブロードバンドサービス加入者は2005年の1億8500万人から2007年には2億5700万人、2009年には2億1700万人と、70%近くの成長率で増加する見込みという。

    3つ目にZennstrom氏が触れたトレンドは、広告だ。Skypeは広告モデルを採っていないが、オンライン広告市場は、年間平均成長率107%増の右肩上がりで成長している。「Skypeも活用できると思う」とZennstrom氏は述べ、長期的には、通話から多くの収益を得ているSkypeの収益モデルも変わってくるとの予想を示した。Googleなどはオンライン広告で、クリックにより広告主に電話をかけられる"Pay per lead"サービスを提供しているが、今後このサービスも一般的になってくるだろうとZennstrom氏はみている。

    4つ目は携帯電話。ドイツではPCよりも携帯電話を所有する人が多く、中国になると3倍以上の差がある。世界的に見ると、携帯電話ユーザーはPCユーザーの2倍。携帯電話市場は分断化されており、サービスに対応できる機種とできない機種とがある。また、ユーザー側も複雑なことに利用するのに慣れていない。このような挑戦課題はあるものの、「潜在的なチャンスは大きい」とZennstrom氏。

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