【レポート】

Seasarは鶏か卵か? - ひが氏、キャズム越え柔道ストラテジ語る

2 OSSがキャズムを越えるには - 柔道ストラテジを検討

    後藤大地  [2006/10/03]

    「すでに優れたOSSプロダクトがあるのに、誰が責任を持つのかという問題で、これまで(OSSプロダクトの)企業での採用があまり進まなかったという現状があると思う。OSSプロダクトを採用するとなると採用事例が必要になるが、これは鶏と卵の関係だ」と比嘉康雄氏はOSSプロダクトと企業における関係を説明した。

    図2 電通国際情報サービス 開発技術センターSeasar2技術推進グループ 比嘉康雄氏

    そこでエンタープライズにおいてOSSプロダクトが採用されるには、キャズム、すなわち多くのプロダクトが越えられない深い溝を越えていく必要があるという。これはエンタープライズ分野に限らず、OSSプロダクトの普及にとって普遍的とも言える原理かもしれないと同氏は意見を述べた。

    図3 テクノロジーのライフサイクル

    ではこの鶏と卵の関係をどのように打破し、キャズムを越えていけばいいのか、同氏はまずニッチ市場を攻めるべきだと指摘する。同氏はSeasar2の例を取り上げ、なぜエンタープライズ分野にフォーカスしたのかを次のように説明した。

    • 日本のエンタープライズ分野の重要視
      • 開発効率化への強いニーズ
      • OSSフレームワーク導入の遅れ
      • マーケットリーダーの不在
      • (会社として)金融分野での強み強い
      • 次のセグメント攻略の容易さ
    • 手厚いサポートの提供
      • リスクの除去
    • ホールプロダクトの提供
      • コンサルティング、教育、サポートなどが統合されたソリューションの提供
      • ベンダとのアライアンス

    また、より普遍的な戦略として、「柔道ストラテジ」をとりあげ、これをそのままOSSプロダクトにも適用できるのではないかと意見を述べた。柔道ステラテジとは柔道における攻め・受けの概念で、同氏は次のように説明する

    • ムーブメント
      • これからの競争においてよいポジションを獲得する
        • 攻撃を呼び込まない
        • 競争の場を定める
        • フォールスローを加える
      • バランス
        • 巧妙に攻守のバランスを保ち敗北を避ける
          • 相手をつかむ
          • 全面対決をしない
          • 引かれたら押す
      • レバレッジ
        • 相手の強みを弱点として捉える

    同氏はこれをSeasar2に置き換えると、次のようになるとした。

    • ムーブメント
      • これからの競争において良いポジションを獲得する
        • 競争相手を刺激するようなことはしない
        • 競走の場を日本に定める
    • バランス
      • 巧妙に攻守のバランスを保ち敗北を避ける
        • 米国のDI分野で直接対決はしない
    • レバレッジ
      • 従来は設定ファイルにおける制御を強みとしている流れだったため、これに対して設定ファイルを書かない開発を強みとする

    オープンイノベーションをサポートするISID

    ISIDではこうした内容に基づき、「オープンイノベーション」の推進に向けて事例の公開やハードウェアベンダとの協業によるベンチマークの取得および公開といった取り組みを進めている。ほかにもSeasar2の商用サポートサービスの提供、コンサルティングサービスの提供、教育プログラムの提供といった事業を実施している。

    同社における強みは、オープンイノベーションをそのまま顧客に適用するのではなく、いったん社内で支援チームの結成、教育プログラムの開発などを実施し内部化を実現してから、顧客ビジネスへの適用を実施している点にある。OSSプロダクト→イノベーションの社内化→顧客ビジネスへの適用→OSSプロジェクトへフィードバック、という流れが実現されている。

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