【レポート】

The European IT Forum 2006 - "The Long Tail"の作者語る Web 2.0時代のマーケティング、そしてシステム

1 既存市場に見るロングテール

    末岡洋子  [2006/09/26]

    Chris Anderson氏

    調査会社の米IDCは9月25日より2日間、年次カンファレンス「The European IT Forum 2006」をフランス・パリで開催した。初日の25日、基調講演にWeb 2.0時代のマーケティング"The Long Tail"の著者、Chris Anderson氏が登場し、インターネットがもたらした新しい市場について語った。

    日本でも話題となっている"The Long Tail"を執筆したAnderson氏は、Wired Magazineの編集長の立場から業界を見てきた人物だ。

    Anderson氏は自論のロングテール現象を説明するにあたり、まずは音楽レコード市場でヒット商品が占める割合が減少している事実、TV視聴率でヒット番組の視聴率が減少している事実を示した。

    TV視聴率の場合、1950年代のヒット番組「I Love Lucy」の視聴率は70%もあったのに対し、2005年のヒット番組「CSI」は10%前後(図1参照)。「かつて全米の10人に7人が同じ時間に同じ番組を観ていたが、いまでは同じ時間に同じ番組を観る人は最高でも10人に1人になった」(Anderson氏)。音楽レコード市場では、米国最大のレコード小売店WalMartとオンライン音楽ダウンロードサービスのRhapsodyのデータを比較する(図3)。WalMartの商品棚に並ぶのは多くても700種程度といわれている。だが、Rhapsodyにはこの制限がない。両社の人気商品売上げを比較すると、WalMartがトップ2万5000点にとどまっているのに対し、Rhapsodyの商品は無限に続く。

    図1

    図2

    図3

    Anderson氏はこのような現象を「市場の分断化」と呼ぶ。これは、商品や番組の選択肢が広がったことに加え、検索エンジンなどそれを探し出す技術が利用できるようになったために実現したもので、Anderson氏が人気商品の表では商品の種類の数(尻尾)が長くなるこのような現象を、"ロングテール"と名付けたのは周知の通りだ(図2)。「この世界では、少数のヒット製品が多数を占めるのではなく、販売高が低い製品が無数に続く」(Anderson氏)。

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