【レポート】
3Dゲームグラフィックスへの活用はまだ実験段階だが、いずれ近い将来実現されるだろうというリアルタイムグラフィックスの技術にPRT(Precomputed Radiance Transfer)というものがある。
PRTの日本語訳は「事前計算・放射輝度・伝搬」となり、なにやら言葉の響きからして難しい感じがするが、現在、世界のグラフィックス研究者の研究テーマとしてはもっとも熱いものの一つとして注目されているテーマであり、近代リアルタイム3Dグラフィックスを語る上ではどうしても避けては通れない状況になりつつある。CEDEC 2006では、PRTに関連した2つのセッションが設けられていた。
本稿では、現在のPRTについての研究の最新動向を取りあげた「使える最新PRTのススメ~お前のPRTはもう死んでいる」についてまとめてみたいと思う。
リアルタイム3Dグラフィックスで、実装に向けて研究が進められている「大局的な照明技術」(Global Illumination : グローバルイルミネーション)というものがある。
現在のリアルタイム3Dグラフィックスでは、光源を設定したら基本的にはその光源の光を直接受ける陰影の計算しか行わない。現実世界では、第三者に遮蔽されたり、光がある物体に当たって反射したその光も、また光源となりうるのだが(二次光源)、こうした処理は省略されるか疑似手法(フェイク)で代用されることが多い。フェイクでもそれなりにつじつまが合っているように見えればそれはそれでいいのだが、なにか違和感が残ってしまう局面も少なくはない。
PRTは、そうした複雑な光の伝搬について、オフライン(非リアルタイム)で時間を掛けて予め計算してしまい、リアルタイムレンダリング時にその計算結果を利用して大局照明を実現してしまおうという発想だ。
PRTについても、何を事前計算するかによって複雑度の度合いは変わってくるのだが、このセッションでは「環境マップを丸ごと光源と考えて、複雑な遮蔽に配慮してリアルタイムレンダリングする」というテーマに限定している。
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