【レポート】

上場廃止危機のApple Dell Novell、いったい何が?

    Junya Suzuki  [2006/09/22]

    報告書類提出遅れに関するトラブルによりNASDAQから警告を受け、IT業界を代表する企業が短期間に次々と上場廃止の危機に見舞われている。米Appleが8月中旬に同問題からNASDAQにより警告を受けていたことを報告したことを皮切りに、今度は9月21日に米Dellが同様の問題で警告を受けたことを報告、さらに同日に米Novellも警告を受けたことを明らかにした。通常、上場企業は四半期ごとの米証券取引委員会(SEC)への決算報告を義務付けられており、提出が滞ると警告のうえで上場廃止の可能性も出てくる。今回、これら3つの企業にいったい何があったのだろうか。

    一連の上場廃止勧告問題のきっかけとなったAppleでは、その理由をストックオプションの不正付与の関するSECの調査のために提出が遅れたと説明しており、すでに決算前の段階で書類提出の遅れから上場廃止勧告が来ることを告知している。Novellも同様に、ストックオプション付与に関する調査から書類提出が遅れることを報告しており、調査が終了しだい速やかに提出すると問題が一時的なものであることを強調する。一方でDellは、同社の過去の会計報告内容についてSECの非公式での調査が入っていることが提出遅れの原因だとしており、前2社と理由は異なれど、やはりSEC側の調査が結果的に提出の遅れにつながっていることをほのめかしている。

    現在、ストックオプションの適用については、その運用の適正さを巡り、当局からの監視が厳しくなっている。例えば今年7月には、ファイバチャネル(FC)スイッチメーカーの米Brocade Communications Systemsの元幹部ら2人が、より高い利益(キャピタルゲイン)を得ることが可能なようにストックオプションの行使日を改ざんしていたとして、SECと検察当局に逮捕されるという事件があった。

    ストックオプションでは、行使日の株価(株券の購入価格)と売却日の株価の差がそのまま売却益として手元に入るため、行使日を調整して購入株価を下げることで、キャピタルゲインを増やすことが可能になる。もちろん、このような書面の数値操作は違法であり、発覚した場合には刑事罰は避けられない。前出のAppleのSECによる査察も、こうした数値操作の疑いがあるとして行われていたものだ。

    上場廃止警告というと穏やかではないが、実際にはNASDAQ側に公聴会開催を提案することで、審査終了までは上場廃止の判断を遅らせることが可能なため、これが即上場廃止へとつながるわけではない。だがコンプライアンス遵守が叫ばれるなか、ストックオプションの適正な運用が行われているかを理由にIT企業各社をターゲットに査察が行われていることは、キャピタルゲインを当てにした技術者や投資の呼び込みや過熱気味のマネーゲームで湧き上がるIT業界への、当局からの警鐘とでもいえるだろう。

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