【レポート】

夢のこけない自転車「スマートサイクル」

1 産官学連携プロジェクト「スマートサイクル」

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スマートサイクルの研究開発は大阪府立大学工学部航空宇宙工学科が中心となって進められた

あぁ、こけるぅ~! 自転車に乗っていると、だれもが思わずこんなヒヤリとする瞬間に遭遇するものである。ふとよそ見をしていて、ちょっと考え事をしていて、路上の石や段差にハンドルを取られて、あるいは急な飛び出しに出会って……などなど、たいていは予期せぬ時にアクシデントはやってくる。少しふらついて危ない目に遭ったくらいならまだしも、派手にこけてしまうと恥ずかしいし、何より自分や周囲に怪我などの被害が及ぶなら大変なことになりかねない。

しかしながら、そんな心配をする必要のない、最新の技術を搭載する自転車の研究開発が進められているという。今回のレポートでは、大阪府立大学工学部航空宇宙工学科の砂田茂助教授および得竹浩助手が中心となって進めている、大阪府堺市の産官学連携プロジェクト「スマートサイクル」の実態に迫ってみようと思う。

自転車の街・堺で

古くから刃物の名産で知られた堺は、その伝統的な鍛冶職人が腕を振るって、戦国時代には鉄砲の大量生産地として有名になり、明治以降はその技術を活かし、自転車産業が盛んになったとされている。

自転車の街・堺市にある大阪府立大学。自転車での通学も目立つ

なんと学内にまで、自転車販売および修理コーナーが!

今回のインタビューに応じてくださった得竹浩助手は、そんな堺の街を歩きつつ、4年前にふと、自転車のハンドル操作をコンピュータ制御できるスマートサイクルの発明を思いついたという。目の前を走る自転車に乗ったおばさんが、段差のある道路に乗り上げようとした時、思わずバランスを崩してこけそうになった……危ない! それは一瞬の出来事で、特に大事には至らなかったそうだが、考えてみれば自転車に乗っている以上、これと似た状況には度々遭遇するものである。また、特に高齢者は、加齢による動体視力の低下などが原因となり、瞬発的なハンドル操作に遅れが生じやすくなって、安心して自転車に乗れなくなる。

大阪府立大学工学部航空宇宙工学科の得竹浩助手

人が自転車をこぐ力をモーターでアシストする「電動サイクル」が、改良を重ねつつ、すでに広く普及し始めている。では今度は、自転車のハンドル操作をアシストする"スマートサイクル"が誕生したならば、もっと快適かつ安全に自転車に乗れるのではなかろうか……。

しばらくアイディアを練った同助手は、堺市内の中小企業が集まる堺工業技術研究会に、スマートサイクルの研究案を持ちかけた。おりしも、堺工業技術研究会は50周年を迎えようとしていた頃で、その技術力をアピールできるような新企画を募集していたところだったという。これに堺市が賛同し、2004年10月、スマートサイクル研究開発の産官学連携プロジェクトが本格的に立ち上げられるに至った。

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インデックス

目次
(1) 産官学連携プロジェクト「スマートサイクル」
(2) 航空機の制御技術がベースに
(3) スマートサイクルがこけない理由
(4) 体感! これが「スマートサイクル」完成モデルだ!
(5) 「スマートサイクル」のこれから
(6) 自転車を超えて広がる応用例

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