【レポート】
この数年、一般的な事業会社が金融の分野に参入しようとする動きが加速している。これらの新顔は、従来の伝統的金融業にはなかった発想、視点で、また、進化を続けるITや通信技術を駆使して、金融サービスを、ごく普通の生活者の身近なところに溶け込ませようとしている。このような潮流が勢いを増し、新たな金融再編の時代に入ろうといているという。野村総合研究所(NRI)が、金融界の地殻変動について分析、報告した。
これまで、低金利の銀行に預けるよりはまし、と考える層が、家庭内などに現金を貯蔵する、いわゆる「タンス預金」は総額20兆円に達している。また、相続される資産額は年間80兆円、そのうち24兆円は金融資産だ。さらに、2007年以降、戦後のベビーブームで、非常に出生数の多かった数年(1949年は約270万人、対して2004年は111万人)に生まれた「団塊の世代」が定年を迎え、その退職金は年間14兆円に上る。国内経済のデフレ状況が終焉、「タンス預金」が目を覚ますのをはじめ、これらが金融市場へと向かい、NRIでは、向こう4年間で170兆円の金融資産が動くとみる。
従来、金融業界では、銀行、証券、保険、ノンバンクの各事業者が縦割りで金融商品を販売してきたわけだが、金融制度改革により、金融代理店制度が整い、一般事業会社が幅広く、金融に参入することが可能になった。大規模な金融資産の変動を控え、「一般の生活者サイドの企業が金融商品を取り扱いやすくなった」(NRI 三浦智康 金融コンサルティング部長)。このような状況のなか、NTTドコモ、楽天、ヤフーなどの情報通信系、日本航空、JR東日本などの運輸系、トヨタグループ、ソニーグループなど製造業系、セブン&アイ・ホールディングスなど流通系、東京電力、東京ガス、大阪ガスなどエネルギー系といったように、多様な業種の企業が、金融に参入、あるいはそれを目指している。
異業種からの新規参入の流れにあいまって、技術革新がもたらす、金融インフラの広がりも重要な因子となっている。まず、電子マネーの普及が進んできた。ビットワレットのEdyは発行枚数が約1,790万枚、JR東日本のSuicaは約1,224万枚(電子マネー機能付の枚数)、2007年春にセブン&アイ・ホールディングスが投入するnanacoは初年度1,000万枚になるという。SuicaはもともとICカード型乗車券なのだが、同種のカードは地方交通事業者も全国各地で展開している。さらに、大規模な需要地域の首都圏では、2007年3月に、主要私鉄、地下鉄などが参加する、鉄道、バスのICカード乗車券で電子マネー機能をもつPASMOが運用を開始する。NRIでは、SuicaとPASMOが牽引車となり、2008年には電子マネーの発行枚数が7,000万枚になると予測している。
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