【レポート】

動画共有サービスの潮流、YouTube、GUBAからDivX Stage6まで

3 鍵は動画フォーマットと著作権問題

    後藤大地  [2006/08/31]

    サービスインフラとしての動画フォーマット

    現状では、動画共有サービスで採用されている動画フォーマットはFlash Videoが多く、それ以外の動画サービスではWMVが採用されていることが多いようだ。RealplayerやQuickTimeは用途に応じて採用されているといったところだ。モバイルデバイスとなると、また状況も変わってくる。

    動画共有機能を実現するために、動画フォーマットとしてFlash Videoを採用するのは選択肢としては当然といえる。対応しているプラットフォームが多岐に渡りすでに多くのプラットフォームで動作すること、動画再生のみならずインタラクティブな機能も実現できること、ストリーミングに対応していることなどを考えると、動画共有機能の提供という目的においてFlashの採用は当然だろう。

    しかし、FlashはFLOSSではない。自力実装することもできるが、実際のところAdobe Systemsから提供されているプラグイン以外にFlashの機能を十二分に発揮できるプラットフォームはないといえる。執筆現在、Flashの最新版はFlash 9だが、まだLinux版は提供されていない。Solaris版もリリースされていなければ、FreeBSD版も用意されていない。また、基本的にプラグインは特定のWebブラウザを対象として提供されている。プラグインが提供されていないブラウザではFlash Videoは動かないことになる。しかし、そういった事情を加味したとしても、動作しないプラットフォームが全体の数パーセントであることを考えれば、Flash Videoを採用することは悪くない選択ではある。

    ここで注目したいのが、直近にサービスが開始されたDivX Stage6だ。DivX Stage6では動画フォーマットとしてFlash VideoではなくDivXを採用している。現在提供されているDivXは、Flashとおなじプロプライエタリソフトウェアだ。一時、オープンソースソフトウェアに転向するかとみられた時期もあったが、プロプライエタリのまま現在につながっている。しかし、採用される動画フォーマットとして幅が広がった点を評価することができる。複数の候補があった方がより健全だろう。

    欲をいえば規格が広く公開され、FLOSSライブラリの実装が公開されている動画フォーマットがあれば、残り数パーセントのプラットフォームもカバーしやすくなるのだが、これまでの動画フォーマットの歴史や、研究開発にかかる労力、ビジネス展開などを考えると、それは無理な相談なのかもしれない。

    著作権問題とビジネス展開

    現在絶大的な人気を誇っている動画共有サービスは、違法コンテンツのアップロードとビジネス展開という2つの面で課題を抱えている。オリジナルコンテンツを共有するという本旨にそった使われかたをしているものにおいては問題ないのだが、そうでない場合が問題だ。本来著作権で保護され、許可なしには公開してはいけない動画が公開されているのだから、問題にならないわけがない。

    著作権の問題に対して各サービスがとっている対処方法は、だいたい次の通りだ。

    • 違法コンテンツはアップロードしないようにユーザに忠告する
    • アップロードできる動画のサイズに制限を設ける
    • アップロードできる動画の再生時間に制限を設ける
    • アップロードできる動画の画質に制限を設ける
    • 削除依頼がきたら迅速に対処する

    もちろんこれ以外の方法を採用しているサービスもある。上記制限に反して、提供する動画のクォリティ制限を引き上げるのもひとつの方向性としてある。

    違法にアップされた動画に対して、著作権保持者がどう考えるかの思惑はさまざまだ。違法は違法として削除を要請したり、もっと厳しい制限を求めるものもあれば、広告として優れた効果があると認め、ビジネスに展開したいと考えるところもある。違法コンテンツが公開されたことで販売機会損失になることもあれば、逆に広告効果があり売上げに結び付くこともあるだろう。難しいところである。

    また動画共有サービスはパワーが必要なサービスでもある。インフラの維持費用をどうやって捻出するのかなど、なんらかの方法で資金を調達する必要が絶対的にでてくる。広告費を中心にした事業にするのか、ほかのコンテンツ事業と提携して業務展開するのか、大手企業に買収されて1部門として展開していくのか。

    YouTubeが一気に普及を始めた2006年2月を動画共有サービスの本格展開の開始時期だとみれば、動画共有サービスが普及をはじめて半年が経過したことになる。著作権の問題も、ビジネス展開の問題も、今まさに渦中にあるといえる。

    動画共有サービスのゆくえ

    動作共有サービスが今後どのように展開するかまだわからない。YouTubeが発展を続けるかもしれないし、ほかのサービスが主流になるかもしれない。現状に合わせた法整備が進む可能性もあるし、半年前に状況が戻ることも考えられる。

    サービスがどのようになるかわからないが、ひとつ確実に言えることは、YouTubeやそのほかのサービスの利用者は動画共有サービスがおもしろいということを体験してしまったということだ。ソーシャルネットワーク、動画共有サービス、次にくるサービスが何にせよ、ユーザは"もう知ってしまった"ということは間違いのないところだろう。

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