【レポート】

FTF Americas 2006 - プロセス技術・他

5 RF / Package

大原雄介  [2006/08/25]

RF/Package

最後にちょっとこの部分もレポートしておこう。実は今年のFTF、初日には同社のChairman & CEOであるMichel Mayer氏の2時間もの基調講演があったのだが、氏が「昨年のFTFから何が変わったか」で最初に述べたのが、RFパワーアンプ用のパッケージについて、業界では初めてプラスチックパッケージを導入した(従来はセラミック製だった)という話だった。これによりパワーアンプのコストを大幅に削減できたという話なのだが、こうした標準品もさることながら、カスタム製品においては多様なパッケージをどこまで提供できるかというのは、製品差別化の大きなポイントである。実際Photo01にも"Package"の文字が躍っていることでこれが確認できよう。

そのパッケージ関連だが、目的別に話が分かれてくるので、ここでは順に示してゆく。まず携帯電話向けでは、現在の多チップ構成を今後3チップに収める計画を示した(Photo17)。携帯電話の場合、BasebandとApplication Processorの集積はFreescale以外にTIやIntel(というか、現在はMarvell)なども発表しているが、RF周りを集積するのはなかなか難しく、それほど集積が進んでいない。Freescaleとしては逆にここが差別化の大きな要因になっていると考えているようで、既にトランシーバ / PAのワンパッケージ化を完了させており、次いで更に集積度の高いモジュールの2008年の投入を考えている(Photo18)。

ちなみにRF周りに関してはMEMSの採用にも積極的である(Photo19)。単にスイッチのみならず、Reconfigurable elementとしての採用も考えているようで、これらは立体構造としてIPDと一緒に提供されてゆくようだ(Photo20)。

パッケージの分野では、現在Freescaleが力を入れているのがRCP(Redistributed Chip Packaging) Technologyである(Photo21)。SIP(System In Package)というかMCM(Multi-Chip Module)に近い考え方だが、FreescaleのRCPは、

  • 面積は業界平均の30%減、厚さは業界平均の30%
  • C65以降のLow-K配線に対応
  • 鉛/ハロゲンフリー
  • Wire-bondingやFlip-ChipのBump、あるいはsubstrateが不要
  • 柔軟性に富み、様々な形態で利用可能

といったあたりが特徴とされている。Photo22が実際のシングルダイの例だが、要するにダイの上に直接配線層を複数設け、そこにBGAのballまで埋め込むという仕組みである。こうした結果、例えば1セント玉サイズのワンチップ3Gモジュールが可能になるというわけだ(Photo23)。こうしたRCPを使ったモジュールを、2008年には年間2億個以上生産するという目標をFreescaleは掲げている訳であるが、これだけの数のモジュール(しかも中にはMCMも含まれる訳だから、こうした場合の工程は当然増えるだろう)を後工程で処理するためには、よほど後工程の能力をアップ(=後工程工場の増設やラインの拡充)を図るか、もしくはRCP自体の処理を容易にするしかない。Freescaleは後者(つまりRCPは製造が容易で、コストダウンに繋がるとしている)だが、もう少し製造工程の詳細を知りたいものである。ちなみにRCPが実用化されるのは2007年~2009年と予定されている(Photo24)。

Photo17:現在は様々なチップが基盤に集積されているが、Gen 07ではRF Switch/IPD/SMD/FilterといったRF関連をIPD 3.0というワンチップに収め、またパワーアンプ/DriverをSiGe PAに集積。またNVM(Non-Volatile Memory:様はFlash memory)とRFCMOSを使った回路とBaseband CMOSをこれまたワンチップ化する。更にGen08では、SiGe PAをCMOS PAに置き換え、RFCMOSも65nm化する考えだ。

Photo18:既に3G向けの製品はリリースされているわけで、Next Generationは3.5G/4Gと3Gの低価格向けがターゲットということになるのだろう。

Photo19:もっともこれは単体製品としてはあまり意味が無いので、SmartMOSを使ったプロセスオプションや統合チップとして利用される事になると思われる。

Photo20:例えば複数の周波数帯をカバーする携帯電話を作る場合、周波数毎に別のRFを用意していたら効率が悪すぎるし、かといって一つのRFでカバーするのは技術的に困難である。こうしたケースで、周波数依存の高い部分のみを複数用意し、これをMEMSで切り替えるといったアプローチが考えられる。

Photo21:別にこれは横一列に多数のダイを並べた巨大なパッケージ、という訳ではない。要するに配線層のサイズが極めて小さいから、高密度配置が可能というのがその主張。

Photo22:通常はダイシング(ウェハーからダイを切り離すこと)が終った後で、あらかじめ製造しておいたパッケージに配線を行う訳だが、RCPはどうもダイシングの後で改めて配線層の積層を行う形に見える。このあたり、Single DieはともかくMCMでどうやるのかはちょっと興味あるところだ。

Photo23:こうしたMCMは多く見かけるが、3Gコントローラの様に全く異なる種類のチップをこのサイズに積層している例はちょっと希である。

Photo24:意外に、パーツによってRCPの対応時期がまちまちなのが面白い。単にRCPだけではなく、ダイ側もそれなりの対応が必要、という事なのかもしれない。

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