【レポート】

ポイント+マイレージ+電子マネー=企業通貨?--NRIの報告から

1 企業通貨とは?

    大川淳  [2006/08/24]

    企業が発行するポイントやマイレージは、いずれもう一つの通貨になるかもしれない。それは、電子マネーの普及と歩調を合わせるとともに、インターネットとも融和しながら、あらたな経済現象を創出する可能性すらある--野村総合研究所ががこのほど「企業通貨」について報告した。

    同社は企業通貨の構成要素は「発行企業以外で利用できるポイント/マイレージと、電子マネー」と位置づけ、「有償契約に基づいて発行される電磁的記録で、契約に基づく範囲内で金銭債務を弁済する効力を有する情報」と定義する。この数年、ポイント/マイレージと電子マネーの間の垣根が低くなっている。たとえば、日本航空(JAL)のマイレージは、「JALICクーポン」やJR東日本の「Suica」に、全日本空輸(ANA)のそれは、「Edy」に交換でき、ビックカメラのポイントは「Suica」に変換できるなど、ポイント/マイレージは、電子マネーと融合し始め、発行主体のいわば支配下にある領域を離れた場で、モノやサービスを買えるようになっている。こうした動きが「企業通貨」ということになる。

    このような潮流はマーケティングの意味合いが強いのだという。「ビックカメラの場合、店舗がJRの駅の近くにあり、JRの鉄道路線は、顧客を運んできてくれる動脈のような存在」(野村総合研究所 コンサルティング事業本部 情報・通信コンサルティング一部 梶野真弘 上級コンサルタント)であり、JR東日本の「Suica」に変換して使えるようにするのは「店舗への行き返りの運賃に充ててもらうようなものだ。JALも、空港へはJR線を利用していくことも多い。また、航空会社の場合、観光地まで乗客を運び、そこで買い物などに利用できるメリットは大きい」(同)。

    NRI梶野真弘 上級コンサルタント

    以上の例は、B2C(企業一般消費者間)の「企業通貨」だが、一方で、B2B(企業間)の「企業通貨」もあるという。それは、大企業が自社グループ内決済に用いる「電子債権」で、量的にもインパクトがある」(同)。

    NRIでは、クレジットカード、携帯電話、航空、ガソリン、家電量販店、総合スーパー、百貨店、コンビニエンスストア、ドラッグストアの、国内9業界の主要企業が2005年度に発行したポイントやマイレージなどの「企業通貨」の金額を「少なくとも4,500億円程度に達する」と推計している。電子マネーは含まれていない。算出方法は以下の通りだ。クレジットカードの場合、ショッピング取扱高、航空会社は、有料旅客数に飛行距離をかけた数値、その他は売上高を「指標」とする。それぞれの「指標」のうち、カードを介し、ポイント/マイレージが付与される取引の比率をポイント適用率とする。(つまりクレジットカードでは100%となる。家電量販店では75%で、25%はカードをもっていない客とのやりとりということになる)これらの「指標」、「ポイント適用率」と「ポイント還元率」をかけた数値を「企業通貨発行額」とする。ただし、「ポイント還元率は」最も低い値などを業界基準値として採用しており、控えめな額になっており「実際には、6,000億円ほどではないか」(同社 冨田勝己 副主任コンサルタント)としており、今後、電子マネーの進展ともあいまって、さらに増えると予測している。

    NRI冨田勝己 副主任コンサルタント

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