【インタビュー】
2006年8月、ユーザー向けイベントAdobe IDEAS 2006のキーノート講演のために、AdobeのプロダクトマネジメントWeb&ビデオソリューション担当バイスプレジデントであるジム・ジェラルド(Jim Guerard)氏が来日した。本稿では、このインタビューを元にAdobeの製品・戦略について紹介しつつ、クリエイターに与える影響について考察する。
現在、多くの一般的な消費者が携帯電話のようなモバイルデバイスやオンライン上で、Flashやストリーミング動画に代表されるリッチメディアを楽しむようになってきている。
「これからのWebデザイナーやデベロッパーは、全体のワークフローがどれほどの規模になっていくのかを理解しなければならない。近年のエンドユーザーの動向を見て、制作現場でも、コンテンツ制作の環境として、シームレスな形で様々なメディアにアウトプットできるオーサリングツールの必要性が高くなっていると感じた。AdobeはMacromediaの統合後、この部分に大きなビジネスチャンスがあると考え、Adobe Production Studioのようなデジタルビデオツール群とStudioのようなマクロメディアのWebツール群を統合し、1つの事業部門にした」とジェラルド氏は語る。
Production StudioはFlash Vidoeでの出力に対応することで、DVDに代表される物理的な媒体だけでなく、リッチメディアを含んだWeb上や、携帯電話の様なモバイルデバイスでコンテンツを提供するという新しいフローを容易に提供できるようになった。Production Studioの最も中核的なユーザとしてフォーカスしているのは、やはりプロフェッショナルなクリエイターだ。
「映像や、モーショングラフィックス、オーディオ等、メディアを作るプロフェッショナルなクリエイターが、これからますます多様化していくメディアに対応できるようなツールを提供していくつもりだ」とのジェラルド氏の言葉からも、製品の明確なターゲットが読み取れた。
Webインタフェース制作のツールとしての確固たるシェアを築き、プラットフォームとしての側面も持つFlashだが、他のAdobe製品とシームレスな連携機能も獲得し、より様々な部分で使われるようになってきている。では、肝心のオーサリングツールとしてはどうなっていくのだろうか。
現在、Adobe Flash Player 9 のリリースとともに、次期Flashの開発言語であるActionScript 3に触れることができるようになっている。こちらの記事で、ActionScript3のデモに触れた際、「Flashアニメーター」よりも「Flashデベロッパー」向けにシフトしているという印象が強いと感じた。前述したように、Webでの表現力が上がるとともに、制作ツールもより多様化・高度化し、プロフェッショナル向けのものになってきている。Flashの次期バージョンも同様に、より高度なスキルが必要になってくるのか、ジェラルド氏に尋ねた。
「現在、公開されているFlash Player 9およびActionScript 3.0の情報は、確かにデベロッパー向けのものが多い。そのためFlashの次期バージョンは、デベロッパー向けのツールという印象が強いが、実際にはそんなことない。公開されていないが、アニメーター向けのツールも強化される予定。コンポーネントも多数追加されているほか、インタフェース面での改善ある。
さらにActionScript 3.0により、現行のFlashよりも高速な動作を実現できるので、複雑なアニメーションやエフェクトをスムーズに表現できる。むしろActionScript 3.0の恩恵を一番に受けるのは、アニメーター達なのではないだろうか」とジェラルド氏は語ってくれた。
Flashの次期バージョンは、アニメーター、デベロッパーの双方のニーズを満たすオーサリングツールになるということだ。
また、Adobe製品との統合などの可能性についても聞いてみると、「我々はユーザーのアイディアや要望を求めている。例えばどんなツールが欲しいのだろうか」と逆に、こちらがインタビューされる一幕もあった。
公開中のFlash Professional 9 Public Alphaからは新機能としてActionScript 3.0しかくみ取れないが、FlashとAdobe After Effectsが連携が強化される可能性や、Flashのベクターデータ形式ファイルをAdobe Illustratorと共用できる可能性などについて尋ねてみた。
ジェラルド氏は「公開中のFlash Professional 9 Public Alpha は新しいActionScript 3.0に触れてもらうことを目的に公開している。先ほど述べた"デベロッパー向けのツールになりつつある"というイメージもここからくるものでは、と考えている」と述べた。
「現時点では、具体的な機能を明らかにはできないが、ご質問にあるような何らかの連携は検討している。また、Adobe Labsを通して、ユーザからの要望を取り入れていきたい」と応じた。
今までのオーサリングツールの作り方とは違い、ユーザの意見を多く取り入れた、よりニーズがあるオーサリングツールの提供を目指していくようだ。
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