【レビュー】

CorelDRAW Graphics Suite X3を試す - あの作業をパパッとできるか?

1 名刺・社用封筒をデザインする

    瀧上園枝  [2006/08/10]

    CorelDRAW Graphics Suite X3を試す

    「CorelDRAW Graphics Suite X3」が4日、発売になった。デザインワークとページレイアウトをカバーする総合グラフィックソフト(図00-01)。イラスト作成・ページレイアウトができる「CorelDRAW X3」、ビットマップ画像の編集ができる「Corel PHOTO-PAINT X3」、画面キャプチャができる「Corel CAPTURE X3」、トレースができる「Corel PowerTRACE X3」がパッケージされている(図00-02)。

    図00-01 「CorelDRAW Graphics Suite X3」

    図00-02 インストール画面。ここで個別のインストールも可能

    このレビューでは、同ソフトの「使いどころ」と「使い勝手」を見るために、いくつかの「ありちがち」なデザインタスクを考えてみた。プロのデザイナーであれば、1度や2度は必ず遭遇している状況だと思われる。

    72dpiのWeb用画像を印刷用のロゴに使え!?

    登記を終えたばかりの新会社の名刺・社用封筒をデザインする仕事が舞い込んできた。急遽、とある展示会に出ることとなり、名刺と社用封筒が必要になったらしい。その展示会は2日後から開催される。印刷にかかる時間を考慮するとデザインに割く時間はできる限り短縮しなくてはならない。ロゴデータは先方支給ということで安心していた。しかし、クライアントから渡されたものは、Webで使用しているGIF形式のロゴマークデータ1枚だった……。もちろんこれでは印刷には使えない(図01-01)。

    図01-01 72dpiのロゴ画像、もちろんビットマップ形式だ

    CorelDRAW X3のインタフェースはAdobe系ツールライクにもできる

    そんな場合のトレースに、CorelDRAW X3の「Power TRACE X3」を利用してみる。CorelDRAW X3で新規ドキュメントを作成し、【ファイル→インポート】でGIFファイルをドキュメント中にインポートする(図01-02)。CorelDRAW X3の基本画面は、ウィンドウ左側の[ツールボックス]、上部の[ツールバー]、右側の[ドッキングウィンドウ]・[カラーパレット]、中央の作業ウィンドウで構成される。[ツールバー][ドッキングウィンドウ][カラーパレット]の領域に、どのパレットを表示するかは[ウィンドウ]メニューで設定する。それぞれのウィンドウやパレット・バーは上(または左)のコントロールバーをドラッグ&ドロップすることで、フローティングパレットにもなる。Adobe系ツールに慣れていると、フローティングパレットのインタフェースの方が操作がしやすいかもしれない(図01-03)。

    図01-02 ファイルをインポートしたところ

    図01-03 フローティングパレットにすると、Adobe系のツールに慣れている人には使いやすいかもしれない

    まずはトレース! 仕上がりを見ながら調整

    画像を[選択ツール]で選び[プロパティバー]から[ビットマップのトレース]をクリックして実行する。ポップアップメニューが表示されるので、まずは[ロゴ(細密)]を選択すると(図01-04)、トレース専用ウィンドウ【Power TRACE】が表示される(図01-05)。ウィンドウ内はプレビュー表示が2分割され、上部が元の画像、下にはトレース後のイメージが表示されている。

    図01-04 [ロゴ(細密)]を選択してトレース開始

    図01-05 上部が元画像、下部はトレース後のイメージだ

    ウィンドウ右側の【オプション】で、トレースの仕上がり具合を見ながら設定を調整する。このロゴ画像の場合は[イメージの種類]を[ラインアート]としたほうがトレースの精度が高いようだ。[スムーズ化][詳細]それぞれのスライドバーを操作することで、トレースされるイメージが変化する。また、左上の[プレビュー]ポップアップで、[ワイヤーフレームのオーバーレイ]を選択すると、トレース後の線を元の画像に重ねた状態で仕上がりを確認できる(図01-06)。トレース設定が完了したら[OK]ボタンでトレースの実行だ。【Power TRACE】ウィンドウが閉じられ、ロゴをトレースしたオブジェクトが作成されている(図01-07)。

    図01-06 イメージの種類を[ラインアート]としてみた。このあたりの調節は、結果を見ながら試すことができるのが便利

    図01-07 トレースが完成したところ

    名刺と封筒を仕上げる

    トレースしたオブジェクトは[グループ化]された状態になっている。【アレンジ→グループ解除】で解除して細部を調整する。Adobe Illustrator CS2にもビットマップ画像を自動トレースしてくれる機能はあるが、Illustratorとの大きな違いは仕上がったオブジェクトのノード(アンカーポイント)数だ。CorelDRAW X3でのトレースオブジェクトはノード数が最小限なので、後の調整作業が非常にやりやすい(図01-08)。試しに同じ画像をIllustrator CS2でトレースしたところ、図のように、相対的にアンカーポイント数の多いオブジェクトになってしまった(図01-09)。

    図01-08 ノード(アンカーポイント)数が少なく、後の調整作業がやりやすい

    図01-09 Illustrator CS2でトレースしたものをアートワーク表示。ややアンカーポイントが多めだ

    ロゴの微調整が終了したら、大慌てで名刺・封筒をデザインして印刷所に回した(図01-10)。完璧に美しいロゴマークを再現……というわけにはいかないが、短時間でデータを揃えなければいけない場合の強い味方であることは間違いないだろう。

    図01-10 会社ロゴができてしまえば、後はスムーズ

    名刺をテンプレートに変換して今後に備える

    今回急ぎで作成した名刺は、とりあえず代表取締役1名分だけでOKだったが、本来は全社員分を用意する必要がある。同一フォーマットで名前やメールアドレスなどの一部の要素だけが変化するようなドキュメントを複数作成したい場合は、基本フォーマットを「テンプレート」として保存しておくと便利だ。デザインレイアウトが完了したら(図01-11)、保存時のダイアログで[ファイルの種類]のポップアップから[CDT-CorelDRAWテンプレート]を選択して保存する(図01-12)。

    図01-11 完成した名刺のレイアウト

    図01-12 テンプレートで保存して、今後に備える。このようなちょっとした工夫で仕事の効率化をはかる

    このテンプレートを利用したいときは、新規ドキュメントを作成する際、【ファイル→テンプレートから新規作成】コマンドを利用する。表示されるダイアログでは、あらかじめ用意されているテンプレートも目的別にタブで切り替えて内容を確認することができる(図01-13)。保存しておいたオリジナルのテンプレートを指定する場合は、「参照」タブをクリックしてファイルを選択する(図01-14)。

    図01-13 あらかじめテンプレートも用意されている

    図01-14 保存しておいたものを使用する場合は「参照」タブをクリック

    「OK」ボタンでダイアログを閉じれば、保存しておいたテンプレートと同レイアウトのファイルが、新規ドキュメントとして作成される(図01-15)。元のファイルを上書きしてフォーマットの基本形がわからなくなってしまうこともなく、効率よく同一レイアウトを量産できる便利な機能だ。

    図01-15 新規ドキュメントが作成されたところ。氏名などを変更していけばいい

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