【レポート】

WWDC 2006 - Vistaを迎え撃つMac OS X 、"Leopard"の新機能は……

3 Leopardの10機能 - アップルがタイムマシーンを開発

    Yoichi Yamashita  [2006/08/09]

    注目のMac OS X "Leopard"のプレビューではまず、「トップシークレット」の文字が映し出され、「ここでは見せられないものから始めよう」とJobs氏。プレビューなのに、いきなり見せられないとは……。落語みたいな展開だが、WWDCの基調講演でも披露できない機能、今はライバルにコピーされたくないいくつかの秘密がMac OS X "Leopard"にはあるという。

    Mac OS X "Leopard"は2007年春リリース予定

    Mac OS X "Leopard"にはWWDCで公開されていない秘密がある

    残念ながらMac OS X "Leopard"のすべては披露されなかったが、WWDCではLeopardがMac OS X を進化させる10のポイントが紹介された。

    その1は「64bitアプリケーション」。Carbon、そしてCocoa部分でも64bitを完全サポートする。「われわれは64bit UNIXを手に入れることになる」とプラットフォーム・エクスペリエンス担当副社長のScott Forstall氏。

    その2は、今回の基調講演で最も盛り上がった新機能「Time Machine」だ。一言で説明すると自動バックアップと履歴管理機能なのだが、差分バックアップをAppleが提供すると"タイムマシーン"になる。「ハードディスクドライブが壊れて保存していたファイルを失った」「大切な画像をうっかり削除してしまった」等々、パソコンユーザーなら誰でも"あの時に戻りたい"という事態に遭遇していると思う。あの時に戻してくれるのがTime Machineだ。「大げさな……」と思うかもしれないが、それを納得させるSF映画の一場面のようなインタフェースを備える。時間軸に沿って立体的に何枚もの画面が並び、過去のファイルを探すと、まるで時間をさかのぼるように画面がめくられる。

    すべてをバックアップし、すべてを復旧できるTime Machine。ユーザーが変更を加える度に自動的にバックアップに反映される

    HDDが壊れた時のソリューションでもあるので、2台目のHDDにバックアップするのがお勧め

    Time Machineを起動すると、画面全体がSFっぽいインタフェースに切り替わる

    Time Machineで、ファイルがあった過去にさかのぼる

    ユーザー調査でバックアップしているという回答は26%。自動バックアップを利用している人はわずか4%

    ハードディスクドライブの大容量化、画像/ ビデオ/ 音楽などをパソコンで管理するようになり、ファイルのバックアップは一般ユーザーでも欠かせない機能となっている。だが、差分バックアップや増分バックアップと言葉で言われても、多くの一般ユーザーはその違いにピンと来ない。インタフェースも乏しく、親しめないから活発に利用されない。タイムマシーンは冗談のようなインタフェースだが、間違いなくユーザーが感覚的にバックアップ/復旧を行える。ここがAppleの上手いところである。

    その3は「Complete Package」。現在ベータで提供されているBoot Campや、Macのインストールベースでのみ提供されている「Front Row」「Photo Booth」などがMac OS X "Leopard"に標準で含まれる。

    その4は「Spaces」。Jobs氏曰く「Macでの作業を効率化する新しい方法」である。複数のアプリケーションを同時に起動しながらパソコンを利用している人が多いと思うが、どうしてもディスプレイ上のスペースが足りなくなる。デュアルディスプレイという解決策があるが、モバイル環境では利用できない。そこで複数のスペースを設けて、タスクやプロジェクトごとにソフトウエアをスペースに振り分け、それぞれのウィンドウを手軽に切り替えられるようにするのがSpacesである。たとえば日常的に使うSafariとMailだけのスペースを1つ、Podcast用にiTunesとGarageBandのスペースを1つ、ブログ作成用にiWebとiPhotoという様にタスクごとに振り分けておくと、1つのスペースあたり2つのアプリケーションとなり、1つのディスプレイでもゆったりと作業できる。スペースは一覧表示することも可能で、Webブラウザのように様々なタスクで利用されるソフトウエアをドラッグ&ドロップで手軽に移動させられる。

    Spacesでスペースを一覧表示。この状態でドラッグ&ドロップを使ってソフトウエアの画面を移動できる

    その5は「Spotlight」の強化。ネットワーク上の複数のMacやサーバーの検索をサポートする。アプリケーションランチャー機能が向上し、またSpotlightウィンドウを開いた際に、ブランクではなくユーザーが利用する可能性が高い最近のアイテムが表示されるようになった。

    その6は「Core Animation」。Mac OS X "Cheetah"で実現したCore Audio、同"Tiger"で追加されたCore ImageとCore Videoに次ぐ、メディアリッチなアプリケーションの開発基盤である。デモでは多数のアルバムアートが動き回るiTuneのテレビCMをリアルタイムで再現して見せた。ちなみにTime MachineのインタフェースにもCore Animationが用いられているそうだ。

    Mac OS X "Tiger"で、アルバムアートを並べたスクリーンセーバーを作成すると約4000ラインのコードになる

    リアルタイムで自由自在にアルバムアートが動く3Dアニメーション。Core Animationによりコードライン数はスクリーンセーバーの半分程度

    その7は「Universal Access」機能の強化。デモでは、Mac OS X "Tiger"、Windows Vistaとの比較で、Mac OS X "Leopard"のなめらかなVoiceOverがアピールされた。

    その8は「Mail」の機能強化。Stationary、Notes、To-Doなどが追加される。StationaryはHTMLベースのメール用テンプレートだ。Notesはメモ機能である。メモやリマインダーの代わりに自分宛のメールを利用する人は意外と多い。そんな自分宛メッセージのように機能するのがNotesだ。作成したノートはNotesボックスに収められるので、他のメッセージの中で見失う心配はない。一方To-Doでは、テキストにアラームやプライオリティなどを手軽に設定できる。MailにはTo-Do用のボックスも用意されている。このTo-Doは、Mailだけではなく、Mac OS X全体で利用できるサービスになるそうだ。

    HTMLベースのメール用テンプレート「Stationary」

    メールクライアント内の簡易メモ「Notes」

    Notesのテキストに「To-Do」で期限などを設定

    MailにはNotesとTo-Doのボックスが用意されている

    その9は「Dashboard」の新機能。開発者向けに「Dashcode」というテンプレートやパーツライブラリを含む開発ツールが提供される。ユーザー向けには「Web Clip」というWebページをクリッピングしてウィジェット化するツールが紹介された。たとえばオークションサイトで探していたアイテムを見つけた時、その部分だけをクリッピングしてウィジェット化する。すると、Dashboradでウィジェットを呼び出すだけで、最新の入札状況をすばやく確認できる。

    eBayで探していたギターを発見!

    オークションを監視するためにWeb Clipで切り取ってWidget化

    Webカムでストリーミングされている動画画面も……

    Web Clipで切り取ってWidget化

    Web Clipでコミック部分だけを切り取ってWidget化

    Web Clipで作成したWidgetをDashboardで呼び出したところ。WebアプリなのでWebカムの画面は動くし、eBayでは最新の情報が表示される

    その10は「iChat」だ。マルチログイン、アニメーションによるBuddyアイコン、ビデオ録画、タブチャットなどをサポートする。またPhotoBoothで利用できるような視覚効果をビデオチャットに加えたり、背景を任意の画像やビデオに差し替えられる。写真やプレゼンテーション資料などをチャット画面上に表示させるiChat Theaterも追加される。

    複数のチャット画面をタブ化してすっきり

    PhotoBoothのような視覚効果をiChatで利用できる

    iChat Theaterを使えば、iChatで写真やビデオを共有したり、プレゼンテーションに利用できる

    BackdropsでiChatの背景を月面の写真に差し替えたところ

    Mac OS X "Leopard"のリリース時期は2007年春とされていた。WWDCの基調講演を見る限りMac OS X "Leopard"は、ユーザーの使い勝手を向上させる進化を遂げる。Mac OS Xは成熟段階にあるという印象である。それでもトップシークレットの存在が気になるところだ。50万ダウンロードを達成したというBoot Campにほとんど触れなかったが、AppleはBoot Campにそれほど熱心ではない……という感じもした。Appleが主張する通り、WindowsユーザーをMac OS Xに引き込むためのきっかけ程度にしか考えていないのかもしれない。むしろInternet Explorer 7やFirefox 2などが話題になる中で、Safariに関する情報がほとんど出てこなかったのが不自然に思えた。

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