【レビュー】

三日坊主にならないスポーツキット「Nike+iPod」

4 スポーツと音楽プレーヤーの相性

    Yoichi Yamashita  [2006/08/02]

    Nikeが音楽プレーヤーと速度/ 距離計を結びつけた製品を出すのはNike+iPodが初めてではない。以前にPhillipsとのパートナーシップで同様の製品を出したが、売れ行きの方は今ひとつだった。スポーツとフラッシュメモリ内蔵音楽プレーヤーの相性は良い。ただワークアウトをモニターするために、新たにNikeブランドの(Phillips製)音楽プレーヤーを購入する人は少なかった。そこで今回は逆に、iPodユーザーにNikeのシューズを購入してもらうことにした。Appleにとっては、iPodを使ってユーザーのデータを収集するという新たな取り組みになる。

    データ収集に関しては、プライバシーの問題が気がかりな点となる。nikeplus.comユーザーは名前や年齢、性別、住所などを登録し、ワークアウトという生活パターンの情報を送信しているのだ。Googleに対するのと同様の懸念が出てきても不思議ではない。Nike+iPodが、そのようなトラブルを避けているのは、AppleとNikeのパートナーシップの力と言える。まずAppleはデータ収集をうまくiPodの利用スタイルにとけ込ませている。ユーザーはiPod nanoで音楽を聴きながら走り、時々PCに接続するだけでデータがnikeplus.comに送られる。iPod nanoで音楽を楽しむのと全く同じスタイルであり、使い慣れたiPodと何も変わらないからこそ、ユーザーは安心して利用できる。一方、Nikeの強みはスポーツ分野における存在感だ。ランナーであるユーザーは、Nikeなら提供したデータを自分たちにとって有益な形で返してくれると信頼する。実際Nikeは、そのような期待にしっかりと応えている。たとえばnikeplus.comを地元のNIKETOWNランニングクラブの活動と結びつけたり、サンフランシスコで開催されるマラソン大会に向けたトレーニングプログラムに活用するなど、ローカル向けの取り組みにも熱心だ。

    不満点を挙げれば、ジョギング中のiPod nanoの装着方法である。カラーディスプレイでワークアウト情報が見やすいのに、ディスプレイを常にチェックできるようにiPod nanoを装着する方法がない。Nikeが用意しているアームバンドはフィットするが、ディスプレイが隠れる。ディスプレイ用の窓があるアームバンドはフィット感が今ひとつ。腰に付けたり、ポケットに入れると邪魔にならないが、ディスプレイ情報は完全にあきらめることになる。これは各所で論争になっていて、今のところはディスプレイ情報はあきらめて、音声フィードバックを使うのを主張しているグループが優勢だ。せっかくの使い勝手の良さが、対応アクセサリやスポーツウエアでマイナスになっているのが残念なところである。

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