【レポート】
雑誌広告デジタル送稿推進協議会は7月24日、東京コンファレンスセンター品川において「雑誌広告製作者のためのステップアップセミナー」を開催した。同協議会は日本雑誌協会と日本雑誌広告協会、日本広告業協会が共同で推進するもので、日本における雑誌広告のデジタル化について制作環境や印刷環境のルール策定を行っている。ユーザに対してセミナーを行うのは今回が初めてとのこと。
まず、雑誌広告デジタル送稿推進協議会議長のマガジンハウス 広告局長 倉田和夫氏が雑誌広告におけるデジタル送稿の歴史的な経緯と、協議会の活動について述べた。日本雑誌協会が大手印刷会社3社に対して調査を行ったところ、フイルム入稿が減少しつつあり、現在は3:7の割合でデータ入稿が優勢とのこと。同様に、調査対象となった会社では、現時点では、平台校正とデジタル校正が混在しているが、2008年には平台校正機の耐用年数切れが起こるとされており、それまでに校正のデジタル化が必要とされていると語った。
続いて、雑誌広告デジタル送稿推進協議会 技術課題検討会議議長のマガジンハウス メディア進行部部長 後藤宏氏が、同協議会が推進する2008年からの完全デジタル化に向けた問題点について語った。
後藤氏によれば、問題のひとつは色調の保持や確認の問題、そしてもうひとつは複数の環境が混在している点だという。これらの問題に対し、JMPAカラー※による色調の管理と目的にあわせた制作ルールを設けることで、不備データをなくし、デジタル化に向けたワークフロー作りを目標にすると述べた。現在協議会ではワークフローと制作環境によってJ1(Mac OS 9.2.2以前のOSに対応したJMPAカラー準拠フルデータ:デジタル校了専用)、J2(Mac OS Xに対応したJMPAカラー準拠フルデータ:デジタル校了専用)、F1(Mac OS 9.2.2以前のOSに対応したフルデータ)、F2(Mac OS Xに対応したフルデータ)の4つの制作ルールを策定しているが、最終的にはJ2への統一を図って行きたいとしている。
※JMPAカラー:雑誌広告基準カラーのこと。日本雑誌協会によって策定された雑誌広告におけるオフセット輪転機をターゲットにした色の基準。デジタル校了を主眼において、策定されている。詳細は日本雑誌協会のサイトを参照。
また、これまでの活動の成果として、現在50社が協議会の制作ルールに則ってデジタル校了を実践していると述べた。その中で後藤氏は、花王の肌色の再現性が求められる化粧品の広告を手がけた事例を紹介し、JMPAカラーによる色調管理についてアピールした。さらにフルデジタル化に向けて、PDFへの期待についても語った。これまでMOやCD-Rをバイク便で送っていたが、ブロードバンドネットワークの普及に伴いPDF+ネットワーク送稿へ状況は変わりつつある。ただし送稿にPDFを利用するにあたっては、単にPDFで送ればよいわけではなく、ソフトウェアのバージョンやフォントのアウトライン化、画像のカラーモードなど制作ルールにあわせた形式で保存することが重要であると述べた。
アサツーディ・ケイのアートディレクター 青木二郎氏とエイチアンドエルのアートディレクター 田邊哲哉氏が、制作現場からの意見として、統一ルールの重要性について語った。クライアントとのやり取りの中で、相手側でデータに修正を加えるケースがある。この場合、ソフトウェアのバージョンの違いによるデータの破損や対応できない機能などの問題が発生すると青木氏は言う。続けて田邊氏はデザイナーとクライアントだけでなく、印刷現場まで一括したルール作りと環境の移行を行う重要性について語った。
続いて印刷現場からの意見として、共同印刷の本社製造事業部統括部 品質設計課の齋藤智仁氏が入稿時の問題点について述べた。デジタル化が進む中で、データが統一されていないだけでなく、必要な環境がそろえられないために、虚偽の入稿書が添付されるケースが増えているという。その上で今回の新ルールの策定によって、正しいデータでのデジタル入稿が増えることを期待していると述べた。
2006年4月に策定された新ルールではMac OS X 10.4.x(Tiger)とPhotoshop CS2、Illustrator CS2、さらにOTFが盛り込まれている。業界としての環境の移行も期待されており、アップルとアドビシステムズ、モリサワの3社が新ルールに対応するメリットや新機能、サービスについてのデモンストレーションを行った。
また、いち早く同環境へ移行した例として、バタフライ・ストロークの青木克憲氏によって事例紹介も行われた。青木氏によれば、それまでのMac OS 9とIllustrator 8の環境下では作業時のストレスが大きかったが、新バージョンへの移行時のデータ互換に不安があったという。しかし移行して1週間後には環境になじみ、ストレスから開放されたという。また大きく変わったのはフォントの点だという。個別に購入する必要があった従来のフォントから「Morisawa Passport」に移行したことで、まだPCを使っていなかった時代に写植帳を眺めてアイデアを出していた気持ちや喜びが戻ってきたと、その感想を語った。
最後に後藤氏が再登場し、協議会では今後もこのようなユーザと接する機会を増やし、ルールの浸透と環境の構築を行っていきたいと述べた。さらにユーザの窓口として、メーカへ要望を伝える役割を担っていきたいと締めくくった。
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