【レポート】

Flexエバンジェリスト James Ward氏、Adobe Flexを語る

    後藤大地  [2006/08/02]

    図.1 Adobe Systems, Technical Evangelist for Flex, James Ward氏

    Adobe Systemsは6月28日(米国時間)、「Adobe Flex 2」および「Adobe Flash Player 9」の2製品の提供開始を発表。2日、来日したAdobe Systems, Technical Evangelist for Flex, James Ward氏は、豊富なプログラミング技術経験を活かしながら、Flex 2.0について語った。

    Adobe FlexのエバンジェリストをつとめるJames Ward氏はアセンブラからPascal、Perl、JavaScript & HTML、Javaやそのほか数多くのフレームワークに精通しているという。プログラミングを通じて洗練した問題解決方法や思考方法を持っているのだろう。同氏はAdobe Systemsに入社する以前は顧客向けポータルサイトの運営に従事、現在はAdobe SystemsにおいてフロントエンドをFlex、バックエンド基盤にJavaを採用したインターネットリッチアプリケーションの構築に携わっている。

    Adobe、エンゲージメントプラットフォームを推進

    図1.1 アドビシステムズ、マーケティング本部 公共・法人市場部 部長 小島英揮氏

    Flash、Flex、PDFなどAdobe Systemsが提供しているプラットフォーム全体を同社は「エンゲージメントプラットフォーム」と呼んばれている。情報と人の関わりをもっと深くする、信頼できるプラットフォームという意味が込められれているのだそうだ。ただのプラットフォームではなく、深く結び付いたものを、そういった意図がこめられているとのことだ。

    日本では「エンゲージ」という言葉自身にあまりふれる機会がないのでイメージがしにくいが、「エンゲージプラットフォーム」には当然ながら結婚という意味合いも含まれているとみていい。Adobe SystemsはMacromediaを買収してFlashに関する一連のポートフォリオを獲得した。AdobeとMacromediaとのエンゲージが新しいプラットフォームを生むという意味合いが含まれているとみていいだろう。

    同社はエンゲージメントプラットフォームによって次の4領域におけるポートフォリオを展開している。

    • リッチインターネットアプリケーション
    • セキュアドキュメント&ドキュメントプロセスオートメーション
    • ストリーミングコミュニケーション
    • ドキュメントコラボレーション

    従来のAdobe Systemsポートフォリオだけであれば、上記すべての領域に対してサービスを提供することはできなかった。Macromediaとエンゲージすることでこの4領域に対してサービスが提供できるようになったわけだ。

    Flexが実現する世界

    「重要なメッセージは、Flexを活用することで次世代のWebアプリケーションを容易に構築し、サービスを提供できるようになるということだ。そしてもちろん、Flexはマルチプラットフォームで動作するため、開発中にOSごとやWebブラウザごとに動作確認を実施するという必要がない。Flex Dataサービスを活用すれば、データとの連体をよりリッチにすることもできる」(James Ward氏)。

    James Ward氏は、Adobe Flexを使って開発された住宅ローンアプリケーションのデモンストレーションを披露しながら、インタラクティブ性の高いユーザエクスペリエンスを実現できることを強調した。とくに、Webアプリケーションであるにもかかわらず、画面の遷移を一度も実施することなくすべての作業を完了できることを示しながら、これが従来のWebアプリケーションとは決定的に異なると説明する。

    デモンストレーション全体に渡っていえることは、それがWebアプリケーションとは信じられないほど高度なGUIコンポーネントを実現し、スムーズに動作しており、そしてその動作がきわめて滑らかだということだ。

    Flexが採用される理由のひとつに、豊富なチャートコンポーネントをあげることができる。シームレスに動作するチャートをWebアプリケーションで実現しようとした場合、やはりFlashの活用ははずすことができず、そして高い開発効率を実現しようしたらFlexが採用候補として選択されるということだ。

    デベロッパからみたFlex

    Flexではバックエンドとフロントエンドという切り分けがはっきりしており、バックエンドではデータベースを使ったデータの永続化やデータの加工を実施し、フロントエンドでは加工されたデータを使っての表示処理に注力している。

    デベロッパとしてはデータの永続化をどのように実現しているかが気になるところだが、その点については既存の永続化コンポーネントや技術を使うようになっている。もちろん、データのやりとりを簡易化するためのプロダクトも提供されている。Flexが注力しているのはフロントエンド部分であり、バックエンドについてはさまざまな技術を活用することが可能だ。もちろん、バックエンドはJava EEでなくとも実現できる。PHPやPerl、.NETと柔軟にやりとりすることも可能だ。

    Flexを実際の開発に採用するとなると、日本のデベロッパにとってみれば日本語の良質なドキュメントとサンプルが欠かせない。

    この点については、現在日本語版の開発が推められており、数ヶ月後には日本語版がリリースされることになるとみられている。日本語版には日本語のドキュメントやサンプルも用意されるということである。日本独自の取り組みとしてアドビシステムズではトレーニングコースの策定を進めており、教育面でのサポートを実施していくという。また、日本の風土に合致したサンプルを別途用意したり、日本のコミュニティレベルにおけるサポートも実施していくとしている。

    Flexの展開戦略

    同氏は、Flexのライバルになるプロダクトはいまのところ出現していないと認識しているという。Flash 9の機能をフルに活用できるプロダクトはいまのところFlexだけだとみられる。Flashがカバーしている範囲は世界のPCの98%に達していると同社は主張しており、それに基づいてFlexはユビキタスプラットフォームを実現しているのではないかとしている。

    また、現在推められているプロジェクトに「アポロ」というものがあり、デスクトップアプリケーションにとってわかるアプリケーションの開発を実施ことを紹介した。アポロをベースにして開発されたアプリケーションは、Flash同様にマルチプラットフォームで動作することになる。OSにおいて提供されているフレームワークに比べてダウンロードサイズも最小限で済むという。

    Flexはできるだけ多くのデベロッパに携わっていてもらいたいため、Flex SDKは無償で公開されている。同氏は、こうした取り組みによってデベロッパが採用をはじめる障壁は取りのぞけたと思っており、より多くのデベロッパに使ってみてほしいとしている。Flex SDKやJava SDKとよく似たライセンスのもとで提供されているという。

    Flex 2.0が動作するにはFlash 9が必要になる。James Ward氏は普段使っている主なプラットフォームはLinuxであると述べたうえで、Linux版Flash 9の開発は現在進行中であり、数カ月後にはリリースされるのではないかという見通しを述べた。いずれはSolaris版やほかのOS版もリリースされるのではないかと意見を述べていた。

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