【レポート】

ActionScript 3デビューセミナー - その真価を探る

3 ActionScript2.0の動作と比較検証する

    貝畑政徳  [2006/07/28]

    ActionScript 2.0とAction Script 3.0の描画ベンチ

    セミナーの最後には、Flash OOP JapanによるAS2とAS3の比較検証が行われた。FLASH OOP JPメンバーのマルコス・ウェスカンプ氏の作品で、比較検証のデモンストレーションが始まった。ウェスカンプ氏は、アーティスト、情報デザイナーであり、Web テクノロジストでもある。1998年、日本の文部省から奨学金を受け来日し、2001年からグラフィックデザイナーとして本格的な活動を開始している。

    AS2で組まれたこの作品は、100個の点で構成され、それぞれの点が他の各点を監視し、計算することで面を構成するというものだ。これがFlashのイベントハンドラーであるonEnterFrame(毎フレームごとに)で計算されるため、1フレームあたり10,000回の計算処理が行われる。

    1フレームあたり10,000回の計算処理が必要となる

    この作品は31fpsで作られていたので、実に秒間310,000回の計算が行われることになる。しかし、その見た目は非常にスローなものだった。

    AS2で組まれた作品の動作(C)2006 Adobe Systems Incorporated. All Rights Reserved.

    AS2を使った今までのFlashが処理できる限界を遙かに超えた計算回数の処理が実行されるため、処理落ちするのが原因である。表示されているfpsメーターは1桁台を維持していた。Flashらしいスムーズな動きはまったくなく、カクカクとしたよくわからない網が動いているようにしか見えないのだ。

    この作品は各頂点がマウスでドラッグできるようになっていて、引っ張った方向に合わせて面が変形するのだが、マウスポインタに1~2秒遅れて変形していく有様である。

    続いてマルコス氏は同じ作品をAS3に変換し、さらに、頂点の数を15×15に変更した作品を見せてくれた。15×15の2乗で、今度は毎フレーム約50,000回、毎秒1,500,000回の演算処理である。

    今までのFlahs PlayerとAS2なら間違いなく処理落ちで止まる、もしくはエラーダイアログが出るようなものだが、結果は予想を大きく上回るものだった。

    AS3で組まれた頂点の数を15×15に変更した作品の動作(C)2006 Adobe Systems Incorporated. All Rights Reserved.

    先ほどのものよりも演算処理が多いにもかかわらず、より高速でスムーズな動きを見せたのだ。さらに先ほどのAS2と同じ、頂点の数を10×10に戻したものを見せてくれた。

    AS3で組まれた頂点の数を10×10に戻した作品の動作(C)2006 Adobe Systems Incorporated. All Rights Reserved.

    驚くほどスムーズで、fpsもほとんど落ちない驚異のスピードだった。その他にも、演算処理能力の限界でAS2では表現できなかった作品をいくつか見せてくれた。

    人口推移や面積比がわかる日本地図(C)2006 Adobe Systems Incorporated. All Rights Reserved.

    ボロノイ図(平面上にいくつかの点を配置し、その平面内の点を、どの点に最も近いかによって分割してできる図)を応用し、簡易AI(人口知能)により動く虫に沿って、ボロノイ図を生成させる作品などが紹介された。

    ボロノイ図を生成させる作品(C)2006 Adobe Systems Incorporated. All Rights Reserved.

    またAS3になって開発が容易になった参考例として、フィジェットと呼ばれる、USB接続の汎用I/Oインタフェースボードと連携する作品も紹介された。

    フィジェットと呼ばれる、USB接続の汎用I/Oインタフェースボードと連携する作品(C)2006 Adobe Systems Incorporated. All Rights Reserved.

    こちらはサンプルコードも公開されているので、Flash OOP Japanサイトをご覧いただきたい。

    正統派Flashアニメーターのココロ

    AS2からAS3への進化を体感することのできる刺激的なデモンストレーションだったが、会場では、いわゆるFlashアニメーターと呼ばれる人達よりも、マルコス氏の様なFlashデベロッパーの方向にシフトしている印象が強いという声もいくつか出ていた。

    アニメーション制作ツールとしてリッチコンテンツを広めたFlashの正統な進化として、映像面やFlash 8で見せたグラフィックエフェクトの強化などを望む正統派Flashアニメーターもいる。このようなユーザーにとっては、あまり嬉しい進化ではなかったのかもしれない。

    貝畑政徳( 面白法人カヤック)

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