【レポート】

iモードを見つめるヤフー - ソフトバンクの携帯戦略

2 ソフトバンク端末のネット機能は――

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新機軸の端末はどうなるか。孫社長は「かつてのパソコン通信は、ニフティ、PC-VAN、AOLなど、閉じたコンテンツがあり、その上でインターネットにも接続できるというものだった。iモード、EZwebは当時のパソコン通信にあたるもの」と発言、ヤフーの井上雅博社長も「現状の携帯電話によるインターネットの利用の仕方は、昔のパソコン通信に近い。ソフトバンクと協力しながら、よりオープンなものにしていきたい」と口をそろえている。ソフトバンクの新端末はフルブラウザを備え、瞬時にヤフーに接続できるボタンがあり、ヤフーのポータルを窓口に、インターネットを縦横無尽に楽しめるものになると考えられる。

「携帯電話からのインターネット利用環境をもっとオープンに」との志向は、ソフトバンクとともに新規参入を目指してきたイー・アクセスも標榜している。端末のCPUの処理性能の向上、フルブラウザの普及、「HSDPA」や「EV-DO Rev.A」などによりデータ転送速度がさらに高度化することも、携帯電話によるインターネット利用形態をパソコン並みにする動きの追い風になろう。携帯電話の新潮流となることが予想される。

ただ、ソフトバンクなどの「新顔」の端末が、すべてパソコンと同様のネット利用環境になるかといえば、それは不透明なのではないか。というのは、「ユーザーの中心となる世代、商品を選択する際の手法などの視点で、既存の携帯電話ユーザーとパソコンユーザーを比較すると、前者は10-20代で女性の比率が高い。他者からの推薦重視、少数の選択肢からの選択、直感的な選択を志向する傾向がある。後者は30代。検索、比較、多彩な情報を求める」(シンクタンクのアナリスト)との背景があり「携帯電話独自のコミュニケーション特性は確実にある」(同)からだ。

つまり問題は、現在のiモード/EZweb型の「窓口」を完全に切り離すことが果たしてできるだろうか? という問いになる。ユーザー層の中にこれらの形式をより好む需要が無視できないだけの数あれば、それは相当難しくなる。不便だと感じるユーザーはおそらく逃げていくことになるだろう。一方、既成のiモード/EZweb型もこのままの形態でいられるのかどうかはわからない。「携帯電話の音声/データ、コンテンツ事業を合わせた市場規模は、この4年間、7兆円程度でほぼ横ばい。携帯電話の事業者がメーカーに端末の企画、開発、製造面で支援し、代理店に手数料を支払って端末を頒布、コンテンツプロバイダーの料金の回収を代行する、というような『生態系』型のビジネスモデルは踊り場に来ている」(同)状況だという。

ヤフーはもともと、サービスをパソコンだけに限ってきたわけではない。検索はいうまでもなく、オークション、ショッピング、ファイナンス、ニュース、掲示板、SNSなど、パソコンで利用できるものはモバイル向けにもほとんどそろっており、3大事業者には中立的に、そして積極的にサービスやコンテンツを供給してきた。今後は3社に対して完全に等距離というわけにはいかなくなるが、NTTドコモ、KDDIのユーザーにもできるだけ利用してほしいという姿勢に変わりはない。

ソフトバンクの端末は当初、ヤフーを前面に据え、より利用しやすい形態にして、同時にiモード/EZweb型のサービスも搭載したものと、同サービスには対応しないものの2種類が主流になるのではないだろうか。携帯電話との連携を強めることにより、ヤフーモバイルの広告媒体としての価値が上がれば、「生態系」型のビジネスモデルとは別の収益構造も期待できる。もっとも、さらに「予想外の動き」を仕掛けてくるかもしれないが。

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(1) W-ZERO3 Impact
(2) ソフトバンク端末のネット機能は――

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