【レポート】
「ボーダフォンが予想外の動きをしている」
こんな台詞が登場するテレビCMを、このところボーダフォンが盛んに展開している。地上デジタルテレビ放送サービス「ワンセグ」を視聴できる「Vodafone 905SH」の画面部分が回転することを指しているのだが、このCMでは終わり近くに「ボーダフォンがソフトバンクになる」ことも「予想外だ」という。社名とブランドを変更する10月に向け、その告知・周知活動もいよいよ力が入ってくる。
ソフトバンクがボーダフォンの買収を正式発表してからおよそ3カ月半が過ぎた。携帯電話事業への参入を目指すソフトバンクにとって買収のもたらす効果はさまざまだが、何といっても調達力の増強が大きな目的の1つだった。同社の孫正義社長は「これまで、端末メーカーは目もあわせてくれなかった。韓国などの海外メーカーに頼らざるを得ないのかと思っていたが、いまでは全てのメーカーが毎日のように新しい端末の提案をしてくれる」と話す。
ソフトバンクは携帯電話をどんなものにしようとしているのか。まずはワンセグや音楽配信サービスなど、いわば「なじみのある」機能を搭載したものが並べられることになるだろう。それら既成の人気商品で、ユーザーが「新ブランド」に馴れ親しむようになってから、ソフトバンクの独自性を盛り込んだ端末を投入する――これが一般的なシナリオと考えられてきた。
同社が想定する新しい携帯端末は、もっとインターネットを使いやすい機器――つまり、よりパソコンに近い携帯電話ということが予想される。とはいえ、パソコンに近いような携帯電話、これまでの携帯電話とはかなり距離があるような属性をもつ端末をすぐに出しても、ユーザーは飛びついてこない。やはり、若干間をおいてから、というのが、昨年(2005年)夏頃までの同社の認識だった。常識的、セオリー通りといっていいだろう。だが、いまでは、この路線に修正を迫られることになるかもしれない。画面の大きさなどの制限をはらみつつ、昨年暮にウィルコムがネットの使用環境をパソコンに近くしたPHS端末「W-ZERO3」を発売、市場から高い支持を得たからだ。
さらにウィルコムは、ユーザー層をいっそう広げようとする戦略を打ち出した。「W-ZERO3」は、ヒット商品にはなったがそれでも弱点と目されるところがある。あの形状では携帯電話端末として幅が広すぎ、街角で耳にあて「もしもし」とやるには抵抗感を持った向きも少なくなかった。しかし、4日に同社が世に問うた新製品は通常の携帯電話とほぼ変わらない形状で、なおかつ、いわゆる「QWERTY」キーボードをもつ。この新製品が、これまであの形状のために、購入に二の足を踏んでいた層の背中を押し、大うけするようなことになれば、ソフトバンクの端末戦略も少なからぬ影響を受けることになるだろう。
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