【レビュー】

電動サイクル・電動バイクは本当に"エコ"なのか?

1 電動サイクルのトビラを開いたヤマハ

 
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モーターを搭載した「電動サイクル」の人気が高まっている。上り坂や重い荷物を積んでも軽快に走れる自転車だ。動力があるのに免許も要らず、普通の自転車として扱えるのが特徴だ。どうせならペダルを外し、電力だけで走るバイクのほうがいいと考える人もいるだろう。まだ数は少ないが、そういった「電動バイク」も登場している。これら電動サイクル/バイクについての「エコ」、つまりエコノミー(経済性)と、少しだがエコロジーについて考察してみたい。もちろんこれらに乗り物として魅力がなければ話にならない。そのあたりもインプレッションしてみることにした。

電動サイクルはバイクにあらず

電動サイクルにはいろいろな呼び方がある。「アシストサイクル」「電動自転車」など、基本的にはすべて同じものだ。自転車にバッテリーとモーターを搭載し、補助的に動力が与えられる機構を備えている。この「補助的」が重要なキーワードなのがわかるだろうか。

日本の道路交通法では「動力をもつ乗り物にはすべて認可(と免許)が必要」と決められている。だからあの「セグウェイ」もバイクに分類されてしまうのだが、この電動サイクルにナンバーは不要。乗るのに免許もヘルメットも要らない。つまりモーターの駆動力だけでは走ることができず、人の力の補助としてのみモーターが動くため、自転車として大手を振って乗れるのだ。

この画期的な乗り物を考えたのはバイクでおなじみのヤマハ(ヤマハ発動機)だ。電動サイクルを自転車のカテゴリーとして認めてもらうため、かなりのロビー活動を行ったという。電動サイクルが発表されたとき、その機構よりも自転車として認可させたヤマハの努力に歓声が上がったものだ。

1993年、おそるおそる始まった電動サイクルの発売

世界初の電動サイクルが発売されたのは1993年11月1日。ヤマハの初代「PAS(パス)」である。開発が始まったのは80年代半ばから。エネルギー問題や交通問題などの糸口として自転車に着目し、10年以上の歳月をかけて開発したという。発売はバイクの販売店網をつかって大々的に……とはいかず、最初は神奈川、静岡、兵庫の3県のみで、しかも事前にショップ店頭で試乗会を繰り返し、やっと発売が始まった。世界初の商品だけに、売る側も慎重だったのだろう。

「ヤマハ PAS(初代)」。1993年11月に発売された最初のPAS。価格は134,000円(税別)。モーター出力などは現在のモデルとほとんど変わらないが、重量31kgと重く、1充電の走行距離も最大約20kmと、ずいぶん短かった

機構的には、バッテリーとモーター、そして踏力を検知して駆動力をコントロールする機構「P.A.S(パワー・アシスト・システム)」を搭載している。こぎ出しや登坂、重い荷物の積載時など踏力が必要なときにアシストし、時速24km/h以上になるとモーターは完全に止まる仕組み。これは現在でもほとんど変わっていない。進化したのはバッテリーセーブ機構、軽量化、コストダウンなどの面が中心だ。

その後、電動サイクルは順調に販売台数を伸ばしている(グラフ参照)。自転車全体では出荷台数が減少傾向にあるが、電動サイクルはまだまだ増えている。現在電動サイクルを発売しているのはヤマハのほか、ブリヂストンサイクル、パナソニック(ナショナル自転車工業)、三洋電機、宮田工業など。老舗の自転車メーカーに電器系メーカーが混じるのは、やはりモーターを使うためだろう。ちなみにヤマハも最初はすべて自社生産というわけにはいかず、バッテリー回りは日本電池、フレームはブリヂストンに協力を求めた。キーになる「P.A.S」ユニットはもちろんヤマハ製だ。

電動サイクルの国内出荷台数(ヤマハ発動機資料より)

短距離コミューターとしての電動バイク

もうひとつのテーマである電動バイク。これは純粋にバイクのエンジンをモーターに置き換えたもので、免許もヘルメットも必要になる。現在ヤマハから「Passol-L(パッソル エル)」「EC-02」の2モデルが発売されている。試作モデルの発表や、工学系の大学で作られたものなどはあるが、大手メーカーから量産品として発売されている電動バイクはまだ少ない。クリアしなければならない問題が多いためだ。

四輪で増えているのはハイブリッド車で、ガソリンエンジンとモーターの両方を効率よく使用し、結果的に燃費を伸ばすというもの。しかしこれはバイクには当てはめづらい。まずバイクにはエンジンとモーターの両方を搭載するスペースがない。大容量のバッテリーも必要になる。第一、バイクはもともと四輪に比べて燃費がいいのだ。トヨタのプリウスが35.5km/l(10・15モード)と威張ってみても、ホンダのスーパーカブ(カスタム)は146km/lもの低燃費(30km/h定地走行)。測定基準が異なるとはいえ、まさに桁が違うのだ。CO2排出量は燃費に比例する。地球温暖化が気になるのなら、クルマ通勤をやめてバイクに乗ればいいのだ。……おっと、話がずれてしまった。

そんなわけで、Passol・EC-02は、本格的(?)なバイクではなく、都市部でのショートレンジでの用途を前提とし、機能を絞り込んだコミューターに仕上がっている。性能のいいリチウムイオンバッテリーを使用し、家庭用100V電源から充電する。エンジンを搭載しないので動力部はまったくのメンテナンスフリーなのも魅力。もちろんたまに可動部にオイルを注したり、すり減ったタイヤやブレーキは交換したりしなければならないが、オイル交換などは不要。オイルそのものが入っていないのだから。

また小型軽量にも留意されていて、Passolは屋内への持ち込みが実に簡単だし、EC-02にいたっては車載を考慮してハンドルが折り畳めるようになっている。ガソリンもオイルもないから、横倒しにもできる。走行音がほとんどしないので、旅先で小鳥や川のせせらぎに耳を傾けながらバイクで散歩するなんてのも、ちょっとオシャレでいいじゃないか。もちろん早朝や深夜の市街地でも、排気音を気にする必要はない。

一体型ユニットで驚くほどシンプルな構成

ヤマハは電動サイクルだけではなく、電動バイクにも早くから着手していた。91年の東京モーターショー出展の電動スクーター「FROG」を皮切りに、いくつか試作モデルを発表している。ヤマハ初の市販電動バイクとなった初代Passol(Passolは、かつては50cc原付きとして販売されており、スクーターブームのはしりとなった)は、2002年11月の発売。PASと同じように最初は地域限定でスタートし、翌03年5月から全国で販売が始まった。また、同時にインターネットでの発売も開始された。時代の変化を感じるところだ。

「ヤマハ FROG(ショーモデル)」。1991年の東京モーターショーで公開された最初の電動スクーター。その後、1993年には「MEST」、1999年「ECCY」と、ヤマハは電動バイクを発表し続け、後のPassolへとつながった

この初代Passolは、現行のPassol-Lとスタイルやサイズはほぼ同じだが、最高出力や走行距離がずいぶん違う。初代Passolは最高出力:0.95kW/1,830rpm、1充電走行距離:32kmなのに対し、Passol-Lは最高出力:1.2kW/2,250rpm、1充電走行距離:43kmとなっている。ちなみにPassol-Lの発売は2005年11月9日、EC-02の発売は2005年5月21日だった。

「ヤマハ Passol(電動初代)」。2002年11月に発売された最初の電動Passol。価格は200,000円(税別)。現行のPassol-Lとデザインやバッテリー容量は同じだが、モーター出力、1充電の走行距離ともに低い。電動スクーターの進化は、バッテリーの使用効率であることがわかる

PassolやEC-02で技術的なキーになるのは、「YIPU(ヤマハ・インテグレーテッド・パワー・ユニット)」と呼ばれるリヤホイール部分。後輪ハブ内に収まったブラシレスDCモーター、小型コントローラー、遊星減速機、ドラムブレーキなどが一体になり、これがリヤのスイングアームとしても機能する(ユニットスイング)。このおかげでボディは驚くほどシンプルだ。シート下に長いバッテリーが収まるが、それを除くとフレームやタイヤ、ハンドルといった走行に必要なものしかない。このシンプルさに電動バイクの可能性が見えてくるようだ。

さて、気になるエコについては次ページで考えてみよう。

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インデックス

目次
(1) 電動サイクルのトビラを開いたヤマハ
(2) エコノミー度をチェックする!
(3) 高い完成度と楽しさの電動サイクル - PAS インプレッション
(4) 短距離コミューターと割り切って使う電動バイク - Passol インプレッション

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