【インタビュー】
2006年の夏、Adobe Systemsより、Flex 2.0とともにFlash Player 9がリリースされる予定だ[*1]。そして、Flash Player 9には、新たにActionScript 3.0が搭載される。そのリリースに先駆けて、Adobe Systems(以下Adobe)のFlash製品担当シニアプロダクトマネージャのマイク ダウニー(Mike Downey)氏が来日した[*2]。本稿では、ダウニー氏へのインタビューと同社のサイトで公開されている情報をもとに、Flash Player 9とActionScript 3.0について紹介しつつ、クリエイターや開発者に与える影響を探ってみたい。なお、本稿中には、Adobeの上条晃宏氏のブログakihiro kamijoの情報を参照している部分があるが、情報は投稿時点の製品ビルドに基づいているとのこと。パブリックアルファ版公開時の仕様とは一部異なる可能性があるので、留意いただきたい。
[*1]Flex 2.0についてはAdobeデベロッパーセンター「Flex 2.0:次世代のリッチインターネットアプリケーションの実現」、FlashアプリケーションとFlex 2との関係は同「Flash ProfessionalとFlex 2」を参照。
[*2]マイク ダウニー氏は、自身のブログ「Mike Downey」を開設している。
Flash Player 9は、スクリプトの実行パフォーマンスを向上させるために、大きな改良が加えられた。ActionScirptはSWFに書き出されると、バイトコードという命令に変換される。このバイトコードを解釈して実行するのが、Flash Playerの「仮想マシン」(Virtual Machine)である[*3]。ダウニー氏によれば、Flash Player 9では、このActionScript仮想マシンが新たに開発され、AVM2(ActionScript Virtual Machine 2)として搭載された。そして、AVM2用にデザインされたのが、新バージョンのActionScript 3.0なのだ。
ActionScript 3.0の処理は極めて高速で、ランタイムエラーや構造化された言語体系、デバッグへの対応など、最近のプログラミング言語が備えるべき機能を幅広くサポートしている。ActionScript 3.0については、「ActionScript 3.0とは」で改めてご紹介する。
[*3] Flash Playerの「バイトコード」と「仮想マシン」の意味や機能については、筆者のサイトFumioNonaka.comの「ActionScriptとその基本概念について」におけるWord「バイトコード」を参照してほしい。
Adobeサイトの「Flex 2.0 FAQ」を見れば気づくとおり、ActionScript 3.0をサポートする新しいFlash Playerのバージョンは、当初8.5とアナウンスされていた(英文になるが、AdobeのPress Release「MACROMEDIA ANNOUNCES FLEX 2 PRODUCT LINE AND FLASH PLAYER 8.5」を参照)。そのバージョン番号が、なぜ8.5から9に変わったのか? またそれにより、初期の計画とは異なる機能が追加されるのだろうか? まずは、その疑問を尋ねた。
ダウニー氏の答えは、変わったのはバージョン番号だけで、当初計画と異なる機能の追加などは予定されていない、というものだ。この点、米国AdobeのFlash Player 9 Public Betaサイトの「Frequently Asked Questions」(英文)にも、新Flash Playerのリリースに際しての機能はとくに変わらず、バージョン番号のみの変更だとされている。
新Flash Playerのバージョンを8.5とすることは、ダウニー氏が主張したそうだ。ユーザーにとって大きく変わる部分は、新しいActionScript言語の追加だけだと考えたからである。ところがその後の調査で、ActionScript 3.0とActionScript2.0との違いは重大なもの、とほとんどのユーザーやクライアントが受け止めたことが判明。メジャーバージョンアップがふさわしいという結論になった。「そのため後で、私は方々に謝らなければいけませんでした」とダウニー氏は苦笑しつつ語ってくれた。
ダウニー氏によると、次期Flashアプリケーション(オーサリングツール)のリリースは、来年の早い時期(前半)が予定されている(Adobeの上条晃宏氏のブログakihiro kamijo「Flash次期バージョンについて」には、「来年の春頃」と紹介されている。もちろん、「あくまでも予定」という注意書きつきだ)。そのFlashオーサリングツールは、Flash Player 9をサポートする。Flash Player 9.5や10が出るわけではないそうだ。
しかし、逆に考えてみれば、次期バージョンのFlashが発売されるときには、すでにFlash Player 9がリリースされて半年以上が経過していることになる。したがってこれまでと比べて、次期Flashがリリースされてから新Player対応のコンテンツが普及する時期は、かなり早まると期待できるのではないか。
今夏Flash Player 9のリリースと同時に、次期バージョンFlashのパブリックアルファ版の公開が予定されているとダウニー氏は語った。Flashユーザーに、早くActionScript 3.0に移行してもらえるための施策である。Flash Professional 8またはStudio 8ユーザーは、Adobeサイトからこのアルファ版を無償でダウンロードできる[*4]。次期バージョンのFlashのパブリックアルファ版に、新たに付加されるのは、ActionScript 3.0をサポートしたFlash Player 9への書き出し機能のみである。また提供されるのは、英語版だけだ。もっとも、パブリッシュの機能を試すくらいなら、英語版であってもさほど不便はなかろう。
またダウニー氏は、次期Flashオーサリングツールでは、Flash Player 9やActionScript 3.0への対応以外に、Adobe IllustratorやPhotoshop、After EffectsなどのCS製品との統合がはかられるという。ツールやパレット(パネル)などのインタフェースの統一や、Flashへのデータの読込みなどで大きな改善が期待できそうだ。
[*4] パブリックアルファを使用するには、製品シリアルナンバーの登録が必要とされる。
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