【レポート】

人は宇宙でカイコを食べる? - 宇宙開発のトレンドが一堂に会したISTS展示会

1 H-IIエンジンの実物が見られる

    野口智弘  [2006/06/10]

    4日より11日まで、石川県金沢市の金沢21世紀美術館において「ISTS国際宇宙展示会」が開催されている。この展示会は同時期に金沢市内で開かれている「第25回宇宙技術および科学の国際シンポジウム(第25回ISTS)」と並行して行われるもので、国際シンポジウムは研究者を対象としているが、展示会は一般開放されており、自由に見学が可能。開催時間は10時~18時で、入場無料。

    ISTS国際宇宙展示会には、日本の宇宙開発の要である宇宙航空研究開発機構(JAXA)を筆頭に、石川島播磨重工業グループや三菱重工業、NEC東芝スペースシステムや大日本インキなどの15団体が出展。会場は大きく分けて「輸送系」「衛星系」「月・惑星探査」「宇宙ビジネス」「有人系」の5つのゾーンで構成されている。

    輸送系

    輸送系のゾーンにはいわゆる「ロケット」と呼ばれるものに関連した展示が行われている。日本の主力大型ロケット「H-II」シリーズの展示はもちろんのこと、中小型衛星打ち上げサービスの展開を目指すギャラクシーエクスプレスらが開発中のGXロケット、次世代イオンエンジンや宇宙での太陽光発電など、巨大なプロジェクトに関するものが数多く展示されていた。ロケットプレーンやRVTなど、繰り返し利用が可能なロケットの研究状況についても展示されている。

    会場となっているのは名所・兼六園のすぐそばにある金沢21世紀美術館。円盤のようなユニークな形と、開かれた美術館というコンセプトが全国から大きな注目を集めている。

    展示会風景。輸送系が集まるゾーンには、H-IIロケットの第1段エンジンや各種ロケットの模型など、とくに大型の展示物が並べられている。

    「H-IIロケット第1段LE-7エンジン」の実物。直径は約2.5m、高さは3m以上にも及ぶ。現在のH-IIAロケットにはこれをさらに改良した「LE-7Aエンジン」が活躍している。

    「LE-7エンジン」に使われている「液体酸素ターボポンプ」の内部構造模型(左)。液体酸素用と液体水素用のものが各1基ずつ据え付けられている。

    衛星系

    衛星系のゾーンには、X線天文衛星(すざく)や赤外線天文衛星(あかり)、小型科学衛星(れいめい)や、地球観測衛星(だいち)などの模型が並んでおり、ひとくちに「人工衛星」と言っても、じつにさまざまな種類の人工衛星が活躍中であることがわかる。ペーパー状の太陽電池や形状記憶樹脂など新素材の展示も行われており、これらは世界中から大きな注目を集めているという。

    展示会の風景から。「衛星系」「月・惑星探査」「宇宙ビジネス」「有人系」といったゾーンが並ぶ。取材日は平日ながら修学旅行生など多数の来場者でにぎわっていた。

    「衛星系」のゾーンから、2006年2月に打ち上げられたばかりの赤外線天文衛星「あかり」の1/5模型。高度約700kmにあり、赤外線による観測で宇宙の地図を作成している。

    2006年1月に打ち上げられた陸域観測技術衛星「だいち」の1/8模型。3つの地球観測センサを搭載し、地図作成、地域観測、災害状況把握、資源探査を行う。

    「だいち」に搭載されたパンクロマチック立体視センサの実物大模型。いわば巨大なカメラで一度に幅70kmの範囲を観測できる。分解能(解像度)も高く、宇宙から2.5m四方のサイズの物体まで観測ができるという。

    新素材の展示から「軽量構体パネル」(左)と「形状記憶ポリマ複合材」(右)。軽量構体パネルはウレタンのように軽いが、叩くとコンコンと音がする硬さ。形状記憶ポリマは形が変化しても加熱すれば元通り。形状記憶合金よりも軽く、加工も容易という。

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