【レビュー】

SketchUpの魅力に迫る - 3Dモデリングにスケッチ工程を生み出した意義

3 有償版「SketchUp」と無償版「SketchUp」の差異とは?

    福井信明  [2006/05/30]

    無償版の登場

    この革新的なソフトが、Googleから無償で提供されることになった。パース界においてのJWCADとなりえるのではないか。無償バーションとはいえ、SketchUpの素晴らしい機能群を少なくしたものではない。制限としては、有償版にはあるobjや3dsなどのフォーマットへの出力ができないとうことと、「個人かつ非商用利用にかぎり無償で利用可能」ということがある。

    余談になるが、クリエイターの仲間内ではこの「商用」という定義が話題にあがっていた。「どこまでが商用で、どこからが非商用なのか」という疑問だ。本稿を書くにあたってあらためて、Google ジャパンに問い合わせてみた。Googleとしての見解は「ソフト自体を商用で使用してはいけない」というものだった。たとえば、無償版ソフトを有料で配布したり、一部の人しか使えない状態にしたりしてはいけないとのこと。つまり「ソフトの使用目的と成果物の用途を縛っているものではない」ということだ。

    いずれにしても、無償版を使って操作をつかみ、それが肌になじんだのなら、有償版を購入するのもよい選択だと思う。

    有償版のアドバンテージは他のソフトと連携できること

    有償版はOBJ形式での出力ができる。OBJ出力は非常にありがたい。フォトリアルな表現に仕上げるには、他のレンダリング機能に優れているソフトに読み込んで作業するしかない。そのためには、汎用性のあるファイル形式に書き出す必要があるのだ。

    SketchUpでは太陽光以外に点光源やスポットライトをおくことができないので、微妙な光源による演出ができない。場合によっては、モデリングソフトとして割り切って使う道もあるかもしれない。モデリングソフトとして使う以上は、どのソフトとの相性がよいかがテーマとなる。

    私が一番重宝しているのはレンダリングソフト「Maxwell Render」への書き出しだ。このソフトは地球上での位置、日時を設定すると、まさにその場所でその時間に見られる光、つまり自然光を物理的にシミュレートしてくれるレンダリングソフトなのだ。日時の設定……。そう、SketchUpの日時の設定もそのまま反映してくれるのだ。Maxwell Renderはかなりレンダリング時間がかかるソフトなので、事前に、SketchUpを使ってリアルタイムで日照の具合を簡単に確認できることは非常にありがたい。何回か書き出しを試したが、SketchUpで設定したテクスチャも正確に読み込まれている【図14、15】。

    【図14】書き出す前にSketchUpでテクスチャを設定してみる

    【図15】Maxwell Rendeでのレンダリング結果。SketchUpで設定したテクスチャがしっかり読み込まれている

    レンダリングのパートナーとしては、「Vue」との連携も面白い【図16】。SketchUpは建築モデリングに特化していて、vueは風景の表現に優れている。これもまたベストパートナーといえるだろう。筆者が試した限りでは「LightWave 3D」との連携もできた【図17】。

    【図16】Vue5でも問題なく、読み込みが成功した

    【図17】LightWaveでも問題なし

    ただ気をつけたいのが、SketchUpの「ポリゴンを意識しないで作業」できるという点。SketchUpからobj形式などで書き出すと、SketchUp由来のファイルもデータとしては、3Dソフトのルールに従っていることがわかる。他のソフトと同様にポリゴンの裏と表があるからだ。ポリゴンが裏のままテクスチャを貼り付けてしまうと、うまく読み込んでくれないのだ。曲線を多用して作りこんだときも、うまく書き出せなかった。SketchUp内で作業しているだけなら、ポリゴン編集上の無茶もなんとかしてくれているようだ。だが、SketchUpの管理下から出てしまうと、とたんに無茶が露呈してしまうようだ。

    有償版はAdobe Illustratorへの書き出しも可能

    書き出し機能で私がもっとも注目したのが、「Adobe Illustrator」への書き出しだ。この場合、ファイルはネイティブのai形式ではなく、eps形式で書き出すことになる。これだけで有料版に踏み切る人もいるだろう。

    もともとSketchUpの編集画面はデフォルトでは線画であり、ベクター系のソフトライクである。影を表示させ、任意のアングルで書き出すと、SketchUpでのイメージのままepsファイルに書き出すことができる。このとき、線情報と面情報は別々のオブジェクトとして書き出される。一見やっかいに思えるが、私はIllustratorで開いてすぐ線のみを消去してしまう。それで問題ないだろう。この機能はイラストレーションそのものや、その背景や、図版作成などに非常に重宝する。漫画などの背景作成にもよいだろう【図18】。

    【図18】Illustratorへの書出しは「EPSに書出し」となる

    制作物に使用する際、解像度を気にせずに拡大縮小ができる。このようにベクターデータになるという恩恵は大きいのだ。他のソフトだと、ほとんどの場合が別売りのプラグインとなる。数万円するものもあるだろう。

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