【レポート】

BEA、JRockitという実力、Liquidというビジョン

日本BEAシステムズは18日、東京本社虎ノ門オフィスにおいてJRockitやJRockit Mission Control、JRockit Virtual Pool (Bare Metal)などに関する発表を行った。

BEAスタックにおけるJRockit

BEAはご存じのとおりWebLogic ServerプロダクトをWebアプリケーションプラットフォームの中心にすえ、関連する各種プロダクトを展開している。プロダクトはJavaで開発されており、各種サービスがWebLogic Serverで関連付けられるメカニズムだ。

JRockit, Product Manager, Henrik Stahl氏

これらJavaプロダクトはJava仮想マシンで動作する。Java仮想マシンを提供している代表ベンダはJavaの提供元であるSun Microsystemsである。IBMやBEAも提供している。BEAが提供しているJava仮想マシンはJRockitである。BEA, IBM, Sun MicrosystemsがJava仮想マシンを提供している代表的な3ベンダであり、BEAが提供しているJava仮想マシンは特に実行速度が速いことで知られている。

BEAがWebLogic Serverを中心としてJavaプロダクトを展開しているため、JRockitは同社の展開しているプロダクト全体に影響を与える重要な存在。同社製品の高性能さはJRockitにも一因があるといえる。

JRockitの歴史

JRockitはもともとはAppealによって開発されていたJava仮想マシン。すぐれたガベージコレクタ機能やスケーラビリティの高さに定評があった最古のJava仮想マシンのひとつ。2002年にBEAがAppealを買収し、BEAポートフォリオに組み込まれることになった。

BEAが提供しているJRockitは、基本的にJava仮想マシンの部分のみ。クラスライブラリについてはSun Microsystemsが提供しているものをそのままライセンスして同梱しているため、ライブラリレベルにおける互換性は100%確保している。

JRockit 5.0 R26

JRockitのカスタマイズされていない一般バージョンは無償で提供されている。有償で提供されているのはサポートの部分だ。このためOSS関係者にユーザも多いという。ただし、第一の顧客は企業顧客となる。

JRockit 5.0 R26が提供している代表的な新機能を次にあげておく。

  • 64ビットにおける最適化
  • 浮動小数点演算の改善
  • スケーラビリティの向上
  • すべてのプラットフォームにおける大容量メモリページのサポート
  • Windowsにおける1GBをこえるヒープ確保機能の提供
  • SPARC Solarisプラットフォームサポートの追加

電話・携帯通信事業や金融業界のようなミッションクリティカルな性能を要求される分野では、Javaはガベージコレクタによる遅延の発生が問題となる。ガベージコレクタという仕組みを採用している性格上、ガベージコレクタが動作することは避けることができない。

JRockit 最適化位置付け

ガベージコレクタ

ガベージコレクタ

将来的な目標

JRockitはこの点でユニークな機能を提供している。JRockitが提供しているガベージコレクタは、ガベージコレクタの実行時間を平均的に分散させ、最大遅延時間を保証することに成功している。ミッションクリティカルな分野で採用するには必要な機能だ。同社は将来的にはそもそも遅延が発生しないシステムへと改良を続けていくとしている。正式な発表はできないが、この点に関しては来年にはBEAからプロダクトに関する何らかの発表がおこなれるだろう。

最大遅延時間を保証することで、全体の実行速度は悪化する。このあたりはトレードオフであり、だいたい10%から20%の遅延が発生する。ただし、JRockitは高負荷になった場合でも遅延が保証されるという点に特徴がある。このあたりはBEAの取引先企業からの要望が色濃く反映されたものだとみてよいだろう。

BEAはJava仮想マシンであるJRockitのみならず、2005年12月にはJavaアプリケーションの管理やパフォーマンス管理をおこなうためのツールスィートであるJRockit Mission Controlの提供を開始している。このあたりのスタックの豊富さはBEAの特徴だ。

Liquidインフラストラクチャというビジョン

BEAは最近、新しいビジョンとして「Liquid Infrastructure」という言葉を掲げている。これはだいぶ広範囲にわたる概念だ。「Liquid」のように何ものにもフィットするというイメージに対して、スケーラビリティが高く仮想化が実現されているインフラストラクチャであるという意味が込められているようにおもう。

Liquid Infrastructure というビジョン

具体的に、現在開発が進められているふたつのコンポーネントから、「Liquid Infrastructure」というビジョンをみていきたい。

  • Bare Metal
  • Resource Broker - JVM Pool/Agent

Bare Metalはサーバの仮想化を実現するためのコンポーネント。Henrik Stahl氏はOSによって提供される仮想化は、多くのアプリケーションに機能を提供するという目的を達成するために最適化さていないとする。BEAではHypervisorのうえにBare Metalと呼ばれるレイヤをはさむことで、OSの関与を最小限にした仮想環境を提供するという。

Bare Metal

Hypervisorとは、XenやVMware ESX Serverのような仮想化プロダクトをさす一般名。Bare MetalはHypervisor、ようするにVMware ESX ServerやXenを使ってサーバシステムの仮想化を実現するためのコンポーネントである。OSの関与が必要最小限になり、よりサーバプラットフォームにフォーカスした仮想化が可能になる。

対応するHypervisorは今のところVMware ESX ServerおよびXenを考えているが、顧客の要望に応じてSolarisやAIXで提供されている仮想化にも対応するかもしれないという。当初対応するOSはWindowsおよびLinuxになるだろうということだ。

もうひとつのコンポーネントはResource Brokerだ。Java仮想マシンで動作するアプリケーションというのは、要するにJava仮想マシンという層をはさんで外部のリソースを利用するようなもの。Resource Broker JVM Poolは仮想化されて動作しているJava実装環境のリソースをそれぞれ管理するためのマネージャ。

Resource Broker – JVM Pool/Agent

このふたつのコンポーネントから、BEAが「Liquid Infrastructure」というビジョンになにを求めているかがわかる。Hypervisorを要としたサーバの仮想化に注力することになるといえるだろう。

サーバの仮想化という方向性

機材の個数を抑え、かわりにソフトウェア側で仮想化し複数のサーバを提供するというのは、x86ベースのPCをベースとしたエンタープライズシステムで現在もっともホットな話題だ。その原動力となっているものはVMwareとXenにあるといってもいいだろう。

BEAが掲げている「Liquid Infrastructure」もそれを色濃く反映したものだといえる。BEAの強みはなんといってもポートフォリオとしてJRockitを持っていることだ。仮想化を実現しつつ性能を獲得するうえで欠かせない部分の実装を持っていることで、その点においては同じくJava仮想マシン実装を有しているSun MicrosystemsやIBMとともに優位な立場にあるといえる。



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