【レポート】
最もチャレンジングなリーグが、2足歩行ロボットによるヒューマノイドリーグだ。ROBO-ONEの発展に見るように、2足歩行ロボットはもはや「歩くのがやっと」というレベルではなくなったが、それでもボールを蹴ったり止めたりするのはまだまだ難しい。しかもロボカップでは自律制御が求められる。最も歴史の浅いリーグであり、まだチーム毎の実力差も大きいが、ロボカップの最終目標が「人間に勝つ」ことである以上、このリーグが発展していくことになるだろうし、そうならなければならない。
昨年の世界大会では、初めて複数のロボットが対戦する2on2が行われたが、Team Osakaが安定した実力を発揮して優勝した一方、ほかのチームのふがいなさが目立った(といっては失礼だが)。決勝戦のみが唯一"試合"と呼べるような内容で、今年、Team Osakaに追いつくようなチームがたくさん出てきて、リーグが盛り上がることを期待していたのだが、結果はどうなったかというと……。
初日に行われたPK戦は、参加6チームが2つのリーグに別れ、予選を行った。筆者はこの予選を見ていなかったのだが、聞いたところでは、残念ながらあまり試合らしくならなかった模様。しかしその中でも、実力が抜きんでていたのがTeam OsakaとDarmstadt Dribblers & Hajime Team(以下、DD&Hajime)で、当然ながら決勝戦はその両チームで戦われることとなった。
いつも一人で黙々と作業していた印象がある「はじめロボット」の坂本元氏だが、今回はドイツ・Darmstadt工科大学との合同チームで参戦。前回大会で使用した「はじめロボット15号機」はカメラを搭載していなかったのだが、Darmstadt側から「何でカメラを付けないんだ?」という話があり、大会期間中に試しにDarmstadtのものを接続したところ、なんなく動作したという(ちなみにこの大会で両者はPK戦で対戦しており、この時ははじめロボットが2-0で勝利した)。そんなエピソードもあって今大会の合同チーム結成となったわけだが、はじめロボットの運動能力とDarmstadtの画像処理やアルゴリズムが合体するのは強力。
一方のTeam Osakaも、今回、新型ロボットを持ち込んでいた。外見のデザインは前回優勝マシンの「VisiON NEXTA」を踏襲しているが、軽量化が図られたほか、膝のモーターが2個に増えており、足を振り抜くスピードが速くなっているそうだ。ただし、まだ正式名称が与えられていない"プロトタイプ"とのことで、こちらは調整不足が事前の懸念材料だ。
試合は、交互に1本ずつ蹴って進められる(計5本)。先攻はTeam Osakaで、2-1で迎えた3本目以降、はじめロボットは相手が蹴る前から足を広げ、シュートコースを塞ぐ作戦に出る。ボールがまず浮かない現時点の試合レベルで、最も効果的なディフェンス方法ではあるが、正直、こればかりになるとちょっと面白くない。昨年の大会でも同様のチームが出たが、今後、ルールをきちんと整備して、ちゃんとしたゲームになるようにした方がいいかもしれない、と感じた。結果は、3-2でTeam Osakaが辛くも勝った。
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最終日には、いよいよ注目の2on2が行われた。ちゃんと動くロボットを2体用意しなければならない2on2は難易度が高く、参加チームも4チームに減ってしまったが、1回戦(これが準決勝となる)でTeam OsakaとDD&Hajimeがいきなり激突。言うまでもなく、これが事実上の決勝戦だ。DD&Hajimeとしては、ここでTeam Osakaを破って逆転の総合優勝を狙いたいところ。
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Team Osakaは、新マシンは出さず、熟成されて信頼性の高い昨年のVisiON NEXTAで出場していた。余裕があれば新マシンを途中から使う予定だったそうだが、2-0という接戦だったために、結局ゲーム終了まで出す機会がなかったのは少し残念なところ。ちなみに、新マシンでは外装を柔らかい素材に変えており、自分や相手のダメージを減らすよう工夫されていたのだが、足にもそれが使われているためか、シュートのスピードが思ったより出なかったそうだ。
同チームの大和信夫監督によると、今年は準備期間が短く、新マシンはハードの調整やソフトのチューニングが不十分だったという。旧マシンでも勝ててしまうのはさすがだが、新旧マシンの強さは現時点で「ほぼ互角」ということで、今後、世界大会までに仕上げていって3連覇を狙いたいところだ。結局、2on2はTeam Osakaが優勝。同チームは2日目に行われたテクニカルチャレンジも制しており、今回、見事に総合優勝を果たしている。
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総合優勝を果たしたTeam Osaka(左端が大和信夫監督)。ロボットは、手前2台が新型、後ろ2台は昨年のもの |
準優勝のDD&Hajime(左手前が坂本元氏)。「世界大会までにもう少し調整して、今度は勝てるようにしたい」という |
一方、善戦した「はじめロボット18号機」だが、課題はソフト部分だろう。ROBO-ONE出身らしい機敏な動きはTeam Osaka以上で、これにアルゴリズムがぴったりハマった時は脅威になりそう。ちなみに今まではROBO-ONE用のものを流用していたが、18号機では初めてロボカップ用に製作したという。今年は大阪・西淀川区の中小製造業の有志グループによるサポートもあり、ハードの軽量化などが図られている。今後、ボールをつかめるような"手"を付けることも考えているとか。
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