【レポート】

新ユビキタス・コミュニケータ(UC)で切り開く未来

1 なんでもできるデバイスへ

    湯木進悟  [2006/05/08]

    「ユビキタス」。 ITビジネス分野に詳しい読者の方々ならば、ごく普通の感覚で使う言葉なのかもしれない。しかし、一般的に"ユビキタス"はどのようにとらえられているのだろうか……。

    興味深いことに、手元にある少し以前の国語辞典などで、この"ユビキタス"の意味を調べようとしても、まだ載せられていなかった。また、街角で尋ねてみても、"ユビキタス"を明解に説明できる人の数は、それほど多くはないようだ。ただ、わりとお年寄りの方であっても、最近は「ユビキタス社会」や「ユビキタス環境」といった言葉を耳にするので、まだよくイメージがつかめないものの、何となく聞き覚えはあるという。

    人々の今後の生活を大きく変化させるコンピューティング技術として、1つのキーワードにもなっている"ユビキタス"。そこに秘められた可能性を身近に体験できるプロジェクトが、兵庫県神戸市内の各地で進められている。

    ユビキタスを実現する最新デバイスが誕生!

    ユビキタス・コミュニケータ(UC)

    2004年に国土交通省は、ユビキタス・ネットワーク技術を駆使して実現する「自律移動支援プロジェクト」を新たに立ち上げた。「遍在」を意味するラテン語を語源とする"ユビキタス"は、この自律移動支援プロジェクトがビジョンに掲げる、「いつでも、どこでも、だれでも」アクセスして恩恵が受けられるコンピューティング技術サービスと深く関係するという。そして、それらサービスが現実のものとなってこそ、真のユビキタス環境やユビキタス社会の時代が到来すると説明されている。

    この「いつでも、どこでも、だれでも」ユーザーになれるようなサービスを、実際に提供するためには、ベースとなるプラットフォームや、システム環境の充実が求められる。では具体的には、一体どのような形でユビキタスな情報サービスが利用できるようになるのだろうか?

    まだ研究開発の途中ではあるものの、この点でカギを握るデバイスが、東京大学大学院・坂村健教授が率いるYRPユビキタス・ネットワーキング研究所より誕生した。T-Engine(TRON)対応の32ビットCPUを搭載する「ユビキタス・コミュニケータ」(UC)である。

    落ち着いたホワイトカラーを基調として、VGA(480×640ピクセル)表示のTFTカラー液晶ディスプレイを搭載するユビキタス・コミュニケータは、一見するとPDAのようなデバイスとなっている。しかしながら、このコンパクトなデザインに、ユビキタスの根底となる「いつでも、どこでも、だれでも」を可能にするための技術が取り入れられているという。

    VGAサイズのMPEG動画再生に対応している

    VoIP電話機能も備えている

    まず、ディスプレイ上に表示される文字は、ユーザーの希望に応じて自由にサイズ変更が行え、標準の日本語を始め、多言語に対応。JPEG画像の拡大・縮小・回転表示がスムーズにできるほか、VGAサイズのMPEG動画再生が行える。音声は標準装備のステレオスピーカーと、ワイヤレス接続可能なヘッドセットから聞けるようになっており、タッチパネルやボタン加えて、ハンズフリーマイクを使って音声でも操作することが可能。通信機能は、無線LAN・Bluetooth・赤外線・ZigBee・PHS通信に対応し、無線LANを用いたVoIP電話機能も備える。また、指紋認証ユニットや、eTRONによる暗号通信機能などでセキュリティが確保されるほか、デジタルビデオ入出力端子、SDメモリーカード/miniSDカードスロット、USB接続などを可能にするクレードル用拡張コネクタを搭載し、インタフェースが豊富である点もアピールされている。

    eTRONカードとユビキタス・コミュニケータの裏面

    ユビキタス・コミュニケータで実現する情報サービスのイメージ

    ユビキタス・コミュニケータの最大の特徴は、「ucode」を読み取る「ucodeタグリーダ」が、13.56MHzおよび2.45GHzのデュアルアンテナで標準装備されている点にあるだろう。

    ucodeは、様々な生活シーンに応じた情報サービスを提供する128ビットの識別コード。ユビキタス・コミュニケータは、サービスエリア内の至る所に設置された無線ICタグ(RFIDタグ)から、リアルタイムにucodeを読み取り、ユビキタスIDセンターなどの情報管理サーバから情報を受ける。ucodeの読み取りには、本体の前面と背面に搭載されたデジタルカメラを用いる一次元/二次元バーコードリーダー機能や、無線LAN、Bluetooth、赤外線通信機能なども活用されるという。

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