【レビュー】

最強の毛筆シミュレーションソフト現る? MoXiレビュー

4 水分がなくなると割れるデジタルの毛筆

    大賀葉子  [2006/05/08]

    書き殴って割れる筆!

    さらに、ちょっと通ごのみの設定かもしれないが、毛筆には、描き続けるうちに、水分がなくなることによって、先が割れてくるという特徴がある。割れた状態で描くことで、かすれた筆の味がでることがある。MoXiはこの「割れる筆」の設定も用意されているのだ。描き殴っていくうちに、どんどん筆先が割れるのだが、その割れる程度や割れた場合に飛び散るインクの頻度なども数値化されている。私がやってみたところ、うまく割れる場合もあるが、どうやればキチンと割れるのかがまだ把握しにくかった。Chu氏によるとまだここはバグがたくさん残っている部分なのだそうだ。しかし、割れた筆の描きだす線は、繰り返すが毛筆の醍醐味とも言えるもので、これはかなりポイントが高い。割れた筆は、ウインドウの下部のアイコンをクリックすることでリセットし、すぐに筆先をひとつに整えることができる。

    「Settings」パレットの「Auto Split」にチェックを入れると、自動的に筆先が割れてくる設定になる。強い筆圧で描いていると、水分がなくなるに従って、図のように筆先が割れてくる。画面下の「Reset Brush Post」か「Straighten Tuft」を選択すると、筆先をひとつに整えることができる。

    あまりいい作例ではないが、とにかく力強く描いていると、3D筆のほうも先が割れてくるので、これをこのまま使っているとひとつの筆で2~3本の筋をもった線になり、これをうまく使えれば味のある線になる。

    ペーパーと描き味

    デフォルトの紙質は、半紙によく似た紙で、紙の水分がよく広がるようになっている。その他にも、水分が極端によく広がる紙、水彩画に適した紙など、数種類のプリセットが用意されている。私が気に入ったのは水彩画用の紙(Water Color)だ。まるで急に水彩画がうまくなったような錯覚さえ起こしてしまう。これは、下絵を見ながら描くことのできる機能を使って描くことができるので、将来的には水彩画を学ぶ人にも使えるものになると思われる。

    プリセットされている用紙の種類。現在のところ9種類ある。もちろん新しい紙を自分で細かく設定することも可能。

    他にも、絵の具がどんどん流れ出す紙やちょっと模様の入った紙といった、基本紙以外の紙も用意されている。Chu氏によると、このプリセットの紙はもっと増やす予定で、できれば合成(synthesize)して作れるようにしたいとのことだった。

    半紙のような基本の紙(Single Xuan)。絵の具のにじみが激しいのでコントロールが難しいが一番毛筆らしい味がでる。あたり前だが本物の半紙とは違っていくら色を重ねても破れないし、白い色で描くことも可能だ。

    水彩画用の紙(Water Color)は絵の具の吸収が大きいので大きく広がらず描きやすい。毛筆独特の広がりはないが、絵の具を重ねると実にリアルに色がたまるのでこれもなかなかいい。

    普通のペイント機能に期待

    全体としては、本当に筆の心のわかっている、毛筆ペイントソフトとして最上のソフトになるであろうことが想像できるのだが、現在の段階ではレイヤーや選択範囲・消しゴム(吸い取り筆というものはある)や取り消しなどの機能はついていない。一気にミスもなく描きあげるというのは、誰にとっても難しいので、これらの一般的なグラフィックソフトが持っている最低限の機能は付けて欲しいと思う。これらがあれば失敗なく使えるようになれるからだ。

    Chu氏にこれらの通常のペイントソフトにあるような機能のことを尋ねると、「それらは、やることリストに入っています。」とのこと。希望としては、このすばらしいシミュレーションの良さを残しつつインタフェースはシンプルに、かつ、書き損じや失敗にもフォローがあるソフトになってほしい。そして、もっと贅沢を言えば、初心者でも初日に楽しめるようなソフトに仕上げてくれれば言うことはない。開発者のChu氏は現在さまざなソフトウェアベンダーにプレゼンテーションを行っているという。ともかく、仕上がりには大いに期待できる。私としては一日も早く完成版を使いたいという思いで一杯だ。

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