【レビュー】

最強の毛筆シミュレーションソフト現る? MoXiレビュー

3 どうしてこんなに目立つ"3D筆"のインタフェースが必要なのか?

    大賀葉子  [2006/05/08]

    筆の傾きがわかる3D筆

    さて、私が最初に思ったのは、せっかくコンピュータソフトなのに、なぜカーソルである筆をこんなに大きく表示するのだろう、邪魔ではないのか、ということだった。通常、タブレットペンを使うソフトウェアでは、カーソルは矢印か、せいぜいアイコン程度の大きさのもので、画面を見ていてもほとんど目に付くことはない。が、MoXiの場合、目立ちすぎるほど目立っているのだ。これは、使ってみて納得したのだが、これには大きな理由があった。

    毛筆であるからには、傾きが大事なのだ。傾きによって、筆を置く角度と力加減によって、描かれる線や形がかなり変わってくるのが毛筆というものだ(平筆ではそのあたりはもう少し単調になると思う)。そして、その力加減による太さや細さが毛筆の命ともいえる描き味を左右するのだから、これは、絶対におろそかにできない部分なのだ。描いていると、筆が傾く様子がリアルタイムに3D筆に反映されるので、自分がどういった筆づかいをしているのか、あるいは、どう筆を動かしたいかがはっきり解る。しかも、マウスでドラッグすることによって、筆と紙の距離すら変えることもできる。この3D筆は、半透明で表示されているので、筆に隠れている部分が見えなくなることはない。

    毛筆の場合、ひとつの筆で細い・太いを描き分けることが多いが、MoXiの筆でも、この機微が実現されている。弱く細く描いている線と力を込めて太くするところがスムーズに繋がりやすい。3D筆であることで、筆の動きによる強弱も予測しやすいと言えるだろう。

    筆の先や筆の腹を使うことで、細・太が同じ筆で描き分けられる。が、にじみはコントロールが難しい。

    少しにじみの少ない水彩用の紙だと、にじみが広がりにくい。

    今のところUndoはほとんど機能していない(Undoは1段階前までしか戻れない)ので、これらの絵はすべて一発で描くしかないのがちょっと苦しい。選択範囲などの機能も今はないので、影の部分は濡れた状態の絵の具にしか描けないというモードを利用した。

    アウトラインを描いた後で色を塗ると、色がアウトラインの色と混ざる。これを避けたい場合は、「すぐに乾燥させる」というモードがあり、乾燥させると混ざりにくくなる。

    数値でわかる、バーチャルのよさ

    前述した、丸い硯の下の拭き取り布(紙?)に3D筆を置くと、筆の側にパーセント数字が表示され、どんどん水分の数値が下がるのがわかる。拭き取り布が水分を吸い取っているのだ。逆に、硯の上をクリックすると、インクの量が増えているのが数値として解る。これで、インクによる水分が増えているのが解る。これは数値表示だけに、シンプルだがとても解りやすい。これも3D筆自身に自動的に反映されていくので、たとえば、赤い色のインクを選んで硯をドラッグしていると、どんどん筆が赤くなっていくのが目で見て解るのだ。細い筆では解りにくいが、これはとても面白いし、バーチャルならではの親切な設定だ。

    水分値が下がっているようす。数値で表示されるのでわかりやすい。

    3D筆には影が付いているので、描いている最中でも、筆の方向がハッキリと解りやすくなっている。

    さらに、3D机そのものに傾きなども付けることができる。つまり、机の上を模倣しているので、上に行くほど遠い(紙の辺が小さく見える)ように設定することも、机が傾いて斜めから描くというような設定も可能だ。個人的にはこれはあまり必要がないとは思うが、もっと軽快に動くならば、描きにくい部分は紙を回して描くこともできるかもしれない。拡大・縮小はマウスのスクロールでできるので、シンプルで解りやすい。マウスのダブルクリックで中心点が変わるので、紙の位置を上下左右に自由に移動することができる。

    カメラの視点を切り替えているところ。モードには「Top」と「User’s」の2つがあり、「Top」は常に、真上から見た状態、「User’s」は描く人の視点から見るので、遠近感が付く。

    机や紙の上でダブルクリックをすると、その部分が中心になるように、全体が移動する。

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