【インタビュー】

エンゲージメントプラットフォームがもたらす未来--Adobeに聞くWeb&ビデオ

1 プロ向けビデオソリューションAdobe OpenHDの展開

    外村奈津子  [2006/04/06]

    Adobe Production Studioのデビューセミナーでプレゼンテーションを行う米Adobe Systems ビデオ/オーディオ部門製品管理担当ディレクターのサイモン・ヘイハースト氏とアドビ システムズ マーケティング本部Web & ビデオ部部長の古村秀幸氏

    去る2月、日本で開催されたAdobe Production Studioのデビューセミナーに合わせて、米Adobe Systems ビデオ/オーディオ部門製品管理担当ディレクターのサイモン・ヘイハースト氏が来日した。今後のAdobeのプロ向けビデオソリューションについて、Adobe OpenHDを中心に、ヘイハースト氏とアドビ システムズ マーケティング本部Web & ビデオ部部長の古村秀幸氏にお話をうかがった。

    ---昨年2005年4月に、Adobeを始め、5社で、HDVとHD対応のデスクトップビデオソリューションを提供するAdobe OpenHDが発表されました。この趣旨やユーザーにとってのメリットからおうかがいします。

    ヘイハースト)1年ほど前に、ヒューレット・パッカード、インテル、AMD、デルらとミーティングを持ちました。顧客の重要なニーズである、最初からきちんと動作するHD編集システムの重要性を話あったのです。それまでは、HDはもとより、SD編集システムも最初から動作をするものがなかなか入手できないという現状でしたから。特に、ビデオのプロは非常にタイトなスケジュールの中で仕事をされている人が多い。たとえば、締め切りが迫っている午前2時頃にシステムが動作しないと気づく、それではもう間に合いません。"きちんと動作する"という言葉に、裏付けを与えたかったのです。どこかの小さなショップに「大丈夫、これはちゃんと動作します」と言われるのと、「これはAdobe OpenHDのシステムです」と保証されるのとでは大違いです。Adobeを始め、HP、デル、インテル、AMDが認定しているAdobe OpenHDには重みがあると思います。

    ---Adobeにとって、Adobe OpenHDを発足したことには、どのようなメリットがあるのでしょうか?

    ヘイハースト)チャンネルパートナーやベンダーの力づけになると考えています。同時にAdobe OpenHDをユーザーに広めることもできます。5社が協力することによって、マーケティング的に考えても、大きなプロモーションができます。また、システムの不要な複雑さが軽減されていますので、Adobeのサポートにとっても好都合なのです。

    ---1月には、新たにグラフィックカードを提供するベンダーなど、10社を加えましたね。

    ヘイハースト) Adobe OpenHDのような、複数企業が関わる組織を立ち上げるのは難しいことです。私のキャリアの中で、以前もこのような取り組みをした経験があるのですが、その経験からいうと、最初は大手数社だけで立ち上げた方がうまくいきます。2005年4月時点でやろうとしたのはそういうことです。そしてもちろん、優れたシステムは、編集ソフトウェアとPC本体システムだけでは作れません。Blackmagic Designや、NVIDIA、Bluefishが提供するグラフィックカードやキャプチャーカードなど、ハードウェアがそろって完成します。2005年4月から標準規格を作るために、いろいろなパートナーの方とお話を重ねましたが、その過程でパートナーの方も参加したいと言ってくださいました。1月のAdobe Production Studioという新製品の発表は、ちょうどその新規参加の発表にふさわしいタイミングだったのです。

    ---Adobe OpenHDが推進する"標準規格"とは、具体的に何を指すのですか?

    ヘイハースト) SD、HDV、HD、非圧縮HDのためのシステムのコンフィギュレーションです。このコンフィギュレーションは、顧客のニーズに合わせて、いくつかの選択肢から選ぶことができます。段階的に標準(デファクトスタンダード)となるシステムに育てていくというコンセプトから、当初は米国だけの販売計画を立ち上げました。今後、世界中の顧客の役に立つようなグローバルな規格にしていきたいと思っています。

    ----Adobe OpenHDに準拠しているという認定はどのようになされるのですか?

    ヘイハースト)Adobe本社があるサンノゼには、大勢のテスト担当者を集めたAdobe OpenHDのためのテストチームを設けています。ここで、弊社が策定した数百種類ものテストを行っています。また、世界各地に数百人のベータテスターやテストを行うパートナーがいます。Adobeがソフトウェアのテストユーザーにお願いしているテストは、チップ設計テストよりも時間がかかるものです。オーストラリアのBlackmagic Design本社や、マウンテンビューのNVIDIA本社など、パートナーの拠点でもテストをしていただいています。Adobeでは、このような厳格なテストを、より多くのコンフィギュレーションに適用できるようにしています。

    ---そのテストを終えて、2006年の春に7つのターンキーソリューションがリリースされる予定になっていますが、この7つのシステムから始める理由は?

    ヘイハースト)現時点でビデオグラファーの多くはSD、DVを使っていますが、将来的にはHD、HDVを使おうと考えていると思います。今回リリースするシステムでは、非圧縮HD、およびHD、HDVが網羅されています。また、特にHDVにフォーカスしているのですが、その理由は、システムを構築する上で一番トラブルが多く見られる分野がこの分野だったということです。日本においてもHDやHDVは大きな話題で、トピックの8割くらいを占めているかもしれませんが、システムとしては採用されているのは、まだ2割くらいだろうと思います。将来的にはSDも当然カバーできると考えており、SDに特化したコンフィギュレーションも出して行こうと思っています。

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