【レビュー】

ぐうたら主婦でごめんあそばせ - マッサージ椅子 National リアルプロX EP3510

    江口陽子  [2006/04/03]

    ぐうたら主婦・怒る

    ぐうたら主婦はどちらかというと、ぼーっとしている。めったに怒らない。なぜなら、怒って人と争うのが面倒くさいのだ。だが、たまーに機嫌が悪くなるときがある。それは疲れがたまったとき。娘に対する口調がキツくなるので自分でもわかる。いつもなら、子ども部屋がきたなくても何も言わないのに、疲れがたまると許せなくなるのだ。

    「自分の部屋くらい自分で掃除しなさい!」

    などと怒鳴り散らしたあげく、「ママもね」などと言い返されてへこむのである。家庭教育で大切なことは、母親の態度の一貫性なのだとか。体調次第でコロコロと変わるようでは母親失格なのだ(そうでなくとも、ダメ親なのはわかっているのだけど)。

    そんなわけで、母親失格の汚名返上に燃えるぐうたら主婦。なにか良い手はないものかと探し当てた逸品がコレ。マッサージ椅子「National リアルプロX EP3510」だ。これがあれば、疲れた体もリラックス。肩こり腰痛だってきっと軽くなるに違いない。疲れがたまってイライライするのなら、疲れを回復させる機械があれば!

    ところで、マッサージ椅子というと、温泉旅館のロビーなどに置かれたものを想像する方が多いだろう。背中のところに「もみ玉」がついていて、100円玉を入れるともみ玉が上下に動くヤツ。イマイチ自分のもんで欲しいところにもみ玉が来ない。人間のほうが背中の位置を動かして、機械に合わせなければならないのが難点だ。

    マッサージ椅子に対してこのようなイメージを抱いている人は一度、本製品をご利用いただくことをオススメしたい。なにしろ、名前が「リアルプロX」。"リアル"な"プロ"、文字通りマッサージ師の技がリアルに再現されているのである。しかも、その巧妙な技は、マッサージ師の中でも一流のものに違いない。この技に驚かない人は少ないだろう。

    本製品が実現したマッサージ師の技は「指圧」、「もみ」、「さすり」、「ストレッチ」の4つ。「指圧」、「さすり」あたりは機械でも比較的簡単に再現できそうな気がする。だが、「もみ」は親指と人差し指、中指などで肩をつかんでもむのだから、機械には難しいのではないか。私はたいして期待もせずに使ってみた。ところがどっこい。実にリアルなのだ。上下ふたつのもみ玉が、プリセットされたプログラムに従って動作。上下だけでなく、わずかながら前後き動き、その動作がリアルな技を再現するのに貢献している。ふたつのもみ玉の複雑な動きが凝こりで固まった肩に良い刺激を与えてくれる。まるで、人間の手でもみほぐすかのような動き、しかも、肩の位置がぴったり合っているから驚かされる。

    本製品がユーザーの体型にぴったり合った動きをするのは、体型センシング機能のおかげ。ユーザが腰掛けたときに、そのユーザーの体型をセンサーが捕らえ把握する機能が備わっている。ボタンを押せば、好みによってもみ玉の位置を上下左右に移動させることもできる。もちろん、力の強弱、速度もボタンひとつで調節可能。指圧はいらないから、もみ手だけ、といったことも設定可能。あれもこれも設定で好みに合わせられるように気配りがなされている。

    圧巻なのは、エアーバッグだ。太もも、ふくらはぎ、足の裏と装置の要所にエアーバッグが配備されていて、膨らんだり縮んだりすることで、足裏マッサージや足首ストレッチなど、全身マッサージが可能。意外とこれが気持ちよい。ただでさえ運動不足で弱った足腰。たまった疲れが、エアーバッグのふくらみに吸収されていくようだ。

    だいたい家にいると、掃除だ洗濯だと忙しく働くことはたまにあったとしても、足なんかさすられることはまずない。マッサージ椅子に座ったぐうたら主婦の気分はすでに女王様。椅子に内蔵されたお使いの者たちが、私の疲れを回復させるために働いてくれているのだ。さらに欲を言えば、目の前にプラズマテレビを一台、置いておきたい。大画面で映画を鑑賞しながら、マッサージでリラックス。これこそ、ぐうたら主婦=女王様にふさわしい贅沢だといえる(注: 勘違いが含まれています)。

    侮りがたし、NationalリアルプロX

    ここまで複雑な機能があるのなら、さぞかし使いこなすのが大変なのでは、とお思いの方もいるだろう。ところが、使い方は実に簡単。ボタンを押すだけでOKなのだ。後は自動コースで全身マッサージをしてくれる。音声応答でのナビゲーションもわかりやすい。

    コースはクイック5分と全身フルコース15分のふたつ。15分のフルコースの中には、「指圧痛快」、「もみほぐし」、「さすり癒し」、「体伸ばし」の4種類を選べるようになっている。初心者はさすり癒しあたりがオススメ。腰痛に悩むお父さんは「指圧痛快」あたりが良いのではないだろうか。

    マッサージを受けていると、ついつい気持ちがよくなって、長い時間マッサージ椅子に座ってしまうことがある。もみ返しが来てかえって疲れてしまった経験をお持ちの方もいるだろう。本製品は、時間になると自動的にマッサージが終わる仕組みになっている。もみ返しなどの失敗をすることもないから安心だ。

    ユーザーは使っているうちに、自分の好みがはっきりしてくる。自動でお任せコースではなんだか物足りない……。そのようにお感じの方には個別機能が用意されている。松下電器産業によると、本製品のメインユーザーは高齢者層だという。機能はたくさんつけたいが、難しい機械操作は避けたいというメーカーの思惑が製品としてバランスよく形になっている。

    製品の操作に慣れてきたら、コリのひどいところに、強烈な指圧を入れたりするのもいいし、自分の好みに合わせられる「問診」機能を使ってみるのもいい。もみ技は全部で335種類。一日1種類ずつ試したって、1年近くかかるのだ。

    疲れを回復させることも健康であるための秘訣

    マッサージ椅子を使って、肩の凝りも軽くなり、すっかり満足のぐうたら主婦。健康は、バランスの良い食事に適度な運動。それだけではなく、疲れをいち早く回復させることも大切なのだと実感したのである。体の状態が悪ければ、せっかく娘と美味しいものを食べに行ったとしても楽しめない。楽しく遊ぶには、まずは体の状態を整えておかなければならないのだ。

    マッサージ椅子としては五つ星の本製品。実際に買うにあたっては3つの問題が浮上してくる。ひとつはお手入れ。インテリアとしてリビングに置くなら、色はベージュ(調)を選びたい気がする。しかし、ベージュはよごれが目立つのだ。今、ぐうたら家のリビングにあるソファーは、買ったばかりの頃はクリーム色が美しかった。ところが、3年もしないうちに手垢でグレーがかってしまった。その後は汚れを隠すために、グリーンのソファーカバーをかけて使っている始末だ。

    ところが、本製品は意外とお手入れが簡単。合成皮革なので、さっと雑巾で汚れをふき取れる。子どもがいたずら書きをしてしまい、落ちない汚れがついてしまっても上のカバーは部品として交換できる。ファスナーがついているので、取り外しも簡単だ。汚れ対策、お手入れについて、第一の問題はクリアだ。

    次に浮上する問題は置き場所。リクライニングシートを倒したときに、197cmにもなる本製品は、どうしても置き場を選んでしまう。プチシニア層ならば、子どもが巣立ったあとの空いている部屋に置ける。空いた部屋一つをリラックスルームにすればいいのだ。だが、空き部屋はもとより、リビングにスペースがない家庭はやや置き場に困ってしまうのは否めない。ひそかに夫のベッドを取り払って、この椅子を置いてやろうかと思う奥様もいるのではないだろうか。

    「このマッサージ椅子で寝ればいいじゃない」

    そんな普段では口に出しそうもない言葉を出させてしまうのが、このマッサージ椅子の魔力なのである。いやまじで。

    それはさておき、最大の問題は価格。店舗で40万円程度。ネットショッピングで安値を探しても、25~30万円程度が底値の模様。プロのマッサージ師にかかる料金を考えると、この程度の値段は妥当だといえる。しかしだ。2004年4月、製造元である松下電器産業の大学学部卒初任給は20万1000円。リアルプロXはこれよりも高い。やはり庶民にとって高額商品ではある。

    しかし、本製品を使ってみて、このリアルさ、巧さには感じ入った。疲れをためながら、娘に当り散らしている自分から解放されるのなら、ぜひとも欲しいと思う。というか、正直に言えば、気持ちよさが忘れられないだけなのだが。

    人の価値観はそれぞれだ。National リアルプロX EP3510を使って、疲れをためない、いつでもニコニコのステキなママになってみたい。私なんかよりも娘を上手に育てられる人はたくさんいるけれど、娘にとって母親は私ひとりなのだ。しかしながら、残念なことに子どもは母親を選べない。だからこそ、子どもにとって、イライラしているママより、笑顔がいっぱいのママでいたのだ。

    いや、迷う、迷う……。

    で、結論を言えば、本製品は何をおいても欲しいのだが、我がぐうたら家では、経済的にも、スペースも残念ながら買うにはちょっと無理があるということになった。私がこのマッサージ椅子を使ってみて、気づいたこと--それは、ずっと求めているものは、高級マッサージ椅子を迷わず買えるゆとりだったりして……。

    (イラスト:YO-CO)

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