【レポート】

MIX 06 - XMLをWebプラットフォームに (2) - Webをデータで結ぶLive Clipboard

    Yoichi Yamashita  [2006/03/30]

    MIX 06では、「Live Clipboard」のデモを披露するセッションが用意された。これは3月7日 (米国時間) に、MicrosoftのCTOであるRay Ozzie氏が自身のブログで明らかにしたデータ共有の仕組みである。同氏はブログの中で、マッシュアップがいかにWebの世界を変えているかに触れ、「デスクトップ・アプリケーションで"マッシュアップ"を実現している、もっとも基本的な技術は何か?」と問うている。答えは「クリップボード」だ。今日のPCユーザーは選択/コピー/貼り付けを当たり前のように使って、あるアプリケーション上の内容を異なるアプリケーションに移している。だが、クリップボードが無ければ、複数のアプリケーションの結びつきは実現しない。このクリップボード・モデルをWebにも適用しようというのがLive Clipboardだ。

    Webページの内容を選択してコピーし、ワープロソフトなどに貼り付けることは、すでに可能である。だが、Live Clipboardは、"構造化データ"をWebサイト間やデスクトップ・アプリケーションとの間でやり取りできるようにしようとしている。デモの内容を紹介しよう。Live Clipboardが利用できるWebサービスでは、はさみのマークのアイコンが表示されていた。それをクリックするとWindowsユーザーにはお馴染みの「切り抜き/コピー/貼り付け/削除」などのメニューが現れた。たとえばソーシャルカレンダー・サイトのeventfulに書き込まれた新イベントをコピー、それをLive Mailで貼り付けると、自動的にカレンダーの該当日に、そのイベントの内容が書き込まれた。このほかオンラインショップの支払いでは、コピーしたコンタクトを貼り付けただけで、名前/住所/電話番号などが適切な場所に入力された。

    ソーシャルカレンダー・サービスのeventfulでイベントをコピー

    Live Mailに貼り付ける

    eventfulの内容が、ワンクリックで反映される

    写真共有サイトのFlickrでグループをコピー

    ローカルにペーストして画像を一括取得

    またRSSでの利用も提案された。WebブラウザではRSSのアイコンが統一されているが、RSSリーダーやWebベースのRSSフィードはスキームの違いなど一筋縄では行かない。複数のRSS用のアイコンが並ぶサイトが存在しているのが現状だ。そこでRSSのサブスクライブにもシンプルなコピー/貼り付けの概念を利用しようという訳だ。

    現行のRSSはアイコン乱立状態

    クリップボードでスッキリと整理

    Live ClipboardはXMLデータフォーマットとHTML/JavaScriptコントロールで構成される。シンプルだが、それゆえにLive Clipboardで実現する結びつきには大きな可能性が感じられる。Microsoftは、Live Clipboardの成果をCreative Commons Attribution-ShareAlikeライセンスで公開するという。

    Live Clipboardの実態はXML

    Live Clipboardのセッションでは Simple Sharing Extensions (SSE) との連係も披露された。SSEは、コンタクトやカレンダーなどのデータを、ソフトウエアやサービスの間で共有または同期させる仕組みである。昨秋にOzzie氏が明らかにした。

    具体的には、RSSとOPMLを双方向のアイテム共有に拡張したフォーマットである。たとえば、広く公開されているソーシャルネットワークサイトの自分のプロフィールをSSEに対応させれば、住所が変わった時にプロフィールページの内容を変更するだけで、その情報を受信している人の住所録などでも自動的に変更が反映される。データ同士がつながりながら広がり、相互に働き合う"メッシュモデル"をサポートしているのが特徴だ。Live Clipboardと同様、シンプルな仕様にまとめられており、これらの成果はCreative Commonsのライセンスで公開されている。

    セッションでは、RSSのサブスクライブにLive Clipboardを利用するというアイディアと、SSEのメッシュモデルを組み合わせて、Live ClipboardでSSEのネットワークを広げるデモが行われた。たとえば所在地がアップデートされるプロフィールをLive Clipboardでコピー、マップサービスに貼り付けるとマップ上に現在の所在地を示すマークが表示された。家族の居場所を確認するサービスなどに利用できる。コピー/貼り付けなら簡単にデータを取り込めるため、SSEを活用した新たなサービスの普及を後押しすると期待している。

    Live Clipboard、SSE共に、Creative Commonsのライセンスで公開されるとはいえ、Microsoft色が強いのが普及の妨げになる可能性はある。だが、O'Reilly主催のEmerging Technology ConferenceでRay Ozzie氏がLive Clipboardのデモを披露した時には、集まった開発者から大きな喝采が起こったそうだ。

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