【レビュー】
2005年10-12月期におけるAppleの売上の過半をiPodが占めた事実からも伺えるように、ここ数年のAppleは単なる"コンピュータメーカー"という枠に収まる企業ではなくなってきている。世界各国でiTunes Music Storeを展開中という材料も加味すれば、コンピュータ以外の部門、特にオーディオ部門がウェイトを増す傾向は今後も続くと考えるのが妥当だろう。
そのAppleが今春投入した新製品「iPod Hi-Fi」は、iPodと組み合わせて使用するスピーカーだ。80mmワイドレンジスピーカー2基に130mmウーファー1基を搭載、本格的なオーディオ機器としての音を聴かせてくれる。今回、アップルコンピュータのご厚意により製品を試用する機会に恵まれたため、早速使用感などをお伝えしよう。
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80mmワイドレンジドライバ×2と130mmウーファー×1に加え、2つのバスレフポートを備えた本格スピーカー「iPod Hi-Fi」 |
iPodをサクッと上部に差し込むだけで準備OKという手軽さがiPod Hi-Fiの魅力の1つ |
iPod Hi-Fiの音の印象だが、130mmウーファーとバスレフポートの効果があってか、バスドラやベースの音には下腹部にズンとくる重みがある。この"低音の魅力"は、iPod Hi-Fiの真骨頂と言っていいだろう。
ロックやポップス、ジャズ/フュージョンと、いくつかのジャンルを聴き比べてみたところ、個人的にはロック/フュージョン系の音がしっくりくるように感じた。特にベースの音は印象的で、セイン(TVタレントに非ず)が爪弾くプレベはあくまで流麗に、ジャコ(小魚に非ず)が奏でるフレットレスは奔放かつ大胆に、トップ(洗剤に非ず)が弾く「De Futura」はライブの迫力そのままに聴かせてくれる。iPod+密閉型ヘッドフォンという環境に慣れた我が耳には、この曲はこんな音だったっけ、というほど。イコライザで補正しなくても、低音域には十分な説得力がある。
それに比べ、中~高音域は少し大人しい。特に非ロック/ポップス系では、ピアノなど高音が比較的あっさりしているのに対し、ベースの音が目立ってしまう傾向がある。Roberta Flackの「Killing Me Softly with His Song」(その昔インスタントコーヒーのCMソングに使われていたので、30代以降の世代は御存知かも)のようにしっとり聴かせる曲の場合、メインであるはずのボーカルが一歩奥に引っ込み、ベースの音ばかり耳についてしまう、といった印象。2.1chのスピーカーが幅約43cmのボディに内蔵されているという形状のため、ステレオ感に乏しい傾向があることも、当たり前とはいえ、少々気になる点だ。
なお、第5世代のiPodとiPod nanoを接続した場合には、普段表示されない「スピーカー」という項目がトップメニューに現れる。無補正の「標準」を除けば、選択できるプリセット値は「Treble Boost」と「Bass Boost」の2種類だが、音の印象はだいぶ変わる。好みの音楽のジャンルによって使い分ければいいだろう。
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