【レポート】

Oracle OpenWorld Tokyo 2006 - Oracle Ellison CEO語る-No.1の理由 買収 SOA 日本のIT投資 オープンソース

    大川淳  [2006/03/03]

    米オラクルのローレンス・エリソンCEO(最高経営責任者)が、「Oracle OpenWorld Tokyo 2006」の基調講演と記者会見に臨んだ。公式的な来日はおよそ7年ぶりとなる。エリソン氏は、同社の機軸、成長の要因、日米のIT産業の現状とこれからなどについて、さまざまな切り口で語った。

    米オラクルのローレンス・エリソンCEO(左)と日本オラクルの新宅正明社長

    「古い技術にこだわることこそ危険」と語る、エリソンCEO

    オラクルは、データベースで業界のナンバーワン、ミドルウェアではIBMに次いで2位。ERPでは、独SAPが首位だが、オラクルはさまざまな分野で頂点を目指している。その背景についてエリソン氏は次のように説明した。

    「なぜ、ナンバーワンになりたいのか。それは、自己満足のためではない。ソフトの産業界では、より多くのユーザーを獲得すれば、研究・開発投資を増やすことができ、数多くの開発者を配置して、技術革新していくことができる。大量な販売ができれば、価格を下げることも可能になる。ナンバーワンという地位は、供給側だけでなく、消費者の側にも利益をもたらすことになる」

    ナンバーワンの地位を維持するためには「多くの価値を提供していかなけばならない」が、「高性能、高信頼性、低コスト」をもたらす「アーキテクチャー上の解答の一つはグリッド」と主張する。「16、32、64台のサーバーが束になり、スーパーコンピュータ並みの性能を実現する。容量が足りなければ、サーバーを追加すればよい。大型汎用機などは、障害があれば、アプリケーションが停止する危険性があるが、グリッドでは、サーバーが部分的に止まっても、システム全体は停止しない。今後5年ほどで、大規模アプリケーションのほとんどは、グリッドで動くようになるのでは」と予想する。

    そのナンバーワンになるための要件は「技術革新と企業の買収、合併が成長戦略」だが「ただ、すべての領域でナンバーワンになるのは難しい」とも認める。同社は、米ピープルソフト、米シーベル・システムズなどを買収、自社だけでは不十分な領域の技術を補ってきた。一方、ソフト業界は「再編がまだ終わったわけではなく、終わりの始まり、というところだろうか。自動車会社より、ソフトメーカーの方が今は多い。ソフト業界も成熟すれば、企業数は減っていく」。

    オラクルのすべての戦力の中核とされているSOAへの取り組みについては「SOAに対しては、重要な技術と認識している。ただ、SOAというものは、1,000種くらいの異なったアプリケーションを糊付けしてシンファニーを奏でるようなものだと主張する向きもあるが、決して、そんな魔法のような存在ではない。オラクルでは、アグレッシブにSOAへの移行を進めている。競合他社は、オラクルは危険を冒しながら、SOAに向かっているというが、古い技術にこだわっていることこそ危険だ。米国はかつて、自動車市場を制していたことがあったが、燃費の良い車への志向が始まったとき、米国は追随しなかった。その結果、どうなったか。ナンバーワンの落とし穴があった。だが、オラクルはちがう」と強調、データベースでナンバーワンだが、それに甘んじず、常に変化しているという。

    キーノートでは新宅社長も登壇、今回のOpenWorldのテーマなどを語った

    ITバブルが崩壊した後、米国ではIT投資が順調であるにもかかわらず、日本は低調であることについては、以下のように述べた。

    「米国は急速に経済成長した。日本も回復基調にある。今回のOracle OpenWorld Tokyo 2006のテーマはターンアラウンド(方向転換)だが、日本もIT投資は増えると考えている。IT製品の質も向上している。かつて、IT業界は、ROI(投資対効果)の良くないものを投入したことがあったが、たとえば、Oracle Secure Enterprise Search 10gは大きなROIを得られる。そういうものが必要だ。納得のいくものであれば、投資は増える」。

    オープンソースソフトへの論評は辛口だ。「オープンソースソフトは、これまでのソフトに置き換わるということはない。部分的には起こりうるとしても。Linuxは成功しているが、Windowsほど人気はない。オープンソースには、神話的なものがつきまとっているようだが、無償での開発ということには現実味がない。Linuxは実際には、IBMやインテル、オラクルが開発した。Linuxについて、レッドハットにではなく、オラクルに問い合わせがくることもある。オープンソースソフトは実際のビジネスに適しているものは、あまりない。オープンソースは、大手の産業系企業が投資するのであれば、成功するかもしれないが。オープンソースソフトが、成功を収めたのは、IBMなどが投資したからだ。オープンソースは開発は無償で、コストがなく、工程も短いというが、これは必ずしも現実に即していない。オープンソースも取捨選択が必要だ」。

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