【レポート】
電機大手各社から2005年度第3四半期決算が出揃った。個人消費の回復や、企業の景気回復に伴う整備投資の増加など、電機およびIT企業にとっても追い風となる状況で迎えた第3四半期。円安の影響は、一部企業においては厳しい条件となったが、多くの企業が軒並み好決算を発表する結果となった。
電機大手11社(日立製作所、松下電器産業、ソニー、東芝、三菱電機、三洋電機、シャープ、富士通、NEC、日本ビクター、パイオニア)の連結決算では、前年同期比で、NECが携帯電話事業の不振などが影響して減益、日本ビクターがDVDや液晶テレビの開発の遅れが響き減益。そのほかは増益という結果だった。増益の企業のなかには、通期の赤字脱却が課題となっている企業もあるが、その一方で、松下電器産業、ソニー、東芝が通期見通しを上方修正するといった動きも見られ、電機大手の回復ぶりが浮き彫りになった決算内容だった。
特に、注目されるのが、これまで苦戦を強いられてきたソニーが、回復の兆しを見せ始めたことだ。
ソニーの第3四半期連結決算は、売上高が前年同期比10.2%増の2兆3676億円、営業利益は46.8%増の2028億円、税引前利益は51.4%増の2259億円、当期純利益は17.5%増の1689億円と増収増益。売上高と当期純利益は四半期ベースとしては過去最高を記録するという好業績だ。
さらに、2005年度通期の見通しを上方修正。最終赤字としていた見通しを700億円の最終黒字としたほか、売上高では7兆2500億円から7兆4000億円に、営業利益はマイナス200億円の赤字から1000億円の黒字へと修正した。
この好決算の動きのなかで、とくに注目されるのが、これまでは低迷の原因とされていたエレクトロニクス事業の回復ぶりだ。
主力のテレビ事業においては、新ブランドのBRAVIAが、北米をはじめとする全世界で好調な売り上げを記録。米国ではトップシェア、日本でも25%のシェアを獲得するなど、スムーズな立ち上がりを見せている。
執行役エグゼクティブバイスプレジデント兼CFOの大根田伸行氏は、「テレビ事業の回復には手応えを感じている」とコメント。同社幹部が、テレビ事業の回復に言及したのは、「ソニー・ショック」以降、今回が初めてだったといっていい。
コーポレイトエグゼクティブシニアバイスプレジデントの湯原隆男氏も、「BRAVIAは、全世界の液晶テレビの実売金額においては、リーディングポジシションを獲得した。また、リアプロジェクションテレビをあわせた薄型テレビの領域においても、第3四半期にはトップグループに入ったと判断している」と、その回復ぶりを示してみせる。
実は、今年1月に、米国でソニーのエレトクロニクス事業を率いる、米ソニーエレクトロニクス社長兼ソニーコーポレイトエグゼクティブEVPの小宮山英樹氏に話を聞く機会を得た。小宮山氏は、「BRAVIAは、発売1カ月後に、液晶テレビ市場で30%のシェアを獲得した。また、リアプロテレビも高い評価を得ている。ブランド力、サポート力、流通網という点では他社には絶対に負けないものを持っている。この強みを生かすことで、北米におけるソニー製品の地位を確固たるものにできる」として、北米でのソニー復活がすでに軌道に乗っていることを示した。
実際、テレビ以外でも、ソニーが得意とするカムコーダーでは、北米市場は50%のシェアを獲得。さらに、戦略製品と位置づけているDVDカムコーダーでは、75%ものシェアを獲得している。
その点では、ソニーブランドの復活においては、日米に温度差があるといっていい。日本では、まだエレクトロニクス事業が、本格的な回復の道を歩みはじめたとは言い難い。BRAVIAが、当初国内市場で掲げた30%のシェア目標にも到達せず、25%に留まっている状況からもそれは明らかだ。
まずは米国でのエレクトロニクス事業の回復を足がかりに、ソニー復活へとつなげようという狙いが、今回の決算からも見え隠れする。北米市場でのエレクトロニクス事業の回復が、今回の通期上方修正へとつながったということもできよう。
ソニーの動きを捉えるには、北米の動きを見ておく必要があることを再認識した決算だったといえる。
だが、北米での回復感があるテレビ事業とはいえ、まだ手放しで喜べる状況にはない。今回の決算でもテレビ事業については、売上高では前年同期比16.2%増の3611億円と増加したものの、営業損失はマイナス19億円の赤字と、依然として赤字体質からは脱却できていない。
決算発表の場においても、大根田CFOが、「赤字とはいえ、当初の見込みよりは約250億円程度改善している。損益はブレイクイーブンが視野に見えるところまできた」としたものの、「第4四半期は他社の価格下落の影響も見込まれ、楽観はできない。テレビ事業の黒字化は、2006年度後半」とコメント。全社の業績上方修正とは裏腹に、テレビ事業の黒字化時期は当初計画のままと、慎重な見方を示した。
テレビ事業回復の手応えを感じているという発言が飛び出した今回の決算だが、本格回復宣言はいつになるのだろうか。今後の注目点だといえる。
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