【レポート】
今年9月、世界の携帯電話加入者数は20億台に達した。2002年に初めて10億の大台に乗ったとき、20億に到達するのは2006年~2007年といわれていたのが、わずか3年足らずで倍増となった。現在、世界では万単位の人が、日々新たに携帯電話を手にしており、その多くを占めるのはアジアやアフリカなどの発展途上国の人々だ。
その価格と小さなフォームファクタから、携帯電話は、比較的手軽に入手できる通信手段となった。そして現在、携帯電話は途上国と先進国の格差を縮小するツールとして注目されている。今回、無線網ネットワークと携帯電話機の2つの事業で、アフリカ、アジアなどの途上国市場に進出しているフィンランドのNokiaに、携帯電話がもたらすデジタルデバイド解消の現状や課題について聞いた。
デジタルデバイド問題が指摘されて久しいが、当初、"ユニバーサルアクセス"(2015年までに世界の人口の50%以上がデジタル情報にアクセスできるという、国連が設定した目標)を実現するのはパーソナルコンピュータ(PC)だと思われてきた。実際、PC・機器ベンダー各社は途上国にPCを寄贈したり、PCが自由に使えるセンターを設立したりしている。ソフトウェア側でも、米Microsoftが一部の国で廉価版のWindows提供に踏み切っている。
だが、「人々が所有することができ、実際の生活に役立ち、経済に貢献しているのは、(PCではなく)携帯電話」とNokiaのネットワークス・ストラテジー&ビジネスディベロップメント担当ディレクターのPetteri Terho氏は言う。
その理由には、文字が読めない人でも利用できる点、比較的価格が低いことから人々が所有しやすく、実生活に利用できる点、常時の電源接続が不用な点などがある。特に"所有できる"という特徴は大きい。100ドルノートPCの実現に向けて取り組んでいるマサチューセッツ工科大学(MIT)のメディアラボ創業者兼会長、Nicholas Negroponte氏も、「端末を自分のものとして、自宅や学校、さまざまな場所で使いこなすことがデジタルデバイド解消に役立つ」と見解を述べている。また、ロンドンビジネススクールの調査によると、人口100人につき携帯電話10台が投入されると、その国のGDPは0.59%上昇するという。このような背景から、英経済誌の『The Economist』は、「デジタルデバイド解消に最も有効なものは、PCではなく携帯電話である」とまとめた。実際、日本では、インターネット利用者の半分以上が携帯電話を介してインターネットにアクセスしているのだ。
NokiaのTerho氏は、携帯電話が途上国にもたらすメリットを「社会的・経済的なメリット」と分析する。具体的には、雇用促進のほか、ライセンス料、税などによる政府の収益増など社会全体が享受する経済効果を指す。そして、最も大切なのは、通信、情報へのアクセスという個人が享受する"生活の質向上"というメリットだ。
同社が、ロシア、インドなど世界6カ国を対象に、2004年末に共同実施した調査では、携帯電話を持たない理由について「価格が高いから購入できない」(49%)が、「持つ必要性がないから」(30%)を上回ったという。この結果は「ユーザーのニーズが十分にあることを裏付けている」とTerho氏。ちなみに、無線通信網は、すでに世界の人口の7割以上の人々を覆っている。
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