【レポート】

"違いを楽しむ人"のプラネタリウム - 大平貴之/原田郁子/谷川俊太郎氏らがコラボ

東京・お台場の日本科学未来館で人気のプラネタリウム「MEGASTAR-II cosmos」の新上映プログラム「暗やみの色」が17日から公開された。これは、電子音楽家rei harakami(レイ・ハラカミ)氏の全編オリジナル楽曲、原田郁子さん(ex.クラムボン)のナレーション、谷川俊太郎氏が特別提供した書き下ろしの詩、西郡勲氏のタイトル映像などとのコラボレーションによる新コンテンツで、上映時間は約30分。1年間の常設上映を予定している。

上映後に行われたトークショーには、日本科学未来館の毛利衛館長、大平貴之氏、rei harakami氏、西郡勲氏が出席した。過去のイベントで、「私がスペースシャトルから見た星空に一番近かった」と毛利氏から絶賛されたMEGASTAR。その開発者である大平氏は、「違いを楽しむ人」ととして、この秋から「ネスカフェ ゴールドブレンド」のテレビCMに出演している。共演は俳優の唐沢寿明さん

MEGASTAR-II cosmosは、世界最多500万個の恒星を映し出すというプラネタリウムで、プラネタリウム開発者の大平貴之氏が制作した。前作の「新しい眺め」では"見える"ということを追求してきたが、今回はプログラム名の「暗やみの色」にも表れているように、"見えないもの"である「暗闇」をテーマに、宇宙にどこまで"眼をこらせるか"を追求している。

夜空には2,000億個の星が存在しているそうだが、さらに赤外線や電波、X線などを使って見てみると、暗闇の部分にもさまざまな星、星雲などが存在しているという。同プログラムでは、それをCGなどを交え、分かりやすく解説してくれる。内容は天文学と素粒子物理学とのつながりなどにも及んでおり、プラネタリウムの枠を超えた日本科学未来館ならではの科学的アプローチとなっている。また、CGの映像効果により、宇宙船に乗って宇宙を旅行しているような感覚も楽しめる。

実際、銀河や銀河団の運動を観測すると、見えている恒星や銀河の質量だけではその動きを説明できず、見えているものの何倍もの質量がそこにはあるはずだという。しかも、見えている天体の質量は、宇宙全体の質量のわずか4%程度に過ぎないという。

特に、同プログラムの中で、最も印象に残るキーワードが「ダークマター」だ。これは、現在の科学技術を駆使してもどうしても見えてこない宇宙の大部分の質量を占める未知の物質のことで、研究者たちはその正体を"素粒子"に求めているという。究極のマクロの世界である宇宙の正体を、その対極にあるミクロの世界に求めるということは、非常に興味深い。

16日に行われたプレス発表会では、「暗やみの色」上映終了後、日本科学未来館の毛利衛館長、大平貴之氏、rei harakami氏、西郡勲氏によるトークショーが行われた。

その中で、今回、監修として参加している大平氏は、同プログラムについて、「今までMEGASTARは、プログラムも含めて全て自分で制作していました。しかし今回は、自分が監修という立場で、逆にMEGASTARに共感していただいた方々によって、新たなMEGASTARの魅力が引き出されており、ある意味、MEGASTAR が自分の手を離れて"一人立ち"を果たしたような感じがして嬉しく思っています。今回、コラボレーションしてくれているアーティストの方々に、新しい可能性を引き出してもらっています」と述べた。

一方、毛利館長は、rei harakami氏の音楽について、「今回、CDをもらって家で聴いてみましたが、宇宙では怖くて聴けないだろうというのが最初の正直な感想でした(笑)。宇宙には空気がないので、音は聞こえませんが、宇宙船内ではもちろん聞こえます。宇宙飛行士は、宇宙船という鉄板1枚によって隔てられた中で仕事をしており、常に"死と隣合わせ"という非常に緊張した状態にいるわけです。そのため、何か音がすると非常にドキッとするんです。ですので、こういった不連続で、楽譜にないような電子音を仮に宇宙船内で聴くとすると、危機意識にとらわれてしまい、これは気が休まる暇がないなと思ったのです(笑)。しかしながら、今回、完成した上映プログラムを見たところ、確かに不連続ではあるものの、音がすごく自然で、逆に、星の光の透明感が音によってすごく引き出されているし、星の瞬きと連動していてとても良かったと思いました」と感想を述べた。

また、会場からの「昨今、プラネタリウムに人気が高まっていますが、プラネタリウムはどうして人の心を捉えるのでしょうか?」という質問に対し、大平氏は「私も常に考えていることなのですが、星空と人ではどちらが先にできたのかを考えると、その中にヒントが隠されているように思います。それは海や山、流れる雲を見て癒されるのと同じなのではないでしょうか。人間は、宇宙は2,000億の星の集まりであり、壮大なスケールであるということを知識として知っている上で、さらに感覚的にきれいだと思うことに対して、不思議な魅力を感じるのでしょう。人類は200万年の間、ずっと多くの星を眺めてきました。しかし残念ながら、現在、都心などではほとんど星が見られなくなってしまっています。そのことがプラネタリウムに多くの人が足を運ぶ要因になっているのではないでしょうか」と答えた。

日本科学未来館では、2006年2月、同プログラムの関連展示として、物質の根源をテーマにした、ダークマターと関係性の深い"素粒子"に関する展示も準備しているという。そちらの方も楽しみである。



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